リアルとオンラインで同時に台湾エンタメを楽しめる、初の台湾映像フェス「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」が開催される。「心に刺さる1本が台湾にある」というテーマのもと、ホラーやBLなどジャンルから台湾映画・ドラマから厳選された12作品が上映される。さらに、10月中旬から毎月、テーマに沿って台湾の作品や監督、俳優に関するインタビューや特集記事を掲載し、各作品を観られる配信サービスを紹介するオンライン企画も予定している。

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10月13日(金)から10月28日(土)まで、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ところざわサクラタウンにて行われる上映イベントでは、『あの頃、君を追いかけた』(11)で映画ファンの心をわしづかみにしたギデンズ・コー監督が最新作『赤い糸 輪廻のひみつ』(12月22日公開)と共に来日することも決定した。無料上映で楽しめる本イベントの上映作品を紹介しよう。

■ギテンズ・コー監督が手掛ける純愛冥界ファンタジー『赤い糸 輪廻のひみつ』

台湾を代表する人気作家で、『あの頃、君を追いかけた』『怪怪怪怪物!』(17)などを手掛けた映画監督のギデンズ・コーによる監督3作目。運命の相手を赤い糸で結びつける、台湾の縁結びの神様「月下老人」の略称「月老(ユエラオ)」を原題にした本作は、輪廻転生をベースに死後の摩訶不思議な世界と一途でピュアなラブストーリーを掛け合わせた物語。『あの頃、君を追いかけた』のクー・チェンドン、『私の少女時代』(15)のビビアン・ソン、『僕と幽霊が家族になった件』(23)のワン・ジンら人気俳優陣が出演する。台湾ではコロナ禍の行動制限を伴う2021年秋に公開されたが、2022年台湾映画興行収入トップのホラー作品『呪詛』(22)を超えて、興行収入2億6,000万台湾ドルを超える大ヒットを記録した。

TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」では、本作を日本公開に先駆けてギデンズ・コー監督のティーチイン付きで楽しめる。

■血のつながりを超えた家族の絆を紡ぐ物語『親愛なる君へ』

『ヤンヤン』(06)や『一年之初』(09)で、人と人のつながりやアイデンティティを描いてきたチェン・ヨウジエ監督の2020年度の台湾アカデミー賞こと金馬奨で3部門受賞した話題作。

ある老婦とその孫、間借り人ジエンイーの血のつながりを超えた家族の絆を描く。ただの間借り人のはずだったジエンイーが、病気を患う老婦シウユーと幼い孫の面倒を見るのは、今は亡き同性パートナーの家族だから。ジエンイーはこの暮らしが自分の人生において愛する人が生き続ける唯一の方法だと感じていた。だがある日、シウユーが急死したことにより、その死因を巡ってジエンイーは不審の目を向けられるように。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、ジエンイーはついに罪を認めてしまう。だが、それはすべて愛する“家族”を守りたい一心からだった…。

■大ヒットホラーゲームを実写化したダークミステリー『返校 言葉が消えた日』

2017年に発売された台湾の大ヒットホラーゲームを実写化し、2019年度金馬奨で最優秀新人監督賞を含む5部門に輝いたダークミステリー。ドラマ「あすなろ白書~Brave to Love~」のワン・ジンが主演する、ジョン・スー監督の長編デビュー作。

舞台は、蒋介石率いる国民党の独裁政権下にある1962年の台湾。市民は相互監視と密告が強制されていた。女子高生のファンが高校の教室で目を覚ますと周囲は無人。校内をさ迷う彼女は、政府から禁じられた本を読む読書会メンバーの男子学生ウェイと出会い、学校からの脱出を図る。どうしても外に出ることができないが、それでも消えた同級生や先生を探し続ける2人。やがて、悪夢のような恐怖が迫るなか、学校で起こった政府による暴力的な迫害事件とその原因を作った密告者の哀しい真相に近づいていく…。

■愛を求めてもがく若者たちの物語『マネーボーイズ』

中国で幼少期を過ごし、オーストリアに移住、ウィーン・フィルム・アカデミーにて巨匠ミヒャエル・ハネケに師事したC.B. Yi(シー・ビー・イー)監督の長編デビュー作で、2021年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された。

田舎の両親に仕送りを続けるために男娼として生きるフェイと、その恋人シャオレイの葛藤を追う青春ドラマ。中国を舞台としながらも、地方から都会に出た若者が直面する経済的軋轢や、さらに自己の存在が否定される保守的社会に立ち向かう若者たちの姿を、世界中どこでも起こりうる物語として普遍的に描きだす。

■世界各国の映画祭で話題を呼んだ衝撃作『哭悲/THE SADNESS』

ホラー界の新星、カナダ出身のロブ・ジャバズ監督長編デビュー作。徹底されたゴア描写とスリル満点なストーリー展開で、ロカルノ国際映画祭、ファンタジア国際映画祭など各国映画祭で話題を呼んだ衝撃作。

ある日、謎の感染症のウイルスが突然変異し人の脳に作用して凶暴化を助長する疫病が発生。感染者たちは罪悪感に涙を流しながらも残虐な行為を行うようになり、街は殺人と拷問で溢れかえってしまう。そんななか、数少ない生存者と病院に立て篭もったカイティン。彼女から連絡を受けたジュンジョーは、一人で狂気の街を彷徨い始める。

■学園ゴースト・ラブストーリー「Stay By My Side」

ボーイズアイドルグループ出身のホン・ウェイジョーと、新人俳優ヤン・イーシュエンが出演する、家出したエリート転学生×幽霊の声が聞こえるルームメイトが織り成す学園ゴースト・ラブストーリー。

宗廟育ちだが幽霊が苦手のグー・ブーシアは霊の声が聞こえる能力を持っている。新しいルームメイトとして、エリート転校生ジャン・チーと暮らすことに。ジャンがそばにいると幽霊の声が聞こえなくなることに気づいたグーは、親しくなろうとするが、知れば知るほど、彼のことを魅力的に感じるようになる。いつも陽気なグーが時々見せる怖がる表情に、ジャンもほおっておけなくなってしまう。

■ちょっとせつない大人のBLドラマ「正負之間~Plus & Minus」

2021年の大ヒットBLドラマ「Be Loved in House 約・定~I Do」「隔離が終わったら、会いませんか?」の制作チームが再集結した、タイプの異なるカップルたちの、ちょっとせつない大人のBLドラマ。

同じ弁護士事務所で働く、幼いころから一緒に過ごしてきたチェン・ゾーショウとフー・リーゴンは兄弟のような存在。フーは18歳の誕生日に起きたある出来事をきっかけに、チェンに対して秘めた想いを抱いていた…。バーテンダーの加藤勇気と同じビルにあるクリーニング店主人ジエン・インゾー。バーの喧噪を嫌っていたジエンだったが、勇気と出会い変化が生まれていく。

■若手女性監督の半自伝的映画『アメリカから来た少女』

アメリカから台湾に帰郷した13歳の少女が、学校で疎外感を感じ、母の病気に不安とやり場のない怒りを募らせつつも、自分の弱さに気づいて成長していく物語。2021年度の金馬奨で5部門に輝いた本作は、ロアン・フォンイー監督の半自伝的映画にして長編デビュー作。

母と妹とロサンゼルスで暮らしていた13歳のファンイーは、2003年の冬、母が乳がんを患ったために、父が暮らす台北に戻り、家族4人で暮らすことに。台北の中学校では「アメリカン・ガール」と呼ばれ、学校生活には馴染めない。ある日、教師から勧められたスピーチコンテストで、母への正直な想いを伝えようとするが、その前日に妹がSARS感染の疑いで家族全員が隔離され、想いを伝えられなくなってしまう。

■不良高校生たちの悪夢の一夜『黒の教育』

『あの頃、君を追いかけた』で主人公を演じたクー・チェンドンの監督デビュー作で、ギデンズ・コーが脚本を手掛けた。2022年度金馬奨の新人監督賞にノミネートされ、第18回大阪アジアン映画祭で「来るべき才能賞」に輝いた。

高校卒業の夜、不良少年の高校生男子3人組は雑居ビルの屋上で飲んだくれていた。これからそれぞれの道を歩もうとする彼らは真の友情を交わすため、誰も知らない最も暗い秘密を告白しあうことに。ほかの2人の未来と人生を破壊しかねない邪悪な秘密と比べて、3人目の秘密はあまりにも普通で、この夜で同じレベルで秘密交換できる悪行を行うことに。それで、悪夢のような一夜が始まる。

■人気BL脚本家によるベストセラー小説の待望のドラマ化「奇蹟」

台湾で「一番ドラマ化してほしい小説」に選ばれた、「We Best Love」シリーズ、HIStoryシリーズなど人気BLドラマの脚本家として知られるリン・ペイユーのベストセラー小説を、日台合作でドラマ化。ルイス・ジャン、カイ・シュー、タロ・リン、ナット・チェンなど若手キャストを迎え、運命的に出会った4人の“奇蹟”を描きだす。

2023年3月に少年院から出所したバイ・ゾンイーとアイ・ディー。アイは迎えに来たチェン・イーの車に押し込められ去って行く。残されたバイが手帖を開くと、そこには血の滲んだファン・ジョールイとの2ショット写真が挟まれていた…。4年前の2018年11月、バイはひょんなことから血だらけのファンを自宅に匿うことに。脅されながらも面倒を見るうち、孤独だったバイは、ファンと過ごす日々を楽しんでいた。一方アイは幼なじみで親友のチェンに想いを寄せているが、いつも一方通行。そんな4人はある事件がきっかけで離ればなれになってしまう。叶わなかったせつない4人の恋は、4年の歳月を経て再び動きだす…。

■日本でもリメイクされたファンタジック・ラブストーリー『1秒先の彼女』

熱帯魚』(95)、『ラブ ゴーゴー』(97)のチェン・ユーシュン監督による、2020年度の金馬奨で5部門を受賞した、ファンタジックなラブストーリー。今年の夏、山下敦弘監督が岡田将生清原果耶をW主演に迎えてリメイクした『1秒先の彼』が公開され話題に。

なにをするにもワンテンポ早くなってしまう、郵便局で働くアラサー女子のシャオチー。想いを寄せるダンス講師とバレンタインにデートの約束をしたものの、目覚めるとなぜかその翌日になっていた。“消えた1日”を探すシャオチ―は、毎日郵便局に来る常にワンテンポ遅いバス運転手、グアタイが秘密を握ってると考えるが…。

■内気な青年と年上女性が織り成すラブストーリー『ママボーイ』

『台北の朝、僕は恋をする』(09)でデビューを飾ったアーヴィン・チェン監督の長編映画3作目の話題作で、内気な青年が、魅力的な大人の女性に抱いた初めての恋心を描くラブストーリー。『あの頃、君を追いかけた』のクー・チェンドンが主演し、台湾や中国を拠点に活躍するビビアン・スーも出演する。

熱帯魚店で働く29歳の内気な青年シャオホン。過保護な母親メイリンと2人で暮らしている。母に紹介された女性とのデートに失敗した彼は、従兄に連れられて売春宿に行く。結局、童貞を捨てることはなかったが、ホテルの副支配人のララに惹かれ始める。シャオホンと同年代の反抗的な息子との接し方に悩むララは、優しくてピュアシャオホンとの距離を縮めていくが….。

上映はすべて無料となっており、現在参加応募受付中。「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」で、あなたのお気に入りの1作を見つけてみてほしい。

文/編集部

ホラー、BL、ロマンス…多彩なジャンルの台湾映画・ドラマを無料上映するイベントが開催!