キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋ジョン・ウィックを演じる人気アクションシリーズの最新作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が本日より日本公開を迎えた。“報い”を意味する“コンセクエンス(=consequence)”と題された本作では、ついにジョンが裏社会を牛耳る組織“主席連合”との決着に向けて動きだす。

【写真を見る】“キルカウント”はシリーズ最多!大阪、ベルリン、パリと世界をめぐり、ジョン・ウィックが次々と敵をなぎ倒す

アクションはもちろん、ドラマ性もロケーションも、なにからなにまでシリーズ最大級のスケールで描きだされた本作をしっかりと堪能するなら、やはりIMAX一択だろう。そこで本稿ではシリーズのこれまでを振り返りながら、最新作をIMAXで観るうえでの注目ポイントを紹介していこう。

■キアヌの超絶アクションがさらに進化!前代未聞のシリーズを数字でプレイバック

まずはこれまでのシリーズを簡単におさらいしていこう。シリーズ1作目の『ジョン・ウィック』(14)では、数々の伝説を残して足を洗った殺し屋ジョン・ウィックが、最愛の妻が遺した愛犬を殺されたことをきっかけに裏社会へと復帰。殺し屋たちの最重要拠点であるニューヨークコンチネンタルホテルの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)に協力をあおぎ、ジョンは単身でロシアマフィアの壊滅に乗り出す。

続く2作目『ジョン・ウィックチャプター2』(16)は、1作目の数日後から物語が始まる。かつて“血の誓印”を交わしたイタリアンマフィアのサンティーノ(リッカド・スカマルチョ)から仕事を依頼されるも断るジョン。するとその報復として、亡き妻との思い出が詰まった家を爆破されてしまう。新たな復讐に燃えるジョンは、次々と襲いくる殺し屋たちを薙ぎ倒しながらイタリアンマフィアを殲滅に追い込んでいくのだが、そのなかで裏社会の重要な掟を破ってしまうことに。

“聖域”であるコンチネンタルホテルでの“不殺の掟”。それを破ったために主席連合から追われることになる『ジョン・ウィック:パラベラム』(19)。懸賞金をかけられニューヨーク中の暗殺者からねらわれる羽目になったジョンは、満身創痍ではるばるアフリカモロッコへ。主席連合の“首長”との対面を経て、再びニューヨークへ戻ったジョンは、聖域が解除されたコンチネンタルホテルで繰り広げられる壮絶な戦いに身を投じていく。

シリーズを重ねるごとにスケールアップしていくのはもちろん、興収も批評も常に右肩上がりなのが「ジョン・ウィック」シリーズの恐るべきところ。2000万ドルで製作された1作目の全世界興収は8600万ドル。それが2作目で製作費4000万ドル、全世界興収1億7600万ドルへと倍増し、続く3作目では7500万ドルの製作費をかけながらその4倍以上となる全世界興収3億2000万ドルを記録。そして製作費1億ドルの大台に突入した本作では、すでにシリーズ最高成績となる全世界興収4億2600万ドルを記録している。

また、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合も、1作目の86%、2作目・3作目の89%から、さらに上昇して今作はなんと94%。これはリーブスのこれまでの実写出演作のなかで『スピード』(94)に次ぐ高評価。観客からの好意的評価の割合も93%とすこぶる高く、こちらの数字はリーブスの実写出演作のなかでナンバーワンとなっている。

そんな前代未聞の記録を次々と打ち立てている「ジョン・ウィック」シリーズ。引き続き「マトリックス」シリーズでスタントマンを務めていたことでも知られるリーブスの盟友チャド・スタエルスキ監督がメガホンをとるとなれば、これまで以上に妥協のないアクションが炸裂していることは確約されたようなもの。海外メディアの集計によると、今作の“キルカウント”(劇中でジョンが殺す敵の数)はシリーズ最多。1作目の77人、2作目の128人、3作目の85〜94人と、すでにシリーズ3作で300人弱を殺めてきたジョンだが、今作だけでなんと140人も葬っている。

まさに“壮絶”“超絶”という表現が相応しいほどの激しい戦いが描かれる本作を、壁一面の巨大スクリーンとクリアで成功な音響に身体の芯まで伝わる重低音など、全身で映画の世界を感じることができるIMAXで観るとなれば、いったいどんな映画体験が待っているのか。ここからは具体的なシーンを紹介しながら紐解いていこう。

ニューヨークから大阪、そしてパリへ!最強の殺し屋が世界をめぐる

激しい戦いの末に、死を偽装して主席連合の粛清を逃れたジョン・ウィックは、地下犯罪組織の王バワリー・キング(ローレンスフィッシュバーン)のもとで身を潜め、ついに反撃の狼煙をあげる。ヨルダンの砂漠で主席連合の首長を手にかけていたのも束の間、ジョンの生存が知り渡ったことからニューヨークコンチネンタルホテルには主席連合からジョンを粛清するために全権を委任されたグラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)が現れる。

支配人のウィンストンの目の前でコンチネンタルホテルを爆破し、コンシェルジュのシャロン(ランスレディック)を射殺するグラモンは、さらにジョンの旧友である盲目の武術の達人ケイン(ドニー・イェン)を強引に刺客として引き入れる。その頃ジョンは、大阪のコンチネンタルホテルで支配人のシマヅ(真田広之)のもとに身を寄せていた。するとそこへグラモンの右腕のチディ(マルコ・ザロール)が現れ、ついに戦いの火蓋が切って落とされる。

冒頭のシーンでジョンが拳を打ちつける振動が、ずしんと突き刺さるように伝わってくる。その直後には、スクリーンいっぱいに広がる砂漠を馬で駆けるジョンの姿。さらにコンチネンタルホテルが爆破される瞬間にはウィンストンが体験する振動を追体験することになる。序盤からIMAX鑑賞の醍醐味を視覚からも聴覚からも存分に味わえると証明するようなシーンが続くと、一気に殺し屋たちの世界へと導かれる。そこからはもう、169分という上映時間をまったく感じさせない怒涛の展開。畳み掛けるようなアクションの連続ですっかり喉はカラカラ。手のひらは汗でぐっしょりだ。

今作で繰り広げられるアクションシーンの数は、前作を大きく上回る14シーン。一つ取ってもほかのアクション映画の目玉になるだけのハイクオリティのアクションシーンが、たった一本の映画でこれでもかと言わんばかりに味わえる贅沢さは、まさに「ジョン・ウィック」の醍醐味。リーブスは本作に臨むために撮影開始の8か月前からトレーニングに励み、劇中ではシリーズの代名詞でもある“ガン・フー”や“カー・フー”はもちろんのこと、フィジカルを駆使したアクションにはお馴染みのヌンチャクにも挑戦。

そして戦いの舞台となる場所はワールドワイド。ニューヨークヨルダンに始まり、大阪のコンチネンタルホテルで繰り広げられる最初の大立ち回りシーンは、なんと20分以上も戦いっぱなし。その後もベルリンのナイトクラブでのバトルや、パリの街全体を使った殺し屋たちとのせめぎ合い。世界のさまざまな場所のロケーションや空気感をじっくりと味わいながら、そこに鳴り響く銃声に次ぐ銃声に、リロードを経てのさらなる銃声。

刀と刀がぶつかり合う高音から、拳がぶつかり合う鈍い音まで一つも逃さず聞き取ることができるIMAXで見れば、あたかも戦いの現場に間近で立ち会っているような臨場感を味わえること請け合いだ。

真田広之ドニー・イェン、各国のアクションスターが続々参戦!

「イップ・マン」シリーズや『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)など、世界を股にかけて活躍する香港のアクションスター、ドニー・イェン。そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)や『ブレットトレイン(21)などハリウッド大作への出演が相次ぐ真田広之。アジアを代表する2人のアクションスターの初参戦も今作の見どころの一つ。

ドニー・イェンが演じるケインと、真田演じるシマヅは、それぞれジョンの旧友という役どころ。映画前半に描かれる大阪コンチネンタルホテルでのバトルシーンでは、両者が刀を交えるアクション映画ファン必見の対決が展開。アジア俳優のパワーを存分に感じる俊敏な動きを一瞬たりとも逃したくないのならば、巨大なスクリーンを有するIMAXでの鑑賞は外せない。さらにグラモン侯爵に娘を人質に取られたことからジョンを狙うことになるケインとジョンの友情ドラマは本作を彩る重要なアクセントとなっており、クライマックスのサクレ・クール寺院へ向かう階段での格闘シーンはとにかく胸アツだ。

ほかにも新キャストとして、シマヅの娘アキラ役にはこれが長編映画デビューとなるリナ・サワヤマ。鋭い目力とキレのあるアクションを披露するアキラとシマヅの父娘のドラマも見逃せないポイントとなっている。さらにジョンをつけ狙う賞金稼ぎのトラッカー役に、これまでテレビドラマを中心に活躍してきたシャミアアンダーソン。そして、ジョンを粛清しようとするグラモン侯爵役には「IT/イット」シリーズでペニーワイズ役を演じたビル・スカルスガルド。それぞれのキャラクターに見せ場となるシーンがしっかり用意されており、迫力満点のIMAXで観ればさらに興奮することまちがいなし。

もちろん、1作目からジョンと信頼関係を築いているウィンストン役のイアン・マクシェーンや、バワリー・キング役として「マトリックス」シリーズに続いてリーブスとタッグを組んでいるローレンスフィッシュバーンらおなじみの顔ぶれにも注目。序盤にしか登場シーンはないが、コンシェルジュのシャロン役を演じるランスレディックは、本作の北米公開の直前に60歳の若さでこの世を去った。最後まで忠実なコンシェルジュであり続けた彼の輝きを、とくとその目に焼き付けてほしい。

■まだまだ拡大する“ジョン・ウィックワールド”に乗り遅れるな!

本作の公開に合わせ、ウィンストンの若き日を描いたシリーズの前日譚となるスピンオフドラマシリーズ「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」(Prime Videoにて独占配信中)がスタートした。また来年には、アナ・デ・アルマスを主演に迎え、『ジョン・ウィック:パラベラム』に登場した“バレリーナ”を主人公にしたスピンオフ映画『Ballerina』が公開されることも決まっており、2023年5月には製作会社であるライオンズゲートの四半期決算会見で、シリーズ5作目の開発が進められていることが明らかにされているなど、今後さらなる拡大を続けるであろう「ジョン・ウィック」シリーズ。

まずは最新作が劇場公開されているいまこそ、キアヌ・リーブスの新たな代表作にして、度肝を抜くようなバトルが止めどなくあふれかえる究極アクションの世界に、IMAXでとことん没入しよう!

文/久保田 和馬

4年ぶりに帰ってきた「ジョン・ウィック」!IMAXでの見どころをチェック/[r], TM & [c] 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.