認知症というと、物忘れがひどくなる、徘徊行動をするというイメージを持つ人が多いのではないだろうか。その2つが最たるものではあるのだが、それ以外にもさまざまな症状が認知症には現れる。怒りっぽくなるなどの人柄の変化があったり、気力が低下しうつ病のような状態になったり。症状が進むと暴力をふるうようになったり、日常生活を1人で送ることもままならなくなり、介護する側への負担がどんどん増えていく。

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学生ながら、アルツハイマー型認知症になった祖母・きみ子さんの介護を担うことになったさとみさん(@satomi_qoljojo)。夜中にもかかわらず、自宅にいるととにかく話しかけてくるきみ子さんの奇妙な行動に悩まされた様子を、コミックエッセイ「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん認知症介護実録〜」でつづっている。当時の状況を詳しく聞いた。

■祖母が部屋から出てってくれない!部屋に入るのを阻止したら大騒ぎ

――毎日過剰に話しかけられて大変でしたね。きみ子さんはどんな話をしてきたんでしょうか?

この頃は「何してるの?」から始まって、私の家族の様子を聞くことが多かったと思います。とはいえ、明確に何か話したいことがあるわけではなく、ただただ私のところに来てはずっと帰らない感じでした。

――さとみさんの彼氏も同居されていましたが、過剰な話しかけは彼氏にも行っていたのでしょうか?

彼氏くんに会ったら話すけど、自ら探して話しかけることはなかったそうです。ただ、私の部屋に入れないようにしたら、外から「部屋に入れろ!」と訴えるようになってしまって、そのせいで彼氏くんも寝不足になってしまいました…。

――夕方きみ子さんが寝てしまっていることがあったそうですが、そのせいで余計に夜元気になってしまっている感じでしたか?

元気があれば話しかけに来ていたので、余計に夜は活発でした。

――睡眠障害については、病院で何か薬を処方されるようなことはありましたか?

夜に活動的になることを担当医に話していたので、薬の効き具合の様子を見ながら…といった感じで治療を進めてくれていましたが、この頃は毎晩毎晩、声を上げていました。

乳児が身近にいる人に対して後追い行動を起こすのは、身近な人への愛着・信頼感を持つようになり、そうした人が視界からいなくなると不安を抱くため、泣いたり探し回ったりすると言われている。認知症になると不安感が強くなり、身近な人への甘えが強くなる「子供返り」を起こすケースもあると言われている。きみ子さんも不安感が増したことから、孫であるさとみさんに執着するようになっていたのかもしれない。

しかし、介護する人が心身の健康を害するようなことになっては共倒れになってしまう。介護にあたって、どうしたら介護する人・される人の双方が健やかでいられるのか。よくよく考えていく必要があるのだろう。

取材・文=西連寺くらら

アルツハイマー型認知症と診断された祖母・きみ子さん。あるときから、四六時中さとみさんに話しかけるように…。「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」より/(C)さとみ/毎日が発見