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気象庁はきょう11日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。今後、冬の半ばにかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)と予測しています。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、暖冬になりやすい傾向があり、この冬も高温傾向が続く可能性があります。

8月の実況

8月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は7月から上昇して+2.2℃となり、基準値より高い値でした。
エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の6月の値は+1.4℃となりました。太平洋赤道域の海面水温は中部から東部を中心に平年より高くなりました。海洋表層の水温は太平洋赤道域の中部から東部を中心に平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年よりやや活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年より弱くなりました。

このような太平洋赤道域の状態は、海洋はエルニーニョ現象の状態となっており、大気にもエルニーニョ現象時の特徴が現れつつあることを示しています。

以上から、春からエルニーニョ現象が続いているとみられます。

今後の見通し

実況では、太平洋赤道域の中部から東部にみられる海洋表層の暖水が、東部の海面水温が高い状態を維持しています。大気海洋結合モデルは、太平洋赤道域の中部から東部にかけての海洋表層の暖水が東進し、予測期間中、エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より高い値で推移する可能性が高いと予測しています。

以上のことから、今後、冬の半ばにかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高く(90%)なっています。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

【西太平洋熱帯域】
8月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、冬にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。

インド洋熱帯域】
8月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、秋は基準値に近い値で、冬は基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されます。

エルニーニョ現象とは

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エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。

エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、暖冬になりやすいと言われています。

この先も平年より気温高い 冬も高温続く可能性

最新の1か月予報によると、10月はじめにかけても全国的に気温が平年より高く、特に来週にかけては厳しい残暑が続く見込みです。また、上記のような海洋の状況から、秋だけでなく、冬にかけても高温傾向が続く可能性が高くなっています。

最新の3か月(10~12月)予報と、寒候期(12~2月)予報は、9月19日に発表です。

エルニーニョ監視速報 冬の半ばにかけてエルニーニョ続く 日本のこの冬は暖冬傾向か