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はじめに

10万ポンド(約1840万円)以下で買えるポルシェ911が、今や1仕様しかないというのが現実だ。今回のカレラTも、多少ながら超えてしまう。

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Tはツーリングを意味するが、シンプルで重量を削減したドライバー志向の仕立ては、911ライトウェイトとでも呼んだほうがわかりやすい。それがすべてだと言ってもいい。

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テスト車:ポルシェ911カレラT    JACK HARRISON

スタンダードなカレラカレラSとの間に位置するが、そのポジショニングは、はっきりしたレゾン・デートルを主張できない、どっちつかずのモデルとなるリスクも孕んでいる。

しかしポルシェはこのクルマに、特別な装備をいくつか与え、妥協のないキャラクターを定義づけた。しかしながら、先代カレラTに用いられたような軽量化策をそのまま引き写したのではなく、複雑さを排して、アナログ感覚を強調している。

今回のテストでは、カレラTのアイデンティティを解き明かすのだが、さらに季節外れの雨により、ポルシェが最近生み出したウェットモードが、すべりやすい状況で911のパフォーマンスにもたらす違いを明らかにすることも、図らずも可能になった。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

カレラTを大雑把に説明すると、カレラSのもっともスポーティなチューンのシャシーに、現行911でもっとも非力なカレラ仕様の385psユニットを積んだクルマということになる。

エントリーレベルの911カレラに対し、ポルシェは10mmローダウンしたアダプティブサスペンションのPASMスポーツを追加。これは通常、カレラS以上のモデルにオプション設定されるアイテムだ。

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ドアミラーやホイールに塗られたアゲートグレーは、カレラTのアクセントカラー。ブレーキディスクが小さく見えるが、これはカレラSのホイールに、20mm小さいカレラ用ディスクを組み合わせているからだ。    JACK HARRISON

また、ホイールはカレラS用の前20インチ/後21インチ。アクティブスポーツエキゾーストや、PTV機械式リアLSD、スポーツクロノパッケージとダイナミックエンジンマウントも標準装備される。テスト車に装備された4WSはオプション。しかし、アクティブスタビライザーのPDCCは用意されていない。

トランスミッションは、7速MTが標準装備。DCTも設定されるが、385psユニットと3ペダルの組み合わせが選べるのはこの仕様だけだ。

軽量化策としては、シート表皮をカレラのレザーに代えてファブリックのスポーツテックスとし、+2のリアシートを排除した。ガラスやバッテリーも軽量版として、遮音材のほとんどを取り去っている。

991世代のカレラTは、インフォテインメントシステムも標準装備されず、室内のドアハンドルは布のループ。さらに、軽量フルバケットシートや、専用の軽量ホイールとパッシブダンパーもスタンダードだった。今回、バケットシートはオプションで、軽量ホイールや専用パッシブダンパーは用意されていない。

結果、燃料とドライバー抜きでの重量は1470kgとなり、これは911GT3のMT仕様より52kg重いが、カレラSよりは10kg軽い。さらなる軽量化を図れば、価格はもっと上がってしまったはずだが、カレラカレラSの間に収まった。とはいえ、10kgでは売りにできるほど軽くなったとは言い難い。

内装 ★★★★★★★★☆☆

カレラTの特徴となっているアゲートグレーのパーツは、内装にも多数使われている。さらに有償オプションで、シートベルトやシートのディテール、カーペットのステッチをスレートグレーにすることもできる。しかし、ショートストロークのシフトレバーは選べない。マットブラックに車名ロゴの入ったシルプレートは、控えめながら他グレードとの差別化ポイントだ。

主要な操縦系のレイアウトとエルゴノミクスは、おおむねベリーグッド。低く、サポートの効いたドライバーズシートは、背の高いドライバーでも満足できるスペースを備えている。ステアリングコラムの調整幅は広い。ペダルはやや室内側へオフセットしているが、数十年前の911ほどひどくはない。

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3つのペダルは、やや左に寄っているが、昔の911ほど極端ではない。GTステアリングホイールは標準装備だ。    JACK HARRISON

MTのシフトレバーは扱いやすい位置にある。その近くには、二次的操作系でも重要なものが配置される。視認性は、少なくともスポーツカーの基準に照らすと、全方位ともかなりいい。

メーターパネルはデジタルとアナログミックスで、ポルシェではよく見るもの。さまざまな情報から必要なものを選んで表示できるので、走行中にインフォテインメントディスプレイを注視する機会は減る。

小径のGTステアリングホイールは、操舵入力のダイレクトさを増す。その右側には走行モードのセレクターが据え付けられ、ウェット/ノーマル/スポーツ/スポーツプラス/インディヴィデュアルが選択できる。

積載スペースの実用性は、このクラスではすばらしいものだが、それは911に期待されるとおり。132Lのフロントトランクは大きめのスーツケースも収まり、後席に相当するスペースは大きな荷物も収まるスペースと、リアウインドウ下の固定用ポイントが備わる。さらに、無償オプションで後席を取り付けることもできる。

走り ★★★★★★★★★☆

現行911には650psあるようなものもある中で、カレラTの385psは手に負える数字に思える。止まない雨の中で、理想的な発進加速を得ようとしていてもそう感じる。305幅のリアタイヤは、ウェット路面でもかなりのトラクションを産み、911特有のリア偏重な重量配分を支える。さらに、それを使い切らなくても、1〜2速では速さを感じられる。

ポルシェのウェットモードは、現行911で導入された。トラクションとスタビリティの電子制御を積極的に使うものだが、アクティブ制御の冷却や空力、自動変速機トルクベクタリングのセッティングも変更される。

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ウェットモードは想定どおりの効果を発揮する。7速は高速巡航用と思えば、6速MTと変わらず操作できる。    JACK HARRISON

実際のところ、少なくともMTで後輪駆動カレラTでは、その効果はあまり感じられない。ローンチコントロールのようなトラクションのマネージメントシステムはないし、すべての電子制御がアクティブでも駆動輪はスピンし、発進時にパワーをかけすぎると、水溜りに足を取られる。

それでも、ウェットモードはスタンディングスタート最適化してくれる。0−97km/hの最速タイムは、ウェットモード選択時で4.8秒、非選択時で4.9秒。理想的なコンディションで記録された4.3秒の公称値にも、大きく引き離されてはいない。

少なくとも高性能ターボエンジンの基準に照らせば、このフラット6はかなり歯切れよく、プログレッシブで、よく回る。そのパワーデリバリーと、ポルシェにありがちなロング気味のギアレシオが、この結果に大きく寄与する。

エンジンのブーストは、ペダルを踏み込んでから立ち上がるのにわずかな間が必要だが、爆発的な力ではなく、扱いやすい推進力が広い回転域で発生し、7000rpmを超えるまでハードに働き続けてくれる。

そのため、最大トルクは45.9kg-mに過ぎないが、インギア加速はかなり早く感じ、その後も引っ張り続ける。4速での80−113km/hは、ウェットコンディションで3.4秒だったが、ドライで計測したシボレー・コルベットでも3.1秒だった。しかも、そのまま変速なしで楽に225km/hまで引っ張れる。コルベットは8速DCTの4速で、188km/hまでしか出ない。

このパワートレインには、力強さとフレキシビリティが明らかにある。ハードに働き、レスポンスがよく、よく回り、このクルマに合わないところはまったくない。

これによく合っているのが、ギア比選択も絶妙なMTだ。短く、やや重く、みっちり詰まった手応えのシフトは、すぐに直観的に操作できるようになる。7速あっても、普通に走っている分にはさほど複雑ではない。というのも、7速を使う機会は、ゆったり高速道路クルーズするときくらいだから。それを除けば、うまくチューニングされた魅力的な6速MTと変わりないわけだ。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

10.9インチのタッチ画面を用いるPCMインフォテインメントシステムは、992型が導入された2019年にソフトウェアを更新した。新しいシステムはレイアウトがシンプルになったが、ポルシェコネクトを介したコテクティビティが改善し、AppleとAndroidのミラーリングが加わった。ただし、ワイヤレス接続ではない。

純正ナビは表示がクリアで、入力が素直で、視認性も高い。地図をメーターパネル内に表示することもできる。目的地の音声入力は大体一度で受け付け、リルートもなかなかいい感じだ。

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インフォテインメントもオーディオも、まずまず満足できるレベル。とは言え、遮音性と引き換えに軽量化したカレラTは、オーディオを楽しむのに理想的なクルマではない。    JACK HARRISON

標準オーディオは8スピーカーの150Wシステムだが、テスト車は1152ポンド(約21万円)のボーズ・サラウンドサウンドシステムを装備。パワーはかなりあり、再現度は全般的に良好。もっとも、遮音性を下げたカレラTは、走るオーディオルームとして理想的とは言えない。

燈火類

LEDヘッドライトは標準装備。アクティブタイプのPDLSは2361ポンド(約43万円)のオプションで、テスト車にも装備されていた。

ステアリングとペダル

ブレーキペダルがセンターど真ん中で、その左右にクラッチとスロットルの各ペダルがほぼ等間隔に配置される。一見すると理想的な位置だが、全体的にもう少し右寄りならもっといい。実際には、ホイールハウスがあるので難しいのだが。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

カレラTには、驚くほど妥協のないスポーティなキャラクターがある。カレラカレラSの間の妥協点だと思っていると、予想できないくらいだ。たとえこのモデルのメカニズム構成に精通していても、おそらく乗り心地もハンドリングもカレラSのオプション装備車くらいに考えるのではないだろうか。

ところが、このクルマ独自の、サスペンションとパワートレインセッティングやホイールとタイヤとの組み合わせ、そして遮音材の欠如は、一般的な911よりやや硬く乱れやすい乗り心地を生む。複合的な路面では、明らかに粗くうるさい

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911としては低価格だが、カレラTはワイルドで、グリップが効き、ダイレクトなモデルだ。4WSはスタビリティやアジリティを高めるが、全体的なピュアさを損ねてもいる。    JACK HARRISON

そのいっぽうで、グリップ感は強く、より安定して、挙動はわずかながらダイレクトになっている。好ましくないものではない。しかしおそらく、ファンが期待するような、より味わい深く、アナログさの増した、昔ながらの911らしさを感じさせるものでもない。

要するに、これはむしろ目的のはっきりしたスポーツカーで、舗装のいい道路やサーキットでのグリップや、長距離を集中して飛ばすことを目指したクルマだ。サーキットでは、ウェットコンディションであっても、ほんの数世代前のGTモデルなら手に入れるのに苦戦したようなグリップボディコントロール、コーナリングでのスタビリティを発揮する。

不整路面では、PASMスポーツを装備したほかの992モデルと同じく、ボディコントロールの全体的な器用さに欠けている。波長の大きいバンプでは、サスペンションのトラベルが尽きないかヒヤヒヤし、時にはきつい入力で暴れてしまう。それでも、運転したくなる。安定感やしなやかさが常に期待通りというわけではないにしてもだ。

テスト車は、オプションの4WS搭載車で、高速コーナリングでのスタビリティと、低速時のアジリティが高められているのはたしかだ。だが、これがなければ、もう少しナチュラルで、表情豊かな走りをみせたのではないだろうか。

それでも、この操舵システムがシャシーを根本的に変えたわけではない。レギュラーシリーズの911が、いかにシリアススポーツカーたり得るかを示すために、ハードに走らせたくなるクルマであることはそのままだ。

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

ポルシェ911は、比較的騒々しい乗り心地のスポーツカーだ。だいぶおとなしくなったと言われる最新モデルであってもである。その原因は、リアが重たく、それを支えるタイヤが太く、スプリングも硬いことだ。

遮音材とリアシートを排除したことで、カレラTはかなりのノイズを伝えてくる。耳栓をしたいほどではないが、ほかの911よりそやな感じがある。きつめの入力を受けると、衝撃も明らかに出る。

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リアタイヤの太いRRレイアウトゆえに、乗り心地には粗さがある。田舎道でサスペンションをソフトにすると、快適性より落ち着きのない乗り心地を強めてしまう。    JACK HARRISON

ほかの992に見られるような高級感は薄い。ただし、高速道路を走ると、全体的には落ち着いていて快適。カントリーロードでは、硬めのセッティングを選ぶと、アダプティブサスペンションがよりプログレッシブなレスポンスをみせる。逆にソフトにすると、やや抑えが効かず、快適になることはほぼない。

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

インフレ傾向にあっても、911の値上がり幅は大きい。2019年にテストした992カレラSのPDK仕様は18%高くなった。アウディR8も同様の値上げ率だが、ジャガーFタイプRは10%程度で、BMW M4コンペティションやマクラーレンGTは3%にとどまっている。

そのため、10万7770ポンド(約1983万円)というカレラTの価格に驚いたテスターがいたのも無理はない。ポルシェは人気の高さゆえに残価も高い。そこを見込んだユーザーから不満の声があまり上がらないのを見越して、強気の値付けをしているという印象だ。

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992の残価率はやはり強い。価格は高いが、Fタイプに比べれば、3年後の損失が3000ポンド(約55万円)抑えられる。

そうは言っても、400psに満たないスポーツカーに、10万ポンド(約1840万円)以上の値付けをしている量販スポーツカーが、しかも、それでも売れるという自信のあるメーカーが、はたしてどれだけあるだろうか。装備内容も自信の根拠なのかもしれないが、サスペンションとパワートレインがアップグレードされたらさらにうれしいことになっていたはずだ。

はたして、これがコスパ最強の911かというと、価格などを考えるとそうは見えないだろう。それでも、ツーリング燃費が14km/L近く、満タンで650km以上走れる上に、荷物を積むにも困らないスポーツカーは希少だ。

スペック

レイアウト

カレラTのレイアウトは、もっともシンプルな911のそれだ。リアに積まれたフラット6は、後輪のみを駆動する。アダプティダンパーは標準装備で、4WSはオプション。スタビライザーは一般的なものだ。

燃料が1/4入ったテスト車の実測重量は、公称のDIN値よりわずかに軽かった。前後重量配分は36:64だった。

エンジン

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もっともシンプルな類の911で、リアエンジンの後輪駆動。テスト車の実測重量は、公称のDIN値よりわずかに軽く、前後重量配分は36:64だ。

駆動方式:リア縦置き後輪駆動
形式:水平対向6気筒2981cc、ツインターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ91.0×76.4mm
圧縮比:10.2:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:385ps/6500rpm
最大トルク:45.9kg-m/1950〜5000rpm
エンジン許容回転数:7500rpm
馬力荷重比:263ps/t
トルク荷重比:31.2kg-m/t
エンジン比出力:129ps/L

ボディ/シャシー

全長:4530mm
ホイールベース:2450mm
オーバーハング(前):-mm
オーバーハング(後):-mm

全幅(ミラー含む):2020mm
全幅(両ドア開き):3800mm

全高:1293mm
全高(エンジンフード開き):1800mm

足元長さ(前席):最大1120mm
足元長さ(後席):-mm
座面~天井(前席):最大1000mm
座面~天井(後席):-mm

積載容量:132L

構造:スティール/アルミ、モノコック
車両重量:1470kg(公称値)/1456kg(実測値)
抗力係数:0.30
ホイール前/後:8.5Jx20/11.5Jx21
タイヤ前/後:245/35 ZR20 91Y/305/30 ZR21 100Y
ピレリPゼロNA1
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:7速MT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:3.91/9.0 
2速:2.29/15.3 
3速:1.58/22.2 
4速:1.18/29.6 
5速:0.94/37.1
6速:0.79/44.3 
7速:0.62/56.5 
最終減速比:3.56:1   

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:10.8km/L
ツーリング:13.8km/L
動力性能計測時:5.3km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.3〜5.5km/L
中速(郊外):9.3〜9.7km/L
高速(高速道路):10.9〜11.4km/L
超高速:10.8〜11.5km/L
混合:9.2〜9.7km/L

燃料タンク容量:64L
現実的な航続距離:689km
CO2排出量:234〜247g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラットコイルスプリング、スタビライザ
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:11.2m

ブレーキ

前:330mm通気冷却式ディスク
後:330mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、PSM
ハンドブレーキ:電動、センターコンソール中央にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:44dBA
全開時(3速):73dBA
48km/h走行時:60dBA
80km/h走行時:64dBA
113km/h走行時:66dBA

安全装備

ABS/PSM/ブレーキ拡張機能ブレーキアシスト歩行者検知機能付き)
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:ウェット路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):2.1秒
0-40(64):2.7秒
0-50(80):4.0秒
0-60(97):4.9秒
0-70(113):5.9秒
0-80(129):7.7秒
0-90(145):9.1秒
0-100(161):10.6秒
0-110(177):13.0秒
0-120(193):15.3秒
0-130(209):17.9秒
0-140(225):21.4秒
0-402m発進加速:13.2秒(到達速度:179.3km/h)
0-1000m発進加速:23.5秒(到達速度:230.8km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
シボレー・コルベットC8 3LTクーペ(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):1.8秒
0-40(64):2.4秒
0-50(80):3.1秒
0-60(97):3.9秒
0-70(113):5.0秒
0-80(129):6.2秒
0-90(145):7.5秒
0-100(161):9.1秒
0-110(177):10.9秒
0-120(193):13.2秒
0-130(209):15.9秒
0-140(225):19.2秒
0-402m発進加速:12.3秒(到達速度:188.1km/h)
0-1000m発進加速:22.3秒(到達速度:238.3km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1.8秒(2速)/2.9秒(3速)/4.6秒(4速)

30-50(48-80):1.8秒(2速)/2.5秒(3速)/3.5秒(4速)/5.3秒(5速)/7.5秒(6速)

40-60(64-97):1.9秒(2速)/2.5秒(3速)/3.2秒(4速)/4.4秒(5速)/6.0秒(6速)/10.4秒(7速

50-70(80-113):1.9秒(2速)/2.7秒(3速)/3.4秒(4速)/4.3秒(5速)/5.5秒(6速)/9.0秒(7速)

60-80(97-129):2.8秒(3速)/3.6秒(4速)/4.5秒(5速)/5.6秒(6速)/8.5秒(7速)

70-90(113-145):2.8秒(3速)/3.8秒(4速)/4.8秒(5速)/6.0秒(6速)/8.5秒(7速)

80-100(129-161):3.0秒(3速)/4.0秒(4速)/5.1秒(5速)/6.6秒(6速)/9.3秒(7速)

90-110(145-177):3.4秒(3速)4.2秒(4速)/5.7秒(5速)/7.2秒(6速)/10.6秒(7速)

100-120(161-193):4.5秒(4速)/6.2秒(5速)/8.2秒(6速)

110-130(177-209):5.1秒(4速)/6.8秒(5速)

120-140(193-225):6.4秒(4速)

制動距離

テスト条件:ウェット路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):25.7m
70-0マイル/時(80km/h):51.6m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.18秒

ライバルの制動距離

シボレー・コルベットC8 3LTクーペ(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-0マイル/時(48km/h):9.3m
50-0マイル/時(64km/h):24.1m
70-0マイル/時(80km/h):45.6m

各ギアの最高速

1速:67.6km/h(7500rpm)
2速:114.3km/h(7500rpm)
3速:165.8km/h(7500rpm)
4速:222.1km/h(7500rpm)
5速:280.0km/h(7500rpm)
6速:292.9km/h(6608rpm)
7速:(公称値):292.9km/h(5186rpm)

7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1995rpm/2280rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

992世代のポルシェ911で、フルサイズスポーツカーにおける多くの重要な点でベンチマークになれなかったモデルは今のところ見ていない。今回のカレラTもそうだ。

この新たな、スポーティさを強めた911は、エンジンこそエントリーレベルだが、現実的な速さやフレキシビリティ、エンジンの魅力といった、トップレベルのドライバーズカーに必須の要素を備えている。さらに、出来のいいMTのおかげで、パドルシフトのライバルでは得られない一体感も味わえる。

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結論:シャープな911は好ましいシンプルさを備えるが、見逃せない妥協も招く。    JACK HARRISON

走りの落ち着きぶりや、狙いの明確なハンドリングは、かなりの速度を出すことを可能にする。しかし、911S/Tのコストダウン版や、手応えのよさやアナログ感、扱いやすいハンドリングを得たカレラSを期待しているなら、そこは失望するだろう。

カレラS、もしくはカレラの快適性や走りの万能性は、ほとんどの911購入者にとって、カレラTをやや本命から外れたモデルとしてしまうだろう。しかし、速いが、いかにも速いモデルより安価な911を求めているなら、かなり魅力的な仕様となるに違いない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

うまくチューニングされた質のいいパッシブダンパーと軽量鍛造ホイールを装備すれば、これは化けるクルマだ。そうなれば、新型のスペシャルモデルというより、コンフィギュレーターでたまたまうまく作り上げた仕様のように思えるだろう。

イリヤ・バプラート

ドアのデカールは好き嫌いが分かれるアイテムだ。そのためポルシェは、これの有無を無償で選択できるようにしている。個人的には貼りたくない。

オプション追加のアドバイス

標準設定される目立つボディカラーと標準ホイールに、4356ポンド(約80万円)のフルバケットシートと、1965ポンド(約36万円)のフロントリフトシステムを選ぼう。4WSは不要だ。

改善してほしいポイント

・内装にほかのモデルとの差別化ポイントがなにかしらほしい。
・もっとピュアアナログ感覚の乗り心地とハンドリングを実現するべく、うまくチューニングされたパッシブサスペンションを用意してもらいたい。
・軽量で、常にうるさい高性能エキゾーストがあればもっと楽しい。そういう要望は多いはずだ。


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