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画像は五彩さん公式YouTubeより

8月17日に急逝した”ごしゃいしゃん”の愛称で知られる美容系クリエイターでYouTuberの五彩緋夏さん(享年24)。亡くなってから3週間が過ぎたが、今も死因は明らかにされていない。

五彩さんは、メイクアップ動画などが好評のYouTubeチャンネルの登録者数は87万人で、これまで2冊の著書、カラーコンタクトもプロデュースするなど、マルチに活動していた。SNS上では五彩さんからの影響を公言する声が多く、若い女性に対して絶大な影響力を持っていた。

そんな五彩さんは、メイク動画だけではなく、自分の容姿についての葛藤も頻繁に発信してきたことでも知られている。たびたび醜形恐怖症を患っていると明かし、美容整形したことも公表していた。

‘19年9月に投稿した動画内でも、「自分が汚く醜く見えて仕方がなかった」「人から何か言われると、特に見た目のこと何か言われるとすぐに落ち込む、鏡見る、可愛くない日は外に出れない」と整形をするに至った胸の内を明かしていた。

現代社会で五彩さん同様に、「醜形恐怖」に悩む人は少なくないようだ。そこで、早稲田メンタルクリニックの院長で、YouTubeなどで精神科の病気について発信している益田裕介先生に、醜形恐怖症について話をきいた。

――「醜形恐怖症」とはどんな病気ですか?

「醜形恐怖症は整形依存と言われることもあり、『このホクロを取らなければいけないのでは』『鼻が低いのをなんとかしなければ』のように、病的なまで自分の外見のことばかりに考えが囚われてしまう病気です。そのような心理状態に加えて、整形のために多額の借金をしていたり、家から出られないなど社会的な問題も起きていることが診断の基準になります」

――益田先生がクリニックを運営しているなかで、どういう人が醜形恐怖症の相談に来ますか?

「女性が圧倒的に多く、なかでも若い人が多いです。今はSNSで簡単に美容整形のことを知れたり成功体験が出回っているので、年々増えている印象です。

美容整形に通ったことのある人の5〜10%は醜形恐怖症であると言われており、美容整形をやめられず、手術する場所もいよいよなくなり、ついには医師にも断られる人もいます。ついには『精神科で醜形恐怖症ではないという診断書があれば手術をしてもらえるので診断書を書いてほしい』と言われ、来院する人さえいます」

――醜形恐怖症(=整形依存)の原因となるものはなんですか?

「醜形恐怖症の患者さんは、『人生がうまくいかないのは自分の顔が可愛くないからだ』『自分が可愛くなれば自信が持てて、仕事や恋愛も上手くいくはず』など、自分の外見の問題さえ解決すれば、生きる上での困難が解決できるという思いに囚われている人もいます。

誰しも人間関係の悩みや自分の劣等感などを抱えていると思いますが、醜形恐怖症の患者さんはその原因が外見の問題にあると無意識にすりかえてしまうので、外見に固着してしまうのです」

――醜形恐怖症の人が、美容整形をするメリットとデメリットについて教えてください。

「美容整形することが全部悪いわけではなく、美容整形をすることで気持ちがガラッと変わる患者さんがいるのも事実です。

ただ、諦めきれず、何度もさまざまな場所を変えたくなる人もいるので、やはり精神科の医師やカウンセラーなど周囲の人と相談することが大事です」

最後に、自身の容姿に悩む人について益田医師はこうアドバイスする。

「もし私は醜形恐怖症かも?と悩んでいる人がいたら、気軽に心療内科に診療にきてください。醜形恐怖症の患者さんは、胸の内を言葉にすることや変化への対応が苦手な傾向があります。心療内科に来て、その辺りをうまくサポートできる環境を築くのが大事です」