台湾球界で図抜けた存在感を放つ21歳の曽峻岳は、日本のスカウト陣からも熱視線を注がれている。(C)Getty Images

 台湾球界で存在感を強める21歳の若武者に熱い視線が注がれている。台湾プロ野球・富邦ガーディアンズに所属する最速158キロを投げる右腕・曽峻岳が、来季から日本球界でプレーする可能性が急浮上した。

 日本でいえば、中日の根尾昂ロッテ藤原恭大らと同世代の曽峻岳。まだまだ粗削りながら特大の可能性を秘めた剛腕リリーバーだ。今季は台湾プロ野球で43試合に登板して16セーブを挙げ、防御率1.11、被安打率0.86と抜群の安定感を誇る。

【動画】NPB7球団が争奪戦を繰り広げる超逸材! 台湾の157キロ右腕をチェック

 新人王を獲得した昨シーズンには、台湾出身選手としては最速タイ記録となる157キロをマーク。今年3月には、高卒3年目ながらワールド・ベースボール・クラシックWBC)に台湾代表として出場するなど、国際的な実績も積んでいる。

 無論、飛躍的な成長を遂げている21歳の存在は、NPB球団にとっても垂涎の的だ。「NPBの7球団が興味を示している」と報じる台湾メディア『ET today』によれば、日本ハムオリックスDeNAロッテ、楽天、巨人、ソフトバンクが水面下で争奪戦を展開。そのなかで稲葉篤紀GMが台湾を訪れるなど、ラブコールを送り続けている日本ハムが「本命だろう」と伝えている。

 もっとも、本人は周囲の喧騒を意に介していない。日本球界移籍の話題についても「シーズンはまだ終わっていない。自分はそんなことを考えず、まずはチームが勝てればそれでいい」と語る。そんな若手とは思えない堂々たる振る舞いを見せる怪腕には、台湾球界が世界に誇るレジェンドも太鼓判を押す。かつてMLBの名門ヤンキースで一世を風靡した王建民氏だ。

 現在、台湾プロ野球の中信兄弟で投手コーチを務める王建民氏は、曽峻岳について『ET Today』で「彼はかなりの進歩を遂げており、今ではしっかりとクローザーをこなしている」と高卒3年目とは思えない実力を絶賛。そのうえで、こう熱弁を振るっている。

「彼は速球がずば抜けていい。それでいてチェンジアップスライダーも鋭い。球速とスライダーの角度はかなり良いし、将来的にさらなる成長の余地がある。私は必ずしも日本のプロ野球だけでなく、自分がどこに行けば成長できるのかを考えてほしい。もしも、海を渡る機会があるなら、海外の野球を学ぶことができるはずだ」

 メジャーリーグの酸いも甘いも知るレジェンドも称えるポテンシャルは実に興味深い。そんな台湾の至宝が水面下で勃発する争奪戦の末に、いかなる決断を下すのかが注目される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

NPB7球団が争奪戦を繰り広げる最速158キロの“台湾の至宝”は何者か? 元ヤンキース王建民が太鼓判を押す「可能性」