アメリカ・台湾・中国の国旗

台湾を巡る情勢が悪化の一途を辿っている。台湾は有事を念頭に男性の徴兵期間を4ヶ月から1年に延長し、元兵士の女性が再び軍事訓練に参加することを認めた。


■Xデーが近づく台湾有事

台湾の国防費は鋭く増加傾向にあり、台湾市民の間でも軍事訓練避難訓練に参加する動きが拡がっている。米国は台湾への軍事支援を強化し、中国は台湾への軍事的威嚇を常態化させている。

中国から台湾へのサイバー戦、情報戦もエスカレートしており、すでに平時とは言えないような状況だ。台湾には2万人の日本人がいて、日本企業の間でも如何に駐在員を避難させるかの動きが拡がっている。


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■朝鮮有事と同時発生か

だが、最悪のシナリオは台湾有事ではなく、台湾有事と朝鮮有事の同時発生だとの指摘が浮上している。米国の有力シンクタンクアトランティック・カウンシル」は台湾有事と朝鮮有事が同時期に発生し、米国やその同盟国が2正面戦争に直面するシナリオを示した。

いくつかシナリオはあるのだが、1つに台湾有事勃発後に朝鮮有事となるシナリオがある。台湾有事となれば、おそらく在沖縄米軍を中心に関与し、米中が直接軍事衝突することになる。

しかし、米軍が対中国に時間やコストを割かれることは避けられず、在韓米軍も関与する可能性がある。そうなれば、中国軍も韓国にある米軍基地を攻撃する恐れがあり、韓国も台湾有事に巻き込まれる。そして、韓国軍も在韓米軍も台湾有事にマンパワーを集中的に割り当て、朝鮮半島が軍事的に手薄になる恐れがある。

そうなれば北朝鮮が挑発的な行動をエスカレートさせることは間違いなく、朝鮮半島の安全保障は極めて軍事的緊張が高まるだろう。台湾有事と朝鮮有事の同時発生は決して夢物語ではなかろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

最悪のシナリオは台湾有事だけではない 台湾有事と朝鮮有事の同時発生