自社の商品・サービスが売れるようにするには、顧客が何を求めているかを的確にとらえ、訴求する必要があります。どうすれば、顧客が求めているものがわかるのでしょうか。ウェブコンサルタントとして様々な起業家をサポートしてきた草間淳哉氏の著書『集客で悩み続ける起業家のための安定して稼ぎ続ける「月100万レシピ」』(産学社)から、一部抜粋してご紹介します。

「顧客」を具体的にイメージすることから始める

「顧客を知るものはビジネスを制す!」ということで、顧客のことを知れば知るほど、売れる商品・サービス、欲しがられる商品・サービスができあがります。

ここでは提供する顧客を具体的にイメージしていただきたいのですが、この具体的な顧客のイメージをマーケティングの用語では「ペルソナ」といいます。まず、あなたの商品・サービスを必要としている人を、知人の中で1人、具体的にイメージしてください。

現在、優良顧客になっている人でもいいです。その場合は、まだその人と出会う前の状態で考えてみてください。その人の名前は何といいますか?何をしていて、どんなお悩みや課題をお持ちの人ですか? 下記の項目を[図表]のシートに書き出してみてください。  

【1. 氏名、性別、年齢、居住地、ご職業、家族構成、年収、etc.】

わかる範囲でけっこうです。できるだけ明確に書き出してください。

【2. 価値観、大切にしたいと考えていること】

その人は、どんな価値観を持っている人でしょうか?

【3. 悩んでいること、不安、不満、課題】

その人はどんなことに悩んでいるのでしょうか? どんな不安があるのでしょうか? 不満、課題はどんなことでしょうか?

【4. 「1日」の過ごし方】

その人は、朝何時に起きて、何時に寝ていますか? 1日どんな生活をしていますか?

【5. 媒体と惹かれるコンテンツ】

その人は、いつ、具体的に何時に、どの媒体を見ますか? SNSですか? SNSであれば、Instagramでしょうか? TikTokでしょうか? YouTubeでしょうか? その時に、どんなメッセージや写真、動画があると惹かれるでしょうか?

これらの質問は、「マーケティング3M」という理論に基づくものです。「Market」「Message」「Media」の3つを吟味するというものです。

・Market マーケット=顧客はどんな人でどんな課題や欲求を持っているのか?

Message メッセージ=ちゃんと響くメッセージになっているのか?

・Media メディア=伝えるメディアは適切かどうか?

この3つのMが、1つでもずれていると、あなたの商品・サービスは売れません。上記1~5の質問は、この3Mを包括しています。買うのは顧客です。だからこそ、生身の人間である知人を顧客として想定し、具体的にイメージすることをおすすめします。

「顧客が望むもの」を徹底的に追求する

顧客を具体的にイメージしたら、次に、顧客があなたの商品・サービスを買うことで得られる「プラスの変化」を導き出していきます。

前項の質問のうち【3. 悩んでいること、不安、不満、課題】で書き出したことを、改めてご覧ください。そして、それらが解決された状態を思い浮かべてください。その未来の「プラスの変化」こそ、顧客が心理的に求めていることなのです。

つまり、顧客はあなたの商品・サービスではなく、それを通じて得られる「プラスの変化」を求めているのです。この「プラスの変化」を「ベネフィット」といいます。

ベネフィットを導き出すコツ

それでは、このベネフィットはどうしたら導き出せるのでしょうか? これは実は簡単です。「どんないいことがある?」という質問を繰り返していけばいいのです。そして、そのベネフィットを顧客があなたのサービスを買う理由として伝えればいいのです。

筆者の実体験を例に出します。

ある時、家電屋で食洗機のキャッチコピーを見て、猛烈に食洗機が欲しくなりました。それまでは、まったく食洗機に興味がなかったのに。そのキャッチコピーにはこう書いてあったのです。

「食洗機を買うとラブラブになります」

筆者が食器洗いをしないわけでもなし、食器洗いが嫌いなわけでもありません。ちなみに、妻と仲が悪いわけでもありません。妻とはずっと仲よく暮らし、今よりもっとラブラブな人生を送りたいと思っています。そんな筆者に飛び込んできたメッセージが、「ラブラブになる」だったのです。

つまり、こういうことですね。

「食洗機を買う」(どんないいことがある?)

⇒「食器洗いの時間が軽減される」(どんないいことがある?)

⇒「夫婦で過ごす時間が増える」(どんないいことがある?)

⇒「夫婦の仲がよくなる」(どんないいことがある?)

⇒「ラブラブになる」

単純な筆者は「なるほど! 食洗機を買うと今よりさらにラブラブになるんだ!」となり、これが筆者が求めていることなので、食洗機を買う気満々になりました。

ここから続きがありまして、結果的に食洗機は買いませんでした。

妻に食洗機を買おうと話したら、即答で「いらない」という回答でした。妻は、今のままで食器洗いに困っていないし、筆者と比べると、夫婦仲がよりラブラブになるという未来には惹かれなかったようです。

ここで話したかったのは、筆者がいかに妻を愛しているかということではありません(笑)。お伝えしたかったのは、ターゲットが変われば、求めているベネフィットが変わるということです。筆者と妻のベネフィットは違ったのです。「顧客は誰なのか?」といった、ターゲットを明確にすることが必要なのです。

草間 淳哉

ブランディングカンパニー(株)ウェブエイト代表

代表

(※写真はイメージです/PIXTA)