ディズニープラスで好評配信中の「スター・ウォーズ」の最新ドラマシリーズ「スター・ウォーズ:アソーカ」。元ジェダイのアソーカ・タノ(ロザリオドーソン)を主人公とする物語は、彼女が登場した過去のアニメシリーズ「スター・ウォーズクローン・ウォーズ」、「スター・ウォーズ 反乱者たち」と大きくリンクした描写が多く、ファンの間で大きな盛り上がりをみせている。今回は、そんなアニメシリーズからのつながりを中心に第1~4話までの見どころを解説していこう。

【写真を見る】ファンも絶賛!アニメーションそのままのトリッキーな動きをするチョッパー(「スター・ウォーズ:アソーカ」)

※以降、「スター・ウォーズクローン・ウォーズ」「スター・ウォーズ 反乱者たち」「スター・ウォーズ:アソーカ」のストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

■「スター・ウォーズ 反乱者たち」から地続きの物語が展開される「スター・ウォーズ:アソーカ

アソーカ」の第1話、第2話にかけての大きな見どころは、「反乱者たち」の最終回のラストシーンを膨らませる形で実写化し、物語の導入に据えていることだ。「反乱者たち」の締めくくりとなったのは、シーズン4の第15話。銀河帝国への反乱活動をしていた小規模組織「ゴースト・チーム」は、最終決戦において主人公である若きジェダイのエズラ・ブリッジャーの故郷であり、彼らの活動の中心であった惑星ロザルから帝国軍を排除する作戦を実行する。

この戦いで、エズラは帝国軍の大提督である知将、スローンを排除するためにある策略を準備していた。それは、星系から星系へと旅をする巨大な宇宙クジラ、パーギルの群れをスローン率いる艦隊と衝突させるというものだった。フォースによってパーギルと精神的なつながりを持っていたエズラの策略は成功するも、パーギルは彼とスローンが乗っていたスター・デストロイヤーをつかみ、そのままハイパースペースに突入。別の銀河へと旅立っていった。

エズラの英雄的な行動によって、惑星ロザルは帝国軍から解放。さらに、それから5年後には、皇帝であるパルパティーンも倒されて銀河帝国は大きく衰退した。「反乱者たち」のラストシーンでは、平和を取り戻したロザルで、英雄として壁画に描かれたゴースト・チームのメンバーの姿を確認したサビーヌ・レンが、アソーカと共に新たな旅に出る様子を映して幕を閉じた。そして、「アソーカ」第2話の後半には、このラストシーンがほぼ“実写映像化”されている。「反乱者たち」ラストの旅立ちの続きをしっかりと描くことが示されており、本作はアソーカを主人公に据えた「反乱者たち」の続編的な物語であることがわかる。第3話アソーカたちが乗るT-6シャトルと敵対するシン・ハティ(イヴァンナ・ザクノ)たちが操縦するスターファイターのチェイスシーンでは、パーギルの群れと遭遇するシーンまで登場。実写映像として、「反乱者たち」よりもさらにダイナミックで壮大な描き方がなされていた。

■実写化された「スター・ウォーズクローン・ウォーズ」&「スター・ウォーズ 反乱者たち」の要素

ここからは、登場キャラクターやメカを中心に、「クローン・ウォーズ」、「反乱者たち」から引き継がれている要素を追っていこう。

●ジェダイの知識を持つドロイド“ヒュイヤン”

アソーカのサポート役として登場したドロイド、ヒュイヤンは「クローン・ウォーズ」にて初登場。ヨーダよりも古い1000年以上前からジェダイに仕え、膨大な知識を持つヒュイヤンは、幼いジェダイにライトセーバーの作り方を教えていた。かつての経験からか、口うるさい教育係的な口調が特徴となっている。単なる知識を持つドロイドではなく、ジェダイの様々な訓練にも対応できるように隠し腕があり、戦闘能力も備えていることが本作では明らかになった。「クローン・ウォーズ」で演じていたデヴィッド・テナントがそのまま続投しているのもニクい。

アソーカの愛機“ T-6シャトル”

劇中でアソーカが愛機として使用しているT-6シャトルの初登場は「反乱者たち」のラストシーン。その時はほんのわずかしか映らなかったが、本作ではアソーカの家として、移動用の足として活躍。翼が航行状態に応じて縦、横に可変するシステムや、居住可能な内部構造なども表現されており、本作のメインビークルとしての存在感をみせつけてくれる。ちなみに、アソーカが通信で使っているコードネーム“フルクラム”は、「反乱者たち」でゴースト・チームに正体を隠して協力していたころから使用しているものだ。

●サビーヌが暮らす惑星“ロザル”

帝国軍が崩壊し、改めて惑星ロザルが解放されたことを祝う式典に、英雄であるゴースト・チームのメンバーとして招かれていたサビーヌ・レン(ナターシャ・リュー・ボルディッツォ)。ここで、エズラが解放に尽力した故郷が大きく復興している様子が描かれる。彼女を式典に呼んだ人物は、ロザルの総督であるライダー・アザディ(クランシー・ブラウン)。彼はエズラの両親の同志であり、ゴースト・チームにも協力した人物だ。また、サビーヌが自宅にしているのはかつてのエズラの家であり、デザインも「反乱者たち」を踏襲。飼っている動物は、ロザルを中心に生息するロズ=キャット。「反乱者たち」の劇中にも何度も登場してインパクトを残したモフモフの宇宙ネコが、実写でもイメージ通りに再現されている。消息不明のエズラの姿は、彼がサビーヌに宛てたホログラムメッセージで確認することができる。

●ヘラ・シンドゥーラとチョッパー

ゴースト・チームのリーダーであり、彼らの母艦である軽貨物船“ゴースト”の船長でもあったヘラ・シンドゥーラ(メアリーエリザベスウィンステッド)。本作では、反乱運動での功績が認められ、新共和国の将軍となっている。彼女が連絡を取る新共和国の指導者として登場するのがモン・モスマ(ジュヌヴィエーヴ・オライリー)。『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還 (エピソード6)』(83)、『スター・ウォーズ/シスの復讐 (エピソード3)』(05)、「クローン・ウォーズ」、「キャシアン・アンドー」、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)、そして「反乱者たち」にも登場したシリーズにおける重要人物が本作にも姿を見せている。

ヘラの相棒であるアストロメクド・ロイドのC1-10P、通称“チョッパー”も「反乱者たち」の姿のまま登場。第2話では、ゴーストの後部に収容されていたスターファイター“ファントムII”にヘラと共に乗り込み、ドッグファイトをサポートする姿を披露した。そして、第4話ではヘラの息子であり、彼女の恋人だったケイナン・ジャラスの忘れ形見であるジェイセン・シンドゥーラ(エヴァン・ウィッテン)と共に、満を持してゴーストに乗り込んでいる。ちなみに、もう一人のゴースト・チームのメンバーであるラサット族の戦士、ゼブことガラゼブ・オレリオスは、新共和国のパイロットとなっており、「マンダロリアン」シーズン3の第5話でその姿を見せて話題となっていた。ほかのドロイドに比べるとトリッキーな動きが特徴だったチョッパーが、CG技術を駆使して実写でも違和感なくそれが表現されていた。

●“世界の狭間の世界”とかつてのアソーカの師

スローン大提督(ラース・ミケルセン)が送られたとされる銀河への道筋を示す“地図”を奪い合う戦いで、ついにアソーカが敵対するかつてのジェダイ、ベイランスコール(レイ・スティーヴンソン)と相まみえた第4話。自身の師であるアナキン・スカイウォーカー(ヘイデンクリステンセン)を知るベイランを相手に、いつもの二刀流ではなくアナキンの得意としていた構えを見せていた。「クローン・ウォーズ」での、アナキンアソーカの関係性を思わせる演出となっている。一度は地図の起動を止めたアソーカだが、その時にダメージを負ってしまい、ベイランの攻撃を凌ぎきれずに追い詰められて断崖から転落してしまう。

彼女が目覚めたのは、漆黒のなかにすべての時と空間につながる回廊とも言える“世界の狭間の世界”。「反乱者たち」では、エズラがジェダイ寺院の封印を解除して訪れた場所であり、そこでアソーカは彼に一度命を救われている。「アソーカ」でも再び、世界の狭間の世界に訪れたとおぼしきアソーカは、そこでアナキンと遭遇する。フォースのダークサイドに堕ち、ダース・ベイダーとなったアナキンは、「反乱者たち」でアソーカと刃を交えていた。死の間際にライトサイドに帰還したアナキンアソーカとの再会は、今後の展開にどのような影響を与えるのだろうか?

全8話の物語も折り返しを迎えた「スター・ウォーズ:アソーカ」。アソーカ、サビーヌ、ヘラにとって大切な存在であるエズラは生きているのか?そして、新たな戦争の元凶となるスローン大提督が銀河に帰還し、帝国が力を取り戻してしまうのか?オレンジのライトセーバーを振るうフォース感応者、ベイランスコールとシン・ハティとの戦いの行方は?多くの謎が集約される物語の後半戦も見逃せない!

文/石井誠

「スター・ウォーズ:アソーカ」に込められた「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」&「スター・ウォーズ 反乱者たち」の要素を深掘り!/[c]2023 Lucasfilm Ltd.