9月11日に放送された報道番組「クローズアップ現代」(NHK総合)で、ジャニーズ事務所の性加害について“メディアの沈黙”があったことについて、番組が当時の民放のスタッフに取材を行い、「ジャニーズが使えなくなったらドラマも止まり、番組もできなくなりどうするのか。考えるまでもなくノーだ」「クビ覚悟で取材できたとしても放送はできなかったと思う」という認識だったことがわかった。

ジャニー喜多川氏の性加害問題についての調査報告書で“マスメディアの沈黙”として責任を追及され、性加害の被害者も「メディアが放送してくれれば(被害を)止められた部分も絶対ああるだろうと思うし、(メディアも)同罪と言っていいくらいじゃないか、と思います」と話すなど、メディア側の問題について批判の声が上がる中、「クローズアップ現代」が民放関係者に取材を行った。

元フジテレビのプロデューサーは「ジャニーズは触れない。触ると大ごとになる可能性があるから、やり過ごした方がいい、ということが最初に言われたし、CMとかに出ているタレントさんも多いですから、営業とかスポンサーとか、ジャニーズ関連のものは全てアンタッチャブルにしていく。そこから先は自動的にジャニーズネタが来たらこれは扱えないって瞬時に判断するようになっていく。そこにもう何の疑問も持たない。条件反射」と当時の状況について話す。

さらに2004年の週刊文春によるジャニー喜多川氏のセクハラ報道が事実として認められた時も「例えば、ジャニー喜多川さんが逮捕されたとか、あるいは逮捕令状が出されたという段階であれば、テレビは確実に報道していたと思います。でも別に警察からそういう捜査を受けたという情報は、僕は得ていないので、自分の役割を超えているのかなと思った。報道しなかった結果、今のような事態に至っているので、責任ということで言えばその一端はある」と語った。

また、ある民放の編成幹部は「ジャニーさんのことは会議の議題にも上がらない感じだった。少なくとも編成や制作部に報道が何か言ってきたことはなかった。ジャニーズが使えなくなったらドラマも止まり、番組もできなくなりどうするのか。考えるまでもなくノーだ」と当時の状況を説明。

さらに、ある民放の報道プロデューサーは「番組を横断して調整するジャニ担という御用聞きが局内にいて、その人物以外はジャニーズの話題に触れてはいけないし、マネージャーに電話すらできない状況だった。もしクビ覚悟で取材できたとしても放送はできなかったと思う」とコメントを寄せた。