元イタリア代表FWマリオ・バロテッリが、古巣であるアダナ・デミルスポルへの復帰に近づいているようだ。トルコメディア『アジャンススポル』が14日に報じている。

 現在バロテッリスイスシオンに所属している。昨季はケガもありながらスイス・スーパーリーグ(1部)18試合のピッチに立って6ゴールを挙げたが、チームは最下位でシーズンを終え、18シーズンぶりの2部降格が決定。このような背景もあり、バロテッリはクラブからの退団を画策している模様だ。既にスイス・チャレンジリーグ(2部)は第6節まで終了しているが、4勝2分で首位を走るチームにおいてバロテッリは1度もピッチに立っていない。

 今回の報道によると、スュペル・リグトルコ1部)のアダナ・デミルスポルがバロテッリの再獲得を画策しているという。バロテッリ自身もトルコ復帰に前向きな姿勢を示し、交渉は順調に進展。移籍市場に精通するイタリア人記者のファブリツィオ・ロマーノ氏によると、既にシオンバロテッリは2024年6月30日までの残り1年間となっている現行契約の解除で合意した模様だ。『アジャンススポル』によると、バロテッリはアダナ・デミルスポルと1年間の契約を締結するとのこと。契約には1年間の延長オプションも付随しているようだ。なお、現在欧州各国の移籍市場は閉幕しているが、トルコの移籍市場は現地時間15日まで開いている。

 現在33歳のバロテッリは2006年4月、15歳にしてルメッツァーネでトップチームデビューを飾ると、その後はインテルに完全移籍。2007年12月には、ロベルト・マンチーニ監督(現;サウジアラビア代表)に抜擢される形で17歳セリエAピッチに立った。その後は徐々に出場機会を増やしていき、インテルのトップチームでは公式戦86試合のピッチに立って28ゴール15アシストを記録。2010年夏にはマンチェスター・シティへ完全移籍し、恩師のマンチーニ監督と再会した。

 マンチェスター・シティでは加入1年目にFAカップ、2年目にはクラブ史上初のプレミアリーグ制覇に貢献した。マンチェスター・シティに在籍した2シーズン半で公式戦80試合出場30ゴール7アシストを記録し、2013年冬にはミランへ完全移籍。2012-13シーズンはシーズン途中の加入ながらセリエAで13試合に出場して12ゴールを挙げた。翌シーズンも公式戦41試合の出場で18ゴール8アシストをマークし、“エース”として活躍。2014年夏にはリヴァプールへ完全移籍したものの、公式戦28試合の出場で4ゴールと期待外れのパフォーマンスに終始した。2015年夏にレンタル移籍でミランに復帰してもトップパフォーマンスには戻らず、その後はニース、マルセイユ、ブレシアと各クラブを転々とする。半年間の空白期間を経て2020年12月に加入したモンツァでは、セリエBで14試合出場6ゴールを記録した。

 2021年夏にはアダナ・デミルスポルと3年契約を結び、スュペル・リグに初挑戦。2021-22シーズンのスュペル・リグ最終節ギョズテペ戦では驚異の1試合5ゴールを挙げており、シーズンを通して公式戦33試合に出場して19ゴール6アシストを記録した。当時はヴィンチェンツォ・モンテッラ監督との対立が表面化したことでシーズン終了後にシオンへ新天地を求めていたが、現在はパトリッククライファート監督がクラブを率いている。

 また、2010年8月にはイタリア代表デビューも飾った。EURO2012ではアントニオ・カッサーノ氏との“悪童コンビ”でアズーリ(イタリア代表の愛称)をけん引。全6試合に出場して3ゴールを挙げ、イタリア代表が決勝に進出する原動力となった。FIFAワールドカップブラジル2014でも主力として全3試合のピッチに立ち、1ゴールをマーク。これまでに代表通算で36試合出場14ゴールを記録している。

 その才能は確かながら、脚光を浴びたインテル時代から現在に至るまでピッチ外での問題行動で度々騒ぎを起こしてきたバロテッリ。自身にとって良い思い出のあるアダナ・デミルスポルに戻り、再びピッチ内の活躍で注目を集めることはできるだろうか。

一昨シーズンまでアダナ・デミルスポルでプレーしていたバロテッリ [写真]=Anadolu Agency via Getty Images