共産党の次期衆院選の候補者が、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏のX(旧Twitter)投稿に噛み付き、福島県産の水産物を「汚染魚」と発信した問題で、共産党はこの候補擁立を取り下げると決めた。ただ、共産党自体も東京電力福島第一原発処理水を「汚染水」と表現している。このことへの批判も強いが、共産党は変えるつもりはないという。

 小池晃書記局長が9月11日の記者会見で擁立の取り下げを発表したのは、衆院広島6区から出馬予定だった村井明美氏。村井氏は櫻井氏がXに「安全でおいしい日本のお魚をたくさん食べて中国に勝ちましょう」と投稿したのに対し「もっとしっかり汚染魚を食べて、10年後の健康状態をお知らせください」と揶揄した。

 小池氏は次のように弁解している。

「まるで日本近海の魚が、放射性物質で汚染されているかのような発信をした。これはもう、わが党の認識や見解とは全く反する中身でした。この発信が行われた直後、書記局として削除して謝罪するように、本人に指示をいたしました。本人は削除しております。その後、村井氏から候補を辞退したいという申し出がありました」

 その一方で小池氏は、

「汚染水という言葉を使ってはいけないかのような議論に、われわれはくみするものではありません。汚染水って言い方自体も、きちんと科学的だと思いますよ」

 引き続き「汚染水」という言葉を使う考えを示したのだった。

「汚染水」はよくて「汚染魚」はダメ。「科学的社会主義」などと科学を強調する共産党だが、党員でもその区別を理解するのは難しそうだ。

(喜多長夫/政治ジャーナリスト)

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