十分に火が通っていないティラピアを食べた女性が今月中旬、四肢を切断する手術を受けていたことが明らかになった。地元で購入したティラピアが、“人食いバクテリア”と呼ばれる細菌「ビブリオ・バルニフィカス」に汚染されていたという。米サンフランシスコ・ベイエリアのニュースメディア『KRON4』などが伝えた。

夏場の海水温が高い時期に繁殖し、生の魚介類を摂取したり、菌が傷口から侵入することで感染する「ビブリオ・バルニフィカス」という細菌をご存じだろうか。健康な人が感染しても重症化することはほとんどないと言われるが、肝臓に疾患があったり、鉄剤を服用していたり、免疫力が低下している人の場合には生命を脅かすことがあるという。

カリフォルニア州サンノゼに住むローラ・バラハスさん(Laura Barajas、40)は7月末、長い一日を終えると、地元市場で購入したティラピアを自宅で調理して一人で食べた。ところがその翌日、体調が急激に悪化して入院となり、「ビブリオ・バルニフィカス」と診断された。そして約1か月半が経過した今月13日、医師は壊死が進行した四肢の切断手術を行ったのだった。

ローラさんの友人アンナメッシーナさん(Anna Messina)は、ローラさんがティラピアを十分に加熱せずに摂取したことで「ビブリオ・バルニフィカス」に感染したと確信しており、「彼女はもう少しで命を落とすところだった。ただこれは誰にも起こり得ることよ」と述べると、こう続けた。

「まさかこんなことで人生が変わってしまうなんて、彼女は考えてもいなかったでしょうね。でもローラには人工呼吸器が装着され、医療的な処置による昏睡状態に置かれたわ。敗血症で手指も足指も下唇も真っ黒で、腎不全を起していたのよ。」

ちなみに6歳の息子がいるローラさんのそばには、パートナーのホゼ・バルデスさん(Jose Valdez)が付き添っており、アンナさんは現在、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」にアカウントを設置して寄付を呼びかけている。

今回の件を受け、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の感染症専門家であるナターシャ・スポティスウッド医師(Dr. Natasha Spottiswood)は、感染予防について次のように呼びかけた。

「皮膚に傷がある人は、癒えるまで海水に接触しないようにすることが大切です。特に免疫力が低下している人は日頃から注意して、危険な行動を回避して生鮮魚介類を摂取しないことを推奨します。」

なおビブリオ・バルニフィカスの感染者が特に多い南部フロリダ州では今年、8月までに26人の感染者が確認され、そのうちの5人が死亡している。そういった背景から今月1日、米国疾病管理予防センター(CDC)は「海水温の上昇とハリケーン『イダリア』の影響でビブリオ・バルニフィカスに感染する危険性が高まっている」と警告を出していた。

CDCによると、アメリカでは毎年150~200人が感染し、約5人に1人が命を落とすという。また体調が悪化後、1~2日で亡くなることも少なくないため早期の治療が必要とされる。症状は発熱、寒気、腹痛、下痢、激痛、皮膚病変(紅斑、紫斑、水疱、内出血、潰瘍など)などで、菌が全身にまわってしまうと敗血症を起こし、死亡率が高くなるという。

画像は『Daily Express 2023年9月17日付「Mum loses all of her limbs after eating undercooked fish and catching deadly infection」(Image: GOFUNDME)』『NDTV 2023年9月17日付「Tilapia Warning: US Woman Loses All Four Limbs After Eating Contaminated Fish」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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