【家電コンサルのお得な話・144】 不思議なもので「自分の意識がある物事に向く」と、急にそれに関する情報が目につきやすくなる。私の場合、娘が10月に出産を控えているため出産関係の情報に自然と目が向いてしまう。9月に入ってからも、新聞の「産後ケア、導入自治体50倍」といった記事が目に飛び込んできた。記事内容は産後ケアの事業内容ではなく、個別事例の紹介が主だったので、直接的には関係のない記事だった。ただ、「産後ケア事業」という事業の存在を知れたので内容を確認してみた。

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●「宿泊型」「デイサービス型(通所型)」「アウトリーチ型(訪問型)」の3タイプ



 「産後ケア事業」は、こども家庭庁の事業で妊娠・出産包括支援事業の一部である。「退院直後の母子」に対して心身のケアや育児のサポート等、きめ細かい支援を実施するというもので、利用期間は原則7日以内となっている。

 サポート等の実施方法には、「宿泊型」「デイサービス型(通所型)」「アウトリーチ型(訪問型)」があり、事業内容に応じて助産師、保健師または看護師等の実施担当者が配置される。また、実施主体が市町村となっているため、具体的な取り組みや料金体系は市町村ごとに違う。

 例えば大阪市の場合、「大阪市と委託契約している医療機関及び助産所で、母子同室で助産師や保健師、看護師等の専門スタッフから、からだとこころ・育児のサポートを受けることができる」という内容になっている。料金は、「アウトリーチ型は1回2時間程度(午前10時から午後7時の間)で500円、通算3回まで利用可能」である。

 この産後ケア事業は、「2019年の母子保健法改正により、市町村努力義務とされ、少子化社会対策大綱(20年5月29日閣議決定)において、24年度末までの全国展開を目指すこと」とされている。

 この決定を受け、2014年度に29だった実施自治体は、22年度には1462に増えており、実施率は約85%となっている(こども家庭庁による)。すでに多くの自治体で実施されている事業であるが、まずは居住する自治体のホームページなどで事業の有無と内容を確認し、サポートの利用も検討してみてはいかがだろうか。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。