多くの旅客機の座席には、窓際なのに窓がない席があります。同じ会社の同じ機種でもあったりなかったりも。これらの席はなぜ発生するのでしょうか。JALに聞きました。

「窓なし席」の壁には配管が

航空会社で就航する多くの飛行機の座席には、「窓際なのに窓がない」席があります。たとえばJAL日本航空国内線ボーイング767「A25」座席配置(252席)では、胴体中央部19列目、最後列50列目のシート番号において窓際席が壁になっています。なぜこのような席が生じるのでしょうか。

JALに聞いたところ「エアコンの配管を通しているためです」と話します。

現代のジェット旅客機が飛んでいる高度1万mでは、外の気温が摂氏マイナス50度にもなります。対しエアコンが効いている機内の室温は摂氏25度前後で、旅客はおおむね地上との違和感なく過ごすことが可能です。

多くの機種において機内の空気は、エンジンに取り込まれた高圧空気の一部を空調したもので、そののち客室の天井に一旦送られてから機内に流されます。おもにこの空調配管が通っているのが、窓なし席の壁の中だそうです。

なお空調処理を行う中枢部分(空調パック)は、主翼の付け根にあるのが一般的です。配管はこの主翼付近に設置されていることが多いことから、翼の上や胴体中央部に窓なし席が多く発生する傾向にあります。

実は減少傾向? 「窓なし席」の現状

JALによると、新しいモデルの飛行機は、配管などのパーツが小型化され以前ほどスペースを取らなくなったため、窓なし席は徐々に減少傾向にあるとのこと。

同社の国内幹線むけ主力機であるエアバスA350-900は、従来機のボーイング777-200とほぼ同様の座席数にもかかわらず、窓なし席は39列目の1列のみ。777-200国内線仕様機は15列目、25列目、45列目の3列に窓なし席がありましたが、3分の1にまで減少しています。

ちなみに、飛行機における座席配置のルールは「窓ひとつにつき1列」と決められているわけではなく、各航空会社の裁量で決められています。

加えて同じ会社の同じ機種でも、窓なし席があるものとないものがあります。一般的に国内線仕様機は、座席の列を多く配することから窓なし席が増え、逆に国際線仕様機は座席数も少なめで列が減るため、窓なし席も減る傾向です。また国際線仕様機では、キッチン(ギャレー)などの機内設備を窓がない場所に設置するパターンもあります。

なおJALやANA(全日空)では、チケット予約やチェックイン時の座席指定ページで、窓なし席がわかるようになっています。座席指定は空港のチェックイン機やカウンターでもできますが、チケット予約時に前もって指定可能です。

JALのボーイング767-300ER(乗りものニュース編集部撮影)。