株式会社Hakuhodo DY Matrix(本社:東京都港区、代表取締役社長:近藤 暢章、以下Hakuhodo DY Matrix)のシンクタンク「100年生活者研究所」は、米国・中国・フィンランド・タイの4か国の生活者を対象に、人生100年への受け止めを明らかにする意識調査を実施し、当研究所が設立時に行った国内調査結果と比較しました。

 9月15日の「老人の日」に合わせて厚生労働省が発表した百歳高齢者表彰の対象者は前年よりも1,966人多い47,107人だった一方、当研究所設立時の調査では100歳まで生きたいと考えている日本人が3割にとどまりました。これが日本特有であるのかを明らかにするため、他国が人生100年時代をどのように受け止めているのかを調べ、昨年3月に実施した国内調査と比較したところ、「100歳まで生きたい」気持ちや幸福度は日本が対象5か国で最も低いことが分かりました。しかしながら他の調査結果を踏まえると、幸せに過ごしている100歳のロールモデルが身近にいれば、日本人の100歳まで生きたい気持ちを向上させる可能性が示唆されました。

1.日本人は「100歳まで生きたい」と感じているのが3割で、他国と比べて半分以下だった。また、10点満点で聞いた幸福度は5.8点と低かった

2.幸福度スコアが高い人ほど、「100歳まで生きたい」という気持ちが強い傾向は対象5か国共通だった

3.他の調査結果では100歳まで生きることについて7割以上が「不安が増える」と回答。長寿国だからこそ見える社会課題が背景にあるとみられる

4.「100歳まで生きている人が幸せそうに見える」と感じる人の6割が「100歳まで生きたい」と答えており、幸せそうな高齢者の姿を広めることで日本人の100歳まで生きたい気持ちを向上させる可能性がある

  • 調査結果に関する研究員コメント:田中 卓

 本調査により、日本は他国と比べて「100歳まで生きたい」という気持ちや幸福度が低いことがわかりました。また、各国共通で幸福度が高い人ほど、100年人生に対しても前向きである結果が示され、両者には相関関係があると言えそうです。なぜ日本は他国と比べて低い結果となったのでしょうか。ここでは他の調査結果を交えながら仮説を提示し、それを踏まえて「日本人が長生きを前向きに捉えるために何を取り組めば良いのか」についてお伝えします。

 当研究所では国内の会員を対象に毎週アンケートを実施しています。そのアンケートで「100歳まで生きることは不安が増えることですか、チャンスが増えることですか」と質問したところ、「不安が増える」と回答したのが71.8%に上り、多くの人が「長生きはリスク」と捉えていることが分かりました。

 高齢者が多い日本では、年金2千万円問題や老々介護といった「長生きに伴う問題」についての情報が、広く流通しています。それにより、他国と比べて「長生きの負の側面」が浮き彫りとなり、100歳まで生きたいと思う人が少なくなるという結果につながっているのかもしれません。

 また、一般的に日本人は集団主義の傾向が強く、社会や他者との関係性を重視する気質があると言われています。会員アンケートでは、9割弱の人が、「100年人生で、みんなに迷惑をかけたくないという気持ちを感じる」と回答しました。「100歳まで生きたいとは思わない」人が多いことの背景に、「長生きして迷惑をかけたくない」という日本人の意識がありそうです。

 その一方、集団主義的傾向の裏返しとして、8割強の人が「みんなの役に立ちたいという気持ちを感じる」と回答。もし高齢者の世話を「人と社会に役立つこと」として当たり前に認識できる社会になれば、「長生きは迷惑」と感じることなく「100歳まで生きたい」と考える人が増えるのかもしれません。

 ここまで「100歳まで生きたい」と感じている日本人が少ない理由を分析しました。それでは、どうすれば現状を打開できるのでしょうか。

 そのヒントとなるデータを紹介します。これは「100歳の人は幸せそうに見える」と回答した人と「100歳の人は大変そうに見える」と回答した人のそれぞれに「100歳まで生きたいか」を質問したものです。

 その結果、「とてもそう思う」もしくは「そう思う」と答えたのは「100歳の人は幸せそうに見える」人が67.8%だったのに対し、「大変そうに見える」人では25.5%となり、40ポイント以上の差がありました。

 「100歳の人が幸せそうに見える」人ほど「100歳まで生きたい」気持ちが強いのであれば、「幸せな100歳」「幸せな長生き」を体現している人にスポットライトを当てることで、100年人生を前向きに捉える人を増やしていくことができるのではないでしょうか。

 周りの人に支えられながら、長生きのリスクをしなやかに乗り越えた、100歳の人の姿が社会で見えるようにすること。それにより「100歳まで生きたい」との希望を社会に生み出していく。それができれば、超高齢化社会の日本において、長生きは迷惑ではなく、むしろ「社会の役に立つこと」になっていくでしょう。

研究員コメント詳細:https://well-being-matrix.com/100years_lab/posts/100report230915/

  • 【5か国比較調査】結果詳細

Q1. 人生100年時代において、あなたは100歳まで生きたいと思いますか?

―「100歳まで生きたい」と感じている人の割合は日本が最も低い

 100歳まで生きたいかを聞いたところ、「とてもそう思う」もしくは「そう思う」と答えた割合は、日本が26.6%で対象5か国の中で最も低く、2番目に低いタイ(53.2%)と比較しても半数以下でした。最も高かったのは中国の69.6%で、次いでアメリカ(62.3%)、フィンランド(54.5%)と続きました。

■Q2. あなたは全体として、どの程度幸せですか。「とても不幸せ」を0点、「とても幸せ」を10点とすると、何点くらいになると思いますか

―2-1 日本の幸福度は対象5か国で最も低い5.8点だった

 10点満点で幸福度を質問したところ、日本の平均点は5.8点で対象5か国の中で最も低い結果となりました。一方、最も高かったのは中国の8.4点で、タイ(7.3点)、アメリカとフィンランド(どちらも6.9点)と続きました。

―2-2 対象5か国全てで、幸福度スコアが高い人ほど「100歳まで生きたい」という気持ちが高かった

 幸福度スコアを「高幸福度(8~10点)」「中幸福度(6~7点)」「低幸福度(0~5点)」で分け、それぞれで「100歳まで生きたい」人の割合をみました。その結果、幸福度が高い順に「とてもそう思う」「そう思う」の割合が多くなり、日本では高幸福度(35.5%)が低幸福度(21.1%)と比べて約1.7倍高くなりました。

 他の対象国も同様の傾向がみられ、幸福度と100年人生意向が関係していることが示唆されました。

  • 調査概要

<日本・海外共通>

■調査目的:日本と海外の100年生活の実態を把握する

■調査手法:インターネットモニター調査

<海外調査概要>

■対象地域:アメリカ・フィンランド・中国・タイ

■調査期間:2023年3月

■調査対象者:20~70代の男女 各国600名(計2400名)

<日本調査概要>

■対象地域:日本 全国

■調査期間:2022年10月

■調査対象者:20~70代の男女2400名

<LINE会員調査>

■調査目的:人生100年時代に対する認識と態度を把握する

■調査手法:LINEによるアンケート調査

■調査地域:日本 全国

■調査日時:2022年3月

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員(20~80代男女)1604名

 Hakuhodo DY Matrixは、「The well-being company」として人々の幸福と健康の増進に役立てることを目指し、博報堂DYホールディングスのグループ会社として2021年4月に創業しました。

会社名 株式会社 Hakuhodo DY Matrix

URL  https://hdy-matrix.co.jp/

所在地 〒105-8658 東京都港区芝2-14-5

社員数 180名(2023年4月1日現在)

代表者 代表取締役社長 近藤 暢章

設立  2021年4月1日

資本金 1億円(博報堂DYホールディングス100%出資)

また、100年生活者研究所では毎週金曜日に、「人生100年時代」をテーマとしたニュースを配信しています。記事の詳細は右記URLにてご確認ください。※研究所HP:https://well-being-matrix.com/100years_lab/

配信元企業:株式会社Hakuhodo DY Matrix

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