スペイン代表は12日、EURO2024予選・グループA第6節でキプロス代表を6-0で下した。試合後、2ゴールを挙げる活躍を見せたFWフェラン・トーレスバルセロナ)が代表定着に向けた決意を明かした。

 ここまで全敗と苦しんでいるキプロス代表を相手に、スペイン代表は立ち上がりからボールを保持して攻撃を続ける。引いてブロックを敷くキプロス代表をなかなか崩せなかったが、18分にホセ・ルイス・ガヤ(バレンシア)のロングフィードで左サイドを破ったニコ・ウィリアムス(アスレティック・ビルバオ)が中央へ折り返し、最後はガビ(バルセロナ)がボレーシュートを沈めた。33分にはニコのクロスボールからミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)がヘディングシュートを沈めてリードを広げると、後半に入った70分にはダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)からのクロスボールをホセル(レアル・マドリード)が頭で叩き込んだ。

 61分からピッチに立ったフェラン・トーレスは73分、右サイド開いた位置でボールを受けると、カルバハルとのパス交換から右足でゴールネットを揺らす。77分にアレックス・バエナ(ビジャレアル)が“ラ・ロハ”(スペイン代表の愛称)デビュー戦で初ゴールを決めた後、83分にはロドリマンチェスター・シティイングランド)からの浮き球パスを引き出して、左足で冷静にニアサイドへ流し込んだ。試合はこのまま6-0でタイムアップを迎えている。

 当初、フェラン・トーレスは9月のEURO2024予選を戦うスペイン代表メンバーには招集されていなかったものの、マルコ・アセンシオ(パリ・サンジェルマンフランス)とダニ・オルモ(ライプツィヒドイツ)の負傷離脱により、ジェレミ・ピノ(ビジャレアル)と並んで追加招集されていた。“ドブレーテ”を達成したキプロス代表との一戦の後、スペインのスポーツ専用チャンネル『Teledeporte』のインタビューに応じたフェラン・トーレスは「代表チームに招集されるというご褒美を得るためには、クラブレベルでまだまだやらなければならないことがある」と発言。FIFAワールドカップカタール2022以来、ルイス・デ・ラ・フエンテ監督体制となってからは初の代表招集で結果を残したが、定着に向けて気を引き締めた。

 というのも、フェラン・トーレスは所属クラブのバルセロナで絶対的な立ち位置を確立できていない。昨季は公式戦45試合のピッチに立ちながら、スタメンでの出場機会はわずか18試合だった。今夏には売却候補と報じられながらも、最終的にはバルセロナ残留を決意。フランス代表FWウスマン・デンベレの退団に伴い、背番号を「7」に変更して迎えた今季も、ラ・リーガ開幕から4試合を終えた時点で3試合の途中出場にとどまっている。

 だが、初出場となった第2節カディス戦で85分からピッチに立ち、後半アディショナルタイムにチームの初白星を決定付ける追加点を挙げると、第3節ビジャレアル戦でも4-3の逆転勝利に繋がるチームの3点目を決め、2試合連続ゴールを記録した。コンディションは良好に見え、シャビ・エルナンデス監督の中で序列が徐々に上がっていくことも期待されている。

 フェラン・トーレスバルセロナ、そしてスペイン代表での現状を踏まえて次のようにコメント。わずかな出場時間であろうと結果を残し続けることで、自身の価値を示していくことを誓っている。

「僕が今現在取り組んでいることがひとつあるとすれば、それは与えられた出場時間を最大限有効活用することだ。出場時間をもっと増やし、監督の信頼を掴むためにね。今の僕は正しい道を歩んでいると思うよ」

 ルイス・エンリケ前監督(現:パリ・サンジェルマン)には重宝され、これまでスペイン代表通算36試合の出場で17ゴールを挙げているフェラン・トーレス。現在の代表チームにおいてこのゴール数を上回る選手がFWアルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)しかいないことこそ、彼の“存在意義”を証明している。果たして、所属クラブに戻ったフェラン・トーレスは出場機会を増やし、再び“ラ・ロハ”の主力に返り咲けるだろうか。今季のフェラン・トーレスから目が離せない。

久々のスペイン代表招集で早速結果を残したフェラン・トーレス [写真]=Getty Images