実業家の西村博之(以下、ひろゆき)がアフリカ諸国を旅するABEMAの番組『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』が9月10日(日)最終回を迎えた。

参考:【写真】20日間の旅を終えゴールした瞬間のひろゆき

 ナミビアの砂漠からスタートし、20日間。バスやヒッチハイクした車、フェリーなどを乗り継ぎ移動すること約4000km。前回、ひろゆきはゲストのToshi、そして10日間旅を帯同した東出昌大と別れ、豊川Dとともに遮るもののないところからインド洋を臨むこと、つまりゴールを目指すことを決断した。

  そんなひろゆきにとって、最後の夜、彼が語ったのはアフリカでの最後の晩餐についてだった。18時間のフェリー移動で疲労困憊な様子は見せていたが、それ以外は何も変わらない。「いや~最後ですよ」「この旅、どうでしたか?」なんて改めては語ったりしないのが、非常に彼らしかった。

 そんな夜を過ごし、迎えた最終日。ひろゆきはバスを降り、34分歩いた先にあるペンパ島の端を目指した。その道中、ひろゆきはこれまで何度も檄を飛ばした豊川Dに対して「この旅、豊川Dがいなかったら、僕も東出さんももうちょっときつい表情になっていたかもしれないですね」とコメント。その理由を「他人を笑うことで自分が上位に立てるというのがあるじゃないですか。“この人の方がひどいや”って笑っていられる余裕を持てると言うか」「だから、自分より下がいるんだと思うと笑顔になれました」と続けた。文字にすると、散々な言われようだが、これはひろゆきなりの豊川Dへの感謝なのだろう。そう思うと、いよいよこの旅が終わりに向かっていることを感じさせた。

 そしていよいよ到着したゴール地点で目の前に遮るもののないインド洋を見て「思い入れがないな」と一言。20日超の旅はあっさりと終焉を迎えた。

 ちなみに、そんなひろゆきが帰国後やりたいことは、2本のゲーム。きっと、この旅はひろゆきにとってゲームであり、困難を楽しみながら、ゴールを目指したのだというまとめで旅は終幕した。

 最後の瞬間まで、毅然とした態度だったひろゆき。ただ、ここまでの10エピソードを見て、我々の描いている“ひろゆき”はあくまでもパブリックイメージにすぎず、彼を分かったような気になってはいけないと感じた。この番組を見るまでひろゆきに対して論破王のイメージしかなかった筆者にとっては、食肉用の動物を見て心を痛める東出を気遣いみかんを買い与えたり、豊川Dがスラムに行く前に「最後かもしれないから写真を撮ろう」と照れ隠しのように誘ったりする姿は意外な一面だと感じたからだ。

 アフリカに対してもそうだ。最貧国があったり、交通整備がままならない箇所もあったりり、家の外にシャワーがあることもちらほらあったが、それが不幸かというとそうではない。実際に、一行が交流した住民はいい人が多く、多くは幸せそうに笑っていた。

 SNSでの発信内容や、断片的に切り取られた映像を見て「この人はこういう人だから」と決めつけてしまいがちな昨今。同番組は、それがほんの一部であること、先入観だけでなにかを知った気になってしまってはいけないことを教えてくれた気がした番組だった。

(文=於ありさ

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