
コンビニで長く働いてきた筆者。辞めていた時期もあるが、現在はライター業の傍ら、知り合いの店長に「人手不足」を理由に頼まれ、空いた時間だけ手伝う生活をしている。地域や店舗によってもルールは異なるはずだが、今回はコンビニの駐車場における迷惑な放置自転車やバイクの問題について書いていこうと思う。
◆迷惑な放置自転車
コンビニの駐車場には自転車置き場がある。そこはスタッフやお客さんが自転車やバイクを停めるためにあるもので、当然、無料の駐車場じゃない。勝手に放置されると困ってしまう。
公園の近くの店舗で働いていた頃、自転車置き場が中途半端に大きかったので、よく停められていた。当時のオーナーは無頓着だったので気にも留めていなかったが、深夜に警察がやってきて、盗難自転車の確認をしていた。
「そのへんの自転車を誰かが軽い気持ちで乗っていき、コンビニに置いていくパターンが多いんですよ。盗難届が出ていないかチェックします」
警察が実際に調べてみると、盗難自転車ということが多かった。
◆慌てて逃げていく単車の持ち主
筆者が現在働いている店舗の自転車置き場は狭いので、そこに放置自転車があると非常に迷惑だ。じつは警察や区から、放置自転車は関係ない場所に移動させといてくれと言われているので道路の横に運んでおくと、区の自転車撤去が来たらそのまま運ばれることになる。
もちろん放置した相手が悪いので、苦情は一切こない。
単車の場合は運べないので、とりあえず張り紙を貼っておく。1時間が経ったら警察を呼ぶ。そして、警察は盗難車なのか調べ、そのあとは持ち主に連絡をする。
盗難車ではなく、ただ持ち主が長時間にわたって停めていただけの場合、持ち主は店側に一言の断りもなく、いつの間にか単車に乗って逃げてしまうことも多い。
筆者はレジで接客中、持ち主が張り紙を取り、慌てて逃げるように去った姿を目撃したことがある。自分で悪いことをしたのをわかっているようだ。
◆チェーンで柱と繋いで長時間放置…
ある日、店長がかなり怒った様子で外から戻ってきた。聞くと、自転車が停められているだけではなく、店の柱とチェーンで繋がれているという。
たとえるならば、自分の家の柱などに、他人の自転車がチェーンで巻かれているのと同じだ。これには誰だって頭にくるはず。
そのままにしておくわけにはいかないと、店長はその自転車のサドルを外した。こうすれば、犯人は知らん顔で逃げるわけないはずだ。
4時間後、筆者が店内で作業をしていると、若い男性がやってきて、顔を引きつらせながら言う。
「あの〜、自転車のサドルが無いのですが……知りませんか?」
店長を呼ぶと大激怒。年齢を聞くと彼は26歳と若く、自分で会社を経営しているそうだが、非常識すぎるだろう。
ただ、その男性は反省して謝るどころか、「何回もこの店で買い物をしている。さっきも買った」と開き直って逆ギレするのだ。
「そんなの関係ないだろ、まず詫びるのが礼儀だろ。あんたも自分の家の敷地に自転車を放置されて、チェーンで柱と固定されていたら怒るだろう?」
そう言うと、少し冷静になったようで、ようやく謝ってきた。二度と非常識なことをしないように祈っている。
◆まさかの12時間、店側の対応は…
ある日、出勤すると、柱とチェーンで繋がれた自転車に「持ち主は警官といっしょに顔を出すように」という旨の張り紙が貼られていた。どうしたのか聞くと、これは店長がやったらしい。
防犯カメラで確認すると、自転車が放置されたのが朝8時頃。筆者が出勤したのが昼過ぎの15時。すでに7時間が経過していた。
ここまでの長時間放置は、この店舗では珍しいと思った。警察を呼んだが、盗難自転車ではなく、これ以上は介入できないようで、トラブルを防ぐため、警察と一緒に持ち主が来ることで話は済んだ。
20時を過ぎた頃だった。店内に客はいなかった。すると、慌てた様子で若い男性が張り紙を持ちながら「あ、あの〜、僕の自転車は……?」と言ってきた。
店長がバックヤードから出てくる。
「紙に書いてあったとおり、警察と来なさい」
「すいませんでした」
「12時間も何を考えているんだ! とにかく警察と一緒に来ないと自転車は返しません」
そう言うと、男性は警察と共にやってきた。男はひたすら謝っているが、店長が
「あのね〜、どれだけ迷惑かけていると思っているの? それに、もしもあなたの家や働いている場所で、こんな失礼なことをされたらどう思うか自分で考えて」
「本当、おっしゃる通りです。すいませんでした」
警官の方からも男は注意を受けて帰っていった。
◆とんでもない客のクレーム
また別の日、店長の奥さんが外で掃除をしていた。店内から出てきた女性のお客さんが、乗ってきたはずの自転車をそのまま置いてどこかに行こうとするので「自転車を置いたままは困ります」と言った。
このような声掛けをした場合、「すいません」と謝って大人しく去っていくパターンと、ムスッとしたり睨んだりしながら去っていくパターンがある。この女性は後者で、ムスッとしながら何も言わずに自転車に乗って行ってしまった。
その後、店長の奥さんは店内で筆者と一緒に仕事をしていたが、先ほどの女性が店に戻ってくると、ものすごい剣幕で言った。
「さっき、私ここで買い物したのよ。だから自転車くらいいいでしょ!」
呆気にとられたが、店長の奥さんがこう返す。
「そんなことは関係ないです。ここの自転車置き場は店に来るお客さんのためにあるもので、停めてどこかに行かれては困ります」
だが、「私は店で買ったんだ! だからいいだろ!」と、ワケのわからないことをわめき、さらには「本部にクレームを入れてやる!」と捨て台詞を残していった。
まあ、そうは言っても本部にクレームはいれないだろうと思っていたし、相手が完全に悪いのでどうでもいいと思っていたが、翌日、本部にクレームが入っていた……。とんでもない客だった。ともあれ、放置自転車は迷惑なので本当にやめてほしい。
<文/浜カツトシ>

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