●外食しながらダイエットもアンチエイジングも叶えたい! そんな我儘な願いを叶えるべく、ボディメイクのプロ・石本哲郎さんが「若返りやせ飯」の選び方を伝授。今回のテーマは、揚げたて天丼を高コスパで堪能できる「天丼てんや」です。

ごはんとたれの量を減らして、糖質と塩分をカット

 天ぷらに丼ごはん。脂質と糖質の組み合わせである天丼は、見るからに太りそうですよね。ダイエット中だからと我慢している人も多いのではないでしょうか? 確かに、「天丼はダイエットやボディメイクに超おすすめ!」とは言えないけれど、メニューの選び方によってはそんなに悪くはありません。もちろん店によっては、えげつないカロリーの天丼を出してるとこもあるかもしれませんが、「てんや」に関していえば、実は意外と優秀なんです。

 丼モノなので、どうしても糖質の比率が高めになりますが、ごはんの量を選べるのが良いところ。小盛にするだけでもカロリーをカットできるし、おまけに50円も引いてくれるので財布にも優しい! また、天丼のたれは塩分が多めですが、これも量を調節できます。ダイエットやボディメイクには、「ごはん小盛」と「たれ少なめ」でオーダーするのが鉄則! 手軽に糖質と塩分をカットできます。

 揚げ物で最も懸念されるのは脂質だと思いますが、そこまで高くありません。おそらく油のキレが良いからだと思われますが、から揚げに比べ、天ぷらのほうが脂質が低めなことが多いですね。

「てんや」の野菜天丼はヘルシーなのか? 普通の天丼と比べてみた

 揚げ物にしては、そんなに悪くない「てんや」の天ぷら。ただ、その中でも一番避けるべきは、野菜系の天ぷらです。ダイエットやボディメイクにはPFCバランス(三大栄養素であるたんぱく質、脂質、糖質のバランス)が重要になりますが、野菜の天ぷらは脂質と糖質ばかり高くなり、たんぱく質が摂れないことがほとんど。栄養バランスが悪くなってしまうケースが多いのです。例えば、普通の天丼と野菜天丼の栄養成分を比べてみましょう。

「天丼」と「野菜天丼」の成分表。いずれもみそ汁付き
「天丼」と「野菜天丼」の成分表。いずれもみそ汁付き

 野菜天丼は普通の天丼より、たんぱく質が少なく、脂質が多め。カロリーも高いことがわかります。確かに野菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が多く含まれるダイエットやアンチエイジングに役立つ食材。ただ、衣に包まれている天ぷらの場合、野菜自体の量がそもそも少ないし、揚げることで栄養素も流れやすくなります。

ヘルシーに野菜天丼にしておこう!」と思って食べていると、栄養は摂れず、カロリーばかり摂ってしまうことになりかねません。

「野菜天丼」は普通の天丼より脂質もカロリーも高め
「野菜天丼」は普通の天丼より脂質もカロリーも高め

 ちなみに、野菜の天ぷらの中でも一番ダメなのが「なす」。「なす」はめちゃくちゃ油を吸ううえ、中身はほとんど水分で、他の野菜に比べ栄養価が低いのです。

「なす」の天ぷらは脂質が高い割に栄養価は低め [食楽web]
「なす」の天ぷらは脂質が高い割に栄養価は低め [食楽web]

 また「てんや」の通常メニューにはありませんが、「かき揚げ」も尋常じゃなく油を吸うため、ほぼ油を食べてるようなもの。天ぷらでは「なす」と「かき揚げ」は危険と心得ましょう!

期間限定の「夏野菜のかき揚げ」。その形状から油をたっぷり吸い込む
期間限定の「夏野菜のかき揚げ」。その形状から油をたっぷり吸い込む

 一方、野菜の天ぷらのおすすめは「かぼちゃ」。抗酸化作用の高いβカロテンやビタミンC・Eのほか、腸内環境を整える食物繊維など、アンチエイジング的に優秀な食材なんです。何か野菜を摂りたいという場合は、かぼちゃを足すのがベストです。

野菜の天ぷらでは栄養価の高い「かぼちゃ」が優秀!
野菜の天ぷらでは栄養価の高い「かぼちゃ」が優秀!

「てんや」で選ぶべき、ベスト・オブ・ 天丼は?

 基本的には、野菜系以外の天丼であれば好きなものを食べてOKですが、イチオシは「海老とり天丼」です。

 海老と鶏肉のほか、“かにかま”も入っていて、ダイエットやボディメイクに欠かせないたんぱく質が21.8g摂取できます。脂質は21.5gで天丼としてはそんなに高くなく、たんぱく質と脂質のバランスがいいんです。ただ炭水化物が111.8gと多めなので、ごはんは小盛にしたほうが無難。カロリーはみそ汁付きで717kcalのため、小盛にすれば600kcal台におさまると思われます。

たんぱく質源の海老、とり天、かにかま天が入った「海老とり天丼」
たんぱく質源の海老、とり天、かにかま天が入った「海老とり天丼」

 ちなみに、サービスでついてくる「みそ汁」ですが、一応わかめも入っているので食物繊維が摂れます。ただ、「天丼のたれ」の塩分にみそ汁の塩分が加算されるので、むくみなどが気になる人は全部飲み切らないほうがいいかも。「みそ汁を飲むなら“追いたれ”はしない」などのルールを設定しておくのもおすすめですね。

「オールスター天丼」はサイドでたんぱく質をプラスしよう

「てんや」で不動の人気を誇る天丼といえば、「オールスター天丼」ですよね。海老、いか、ほたて、舞茸、れんこんいんげんとその名の通り、人気の天ぷらオールスターで揃った贅沢な逸品です。

 野菜の天ぷらも多めではありますが、食物繊維が豊富なきのこ類が入っているのが良い点。食物繊維は美肌や免疫力にも関わる腸内環境を整え、アンチエイジングに一役買います。ただ、たんぱく質が18.5gと少なめなのが気になるところ。たんぱく質は1食あたり最低でも20g、男性なら30gは欲しいので、たんぱく質を補える一品をプラスするようにしましょう。

人気の天ぷらが勢揃いの元祖「オールスター天丼」
人気の天ぷらが勢揃いの元祖「オールスター天丼」

 実は「てんや」はサイドメニューも優秀なんです。たんぱく質のちょい足しに便利なのが、半熟玉子と冷奴。卵は準完全栄養食と言われるほど栄養バランスに優れた食品。ビタミンCと食物繊維以外の栄養が全て入っており、たんぱく質も6.4g摂れます。

「半熟玉子」ならビタミンミネラルも摂れる
「半熟玉子」ならビタミンミネラルも摂れる

 また「てんや」の冷奴は結構デカくて、たんぱく質も8.2gと十分な量を確保できます。女性ホルモンの働きを助ける大豆イソフラボンも摂れるため、女性には特におすすめですね。ただし、醤油のかけ過ぎは塩分過多になってしまうので気をつけましょう。

大豆イソフラボン豊富な「冷奴」は女性におすすめ
大豆イソフラボン豊富な「冷奴」は女性におすすめ

 男性の場合は、「のっけ天ぷら」をするのもおすすめ。天ぷらの中でもっとも高たんぱくな“とり天”なら、たんぱく質を8.0g補強できます。

のっけ“とり天”で「オールスター天丼」をカスタマイズ
のっけ“とり天”で「オールスター天丼」をカスタマイズ

ダイエットやボディメイクにはご飯より「そば」が優秀!

「てんや」といえば天丼ですが、ダイエットやボディメイク的にはご飯よりも「そば」の方が優秀です。例えば、看板メニューの「オールスター天丼」と「オールスター天ぷらそば」の栄養成分を比較してみましょう。

 表を見ると、天ぷらそばの方がたんぱく質が5.5gも多く、カロリーは約40kcalほど抑えられることがわかります。そばは麺類の中でもたんぱく質が豊富で、ダイエットやボディメイク向きの食材。オールスター天丼で不足分のたんぱく質を軽く補うことができます。ただし、天丼に小そばをセットしてしまうと、糖質過多でカロリーも跳ね上がってしまうため、「天ぷらそば」単品にしましょう。

「オールスター天ぷらそば」ならカロリーを抑えながら高たんぱくを実現
オールスター天ぷらそば」ならカロリーを抑えながら高たんぱくを実現

 ちなみに、うどんも選べます。「オールスター天ぷらうどん」だと、たんぱく質は22.2gとまずまずなライン。ただ、カロリーが747kcalまで上がってしまうため、やはりダイエットやボディメイク的には「そば」が最強です。

ビールのつまみに天ぷらはあり?

「てんや」には、天ぷらのお供としてビールを付けた「天ぷら生ビールセット」もあります。言うまでもなく、アルコールはダイエットやボディメイクの敵ではありますが、やっぱりたまには飲みたい時もありますよね。

 お酒の共に天ぷらを味わうのはそんなに悪くありません。天丼にビールを付けてしまうと、天丼の糖質にビールの糖質が上乗せされ流石にヤバイのですが、天ぷらだけであれば、たんぱく質もそこそこ摂れるし、カロリーも思ったほど高くない。好きな天ぷらをテイクアウトして、家飲みのおつまみとして楽しむのもいいですね。

「天ぷら盛り合わせ(1人前)」は、たんぱく質が10.7gで294kcal
天ぷら盛り合わせ(1人前)」は、たんぱく質が10.7gで294kcal

結論

 野菜天丼を除けば、どれもたんぱく質がそこそこ摂れるので、好きなものを選んでOK。中でもおすすめは最も高たんぱくな「海老とり天丼」と、きのこの栄養も摂れる「オールスター天丼」です。たんぱく質の不足分は冷奴や半熟卵、とり天などで補いましょう。

たんぱく質補強に使える「冷奴、半熟玉子、とり天」は3大優秀サイドメニュー
たんぱく質補強に使える「冷奴、半熟玉子、とり天」は3大優秀サイドメニュー

 また、天丼ではなく天ぷらそばにすると、さらに高たんぱく・低カロリーになります。ダイエットやボディメイクを第一に考えるなら、主食はそばを選ぶのがベスト!

(語り◎石本哲郎、インタビュー・撮影◎酒詰明子)

●プロフィール

石本哲郎

女性専門のパーソナルトレーナー。東京や神奈川にて、女性専門パーソナルジムリメイクや女性専門フィットネスショップリーンメイクを数店舗運営。女性のダイエットに関わる医学、栄養学、トレーニングメソッドについての豊富な知識と、自ら意図的に太ってやせる「減量」実験の成果から編み出した独自のメソッドで、のべ1万人以上の女性の体づくりを指導し、成功へと導く。ダイエットに悩む一般女性の指導をもっとも得意とし、「健康的かつきれいに女性の体を変える技術」には定評がある。代表作『神やせ7日間ダイエット』などを含め著書累計20万部を超える。

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