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この先も高温傾向が続くでしょう。今年の冬は寒気の南下が弱く、「暖冬」となる見込みです。冬型の気圧配置も弱く、日本海側の降雪量は少ないでしょう。

10月・11月も高温傾向が続く

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今年の夏は記録的な暑さとなり、9月に入っても厳しい残暑が続いています。この先も季節の進みはゆっくりとなりそうです。

平均気温は、10月も全国的に平年より高く、高温傾向が続くでしょう。11月は北日本は平年並みですが、東日本・西日本・沖縄や奄美は平年並みか高くなりそうです。秋の深まりはゆっくりで、紅葉の進みも例年より遅くなるでしょう。

今年の冬は「暖冬」に 日本海側の雪は少ない予想

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今年は冬(12月~2月)になっても寒気の南下は弱く、暖冬となるでしょう。平均気温は北日本は平年並みか高く、東日本・西日本・沖縄や奄美は平年より高い見込みです。

冬型の気圧配置が弱く、日本海側の雪は少なくなるでしょう。降雪量は北日本の日本海側は平年並みか少なく、東日本・西日本の日本海側では平年より少ない見込みです。スキー場では雪不足が懸念されます。

また、寒気が弱いため、日本付近を低気圧が通りやすくなり、東日本の太平洋側や西日本では冬晴れは続かず、降水量は平年並みか多くなるでしょう。太平洋側では、沿岸に低気圧や前線が発生して、雨や雪をもたらす可能性が例年よりも高くなりそうです。

北日本(北海道・東北)
東日本(関東甲信・東海・北陸)
西日本(近畿~九州)

「暖冬」予想の理由は?

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この冬(12月~2月)も地球温暖化の影響などにより、全球で大気全体の温度が高いでしょう。

エルニーニョ現象と、正のインド洋ダイポールモード現象の影響が残ることにより、積乱雲の発生が太平洋熱帯域の日付変更線付近で多く、インド洋熱帯域の東部からインドネシア付近で少なく、インド洋熱帯域の西部で多いでしょう。このため、上空の偏西風は蛇行し、日本付近で平年より北を流れる見込みです。冬型の気圧配置は一時的で、寒気の南下が弱いでしょう。このため、気温はほぼ全国的に高く、日本海側の降雪量は少なくなる見込みです。

エルニーニョ現象とは?

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エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。

エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、暖冬になりやすいと言われています。

インド洋ダイポールモード現象とは?

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インド洋ではエルニーニョラニーニャ現象と独立した海洋変動としてインド洋ダイポールモード現象が知られています。ダイポールモード現象には正と負の現象があります。正のインド洋ダイポールモード現象とは、インド洋熱帯域の海面水温が、南東部で平常より低く、西部で平常より高くなる現象です。その逆が負のインド洋ダイポールモード現象です。どちらの現象もおおむね夏から秋に発生します。

インド洋ダイポールモード現象は日本の天候に様々な影響を及ぼします。正のインド洋ダイポールモード現象が発生すると、夏から秋(6~11月)ごろにかけて日本では高温になる傾向があります。

正のインド洋ダイポールモード現象ではインド洋熱帯域南東部の海面水温が平常時より低く、その上空の積乱雲の活動が平常時より不活発となります。この時、ベンガル湾からフィリピンの東海上ではモンスーンの西風が強化され、フィリピンの東に達するモンスーンの西風と太平洋高気圧の南縁を吹く貿易風の暖かく湿った空気により、北太平洋西部で積乱雲の活動が活発となります。このため上空のチベット高気圧が北東に張り出し、日本に高温をもたらします。また、インド付近でも積乱雲の活動が活発になり、地中海に下降流を発生して高温化させる方向に働きます。地中海は日本上空を通過する偏西風の上流に位置するため、偏西風の蛇行を通じて日本に高温をもたらすとも考えられています。

今年の冬は「暖冬」 日本海側の雪は少ない予想 寒気の南下・冬型の気圧配置が弱く