飲食店は常に人と人が関わり合って成り立っている。お客様と従業員、従業員同士とどこを切り取ってもそうだ。そんな飲食店で迷惑をかけるスタッフが急増しているという

 今回は飲食店に焼き鳥屋で約6年間アルバイトとして働いているKさんに、迷惑をかけるようなスタッフの事例について話を聞いた。

◆指示を素直に聞かない学生スタッフ

「最近の若い子(高校生大学生)は、自分にも他人にも甘く、注意するとすぐにへこたれたり、変なところが頑固だったりと扱いが難しく、これまでの常識が通用しないようです。あるとき、私が指示したことを素直に聞かず、『〇〇な理由でこうやっています』と歯向かうような姿勢を見せられたこともありました。注意した後はすぐに機嫌が悪くなったような態度になるため、指導が難しいです」

 若さゆえの頑固さなのか。この年代特有の意地っ張りなのか。注意を恥だと思っているのか。どれにも当てはまる気がするが、確実に昔と今の若い年代の子には違いがある。

◆忙しい日に限ってドタキャン

 頑固さだけでなく、なかには当日欠席が当たり前になっているスタッフもいるという。当日欠席をしてしまうと他のスタッフに迷惑をかけるのはもちろん、人数不足で店が回らず、本来入れられたであろうお客様を取りこぼしてしまうこともある。

「週末や団体の予約がある日に限って当日欠席をするスタッフが多いです。理由はケガや体調不良など。深いことも聞きづらく、本当なのかもわからないです。平日などあまり忙しい見込みがない日はまだしも、あるとき週末や給料日後などの忙しい日に当日欠席するスタッフがいて困りました」

 お店からしても、週末の忙しさを考えてシフトを組んでおり、1人休まれるだけでもかなり営業に負担がかかるだろう。

◆間違ったことを新人に教えてしまう

 自分が知った気になって、色々なことを教えるスタッフもいるという。

「ある程度、ベテランアルバイトが新人スタッフに間違ったことを教えたり、自分の業務外のことを教えたりしているケースもあります。ドリンクのグラスが違ったり、効率の悪いやり方を教えていたり、商品の違った盛り付け方を教えていたり……。挙げるとキリがないですが、確実に覚えきれていない業務や曖昧で間違っている部分を教えられると、指導の修正にも時間を取られます

 後輩や新人スタッフへの指導は自分の知識がより定着し、教える立場の大変さも経験できる。しかし、その教える立場のスタッフが間違っていれば元も子もない。

◆まずは自分の記憶に定着させてほしい

「間違ったことを教わった新人スタッフはそのやり方が身につき、改めて上席のものが指導する際、修正や再度指導が必要になるため、二度手間になってしまいます。なので、少しでも曖昧な部分があれば、先輩や社員スタッフに聞いたり、メモしておいたノートを見返したりするなど、まずは自分にしっかりと定着させるようにしてもらいたいです。お店のルールマナーを完璧に覚えてから後輩や新人スタッフへの指導に当たるようにしてほしいです」

 アルバイトだからといって周囲に迷惑をかけるのはNG。最低限の社会人としてのマナーをわきまえ、わからないことがあれば先輩や上司に素直に聞こう。意外と、彼・彼女たちも優しく教えてくれるかもしれない。

TEXT/田中げも>

【田中げも】
大学卒業後、CRM事業の会社に1年半ほど勤め、その後フリーランスに。約6年間飲食店に従事していたこともあり、飲食関係が得意

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