Reconfigurable intelligent surface(RIS)は、5Gミリ波の効率的な展開・運用に加えて、将来の6Gアプリケーションに対するポテンシャルの高さから、ワイヤレス業界の注目を集めいています。ローデ・シュワルツとGreenerwave社が先ごろ行った一連の測定では、ローデ・シュワルツのOTA(over-the-air)アンテナテスト・システムを用いて、Greenerwave社が開発した新しいFR2用RISモジュールがもつ可変な電波反射特性を評価しました。初めての実測結果の一つとして、メタマテリアルをベースとしたRISにより、特に5G FR2に対してカバレッジと無線通信の効率を向上できることを確認しました。この画期的な取組みは将来の6G開発に向けた道を開くものともなるでしょう。

無線性能テスト・チャンバ内でGreenerwave社のFR2用RISモジュールをOTA測定しました。

Reconfigurable intelligent surface(RIS)は無線通信に革命をもたらすものと期待されています。あらゆる面で4G LTEや5G NRよりも効率的であるべき6GネットワークとってもRISは重要な技術です。そのRISはメタマテリアルを使って、ともすれば雑然としがちな無線環境を制御します。RISが期待どおりの働きをするにはメタマテリアルが欠かせません。メタマテリアルによってインピーダンスをサブ波長スケールで操作することで前例のないような電磁波の制御を可能にし、イメージングやレーダー、無線通信に大きなブレイクスルーをもたらしているのです。

今回実施した一連のテストでは、Greenerwave社のFR2用RISの特性評価にローデ・シュワルツの試験・計測機器が使用されました。RISのテストには、様々な入射角で電磁波を照射すると同時に複数の角度の信号を測定できる試験環境が必要です。そこで、OTA測定にローデ・シュワルツの無線性能テスト・チャンバ(wireless performance test chamber:WPTC)が採用されました。さらにGreenerwave社の RISへ照射するためのフィードアンテナに合わせて、ホルダも特別に設計しました。

Greenerwave社のRISには特許技術のメタマテリアルが使われています。RISは多数の層からなる電気デバイスです。その表面には、ピクセルあるいはユニットセルと呼ばれる一連のパッチアンテナがはめ込まれており、その電磁気的応答が制御基板を介して制御できるようになっています。また同モジュールは5G FR2以上で動作し、25~30 GHzの帯域幅を瞬時帯域幅2 GHzでカバーします。さらに独立した偏波制御機能や-60~+60度のビーム走査機能を備えるほか、3度という細いビーム幅に対応しています。

今回の測定を通じて、ミリ波帯で変調した5Gシグナルに対する、このRISの反射特性と反射品質をテスト・チャンバ内で調査しました。3次元的な反射特性の測定はR&S ZVAベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)によって実施し、5Gシグナルの品質測定にはR&S SMW200Aベクトル信号発生器とR&S FSWシグナル・スペクトラム・アナライザを用いました。さらにR&S AMS32ソフトウェアを使って、測定とデータ解析を自動化しています。こうした測定の結果、Greenerwave社のRISが特に5G FR2の導入・運用において無線通信能力を向上できることが実証されました。

ローデ・シュワルツで無線通信の市場セグメントを担当する副社長のAlexander Pabstは次のように説明しています。「Greenerwave社と協力してFR2用RISモジュールの特性評価に成功したことでいっそう期待が高まりました。私どもは進化するワイヤレス業界のニーズに応えられるように技術革新を追求し続け、その共同研究の取組みを通じて6Gのさらなる発展に向けて進むべき道を示したいと考えています」。

また、Greenerwave社CEO兼CSOのGeoffroy Lerosey氏と5G/6G事業部門を統括するYoussef Nasser氏も同様に次のように述べています。「当社のRIS技術とその能力によって5G FR2の新しいユースケースが発展していくものと確信しています。とりわけローデ・シュワルツとの協力は、高度なOTA測定機器を用いてRISが5Gの要件に応えるものであることを証明するうえで欠かせないステップです。私どもは近い将来、5G-Advancedとその先の6Gにおける技術展開の方向付けに貢献するような新しい可能性も探る予定です」。

ローデ・シュワルツは、欧州やアジア、米国の各地で6G研究活動を積極的に支援すると同時に、研究プロジェクトや業界団体の取組み、主要な研究機関・大学との連携にも貢献しています。一方、フランス・パリを拠点とするスタートアップ企業のGreenerwave社は、本質的に省エネな最新技術を通じて5G/6GやSatcom、レーダー、RFIDに関する欧州の研究プロジェクトや取組みに数多く参加しています。ローデ・シュワルツとGreenerwave社はいずれもone6GアライアンスおよびETSI ISG RIS(欧州電気通信標準化機構の作業部会)のメンバであり、RIS技術の未来を具体化する取組みに積極的に参画しています。

ローデ・シュワルツの6Gテスト・ソリューションについて詳しくは、https://www.rohde-schwarz.com/6gをご覧ください。

お問い合わせ:

欧州(本社):Christian Mokry(電話:+49 89 4129 13052、email:press@rohde-schwarz.com)

北米:Dominique Loberg(電話:+1 503 523-7951、email:Dominique.Loberg@rsa.rohde-schwarz.com)アジア太平洋地域:Sze Ming Ng(電話:+603 5569 0011、email:press.apac@rohde-schwarz.com)

Greenerwave社について

Greenerwave SAS社は、パリを拠点とするフランスのディープテック・スタートアップ企業です。フランス国立科学研究センター(CNRS)とパリ市立工業物理化学学校(ESPCI Paris)が運営する学術研究機関の一つランジュバン研究所からのスピンオフであるこのGreenerwave社は、その高い技術力によって、RISを用いた電磁波伝搬のパッシブ制御を革新に導いていいます。同社は、数百MHzからサブTHzにおよぶ電気的に再構成可能なメタサーフェイスの設計・開発から製造、特性評価までも行っています。そのアプリケーションは、低周波数側ではIoTやFRID、高周波数側ではスマート・アンテナやレーダーまでと多彩です。こうした技術は10件の強い特許で守られており、Greenerwave社は通信用途およびセンシング用途のいずれでもRISの設計と製造で最高の技術パートナーとなっています。

https://greenerwave.com/

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ローデ・シュワルツについて

ローデ・シュワルツは、より安全に“つながる”社会の実現に向けた基盤を整えようと取り組む先駆的企業のなかでも、特に技術指向のグループとして、試験・計測などを始めとする技術システムやネットワークおよびサイバーセキュリティにおけるトップレベルのソリューションを提供しています。設立から85年以上にわたり、世界中の産業界や行政機関のお客様の信頼できるパートナーとして歩んできました。そのローデ・シュワルツでは、2021年6月30日現在、全世界で約13,000名の従業員が活躍しています。2020/2021会計年度(昨年7月から本年6月まで)には独立した企業グループとして23.4億ユーロの売上を達成しました。本社はドイツミュンヘンに構えています。

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配信元企業:ローデ・シュワルツジャパン株式会社

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