カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 アメリカ・ミシシッピ州で、瀕死の状態の馬が救助・保護された。飼い主に虐待され餌を与えられていなかった馬は、やせ細り激しい脱水症状を引き起こしていた。

 立ち上がる気力さえなく、死の寸前まで追い詰められていたように見えた馬だったが、最後まで生きることをあきらめなかった。

 保護された後、馬は驚くべき速さで奇跡的な回復を遂げるのだ。

【画像】 飼い主に飼育放棄され身も心もボロボロになっていた馬

Defeated horse goes through incredible transformation

 2022年1月、ミシシッピ州にある馬の救済団体スタッフ、ステファニーさんがダッシャーを見たとき、あまりの姿に心を痛めた。

 ダッシャーは、まともに世話をされていないのが一目瞭然だった。虐待されたその体は骨と皮だけで立ち上がる気力もなくやせ細り、ボロボロの状態だった。

 ただ諦めて、あとは死を待っているだけのように見えたダッシャーを、ステファニーさんはなんとかして救いたいと思った。

2_e0

ダッシャーのひどい状態を見て、「どうやってこの馬を立ち上がらせることができるだろう」と思いました。

ダッシャーは、もう生きることを諦めてしまっているように見えました。

 ダッシャーは、トレーラーに自力で乗ったものの、四肢があまりにも弱っていて、犬がうつ伏せになるようにすぐに座り込んでしまったという。

1_e2

 それでも、ステファニーさんは「この馬にはまだ希望がある」と感じた。

 幸いにもダッシャーの里親宅は、15分ほどの距離だった。そこに到着すると、なんとかダッシャーはトレーラーから降りて、横に寝そべりながら干し草を食べ始めた。

ダッシャーの生きたいという強い思いが奇跡の回復へ

 ステファニーさんは、脱水症状で飢えているこの馬が、果たして生き延びられるだろうかと心配した。とにかく、ダッシャーが必要なのは十分な愛情とケアだ。

 翌日、里親家族は、トラクターを使ってダッシャーを持ち上げ、立ち上がらせてみた。

 ダッシャーは紐で上から引っ張られていたが、ふらついた様子を見せることなく、なんとか四肢で支えて立つことができているようだった。

 翌朝、ステファニーさんは自力で立っているダッシャーを見て驚いた。

1

前日あれだけ弱っていたのに、介助なしで立っているのを見てびっくりしました。

普通は、自力で立つようになるまでは時間がかかるものですが、ダッシャーは片脚で地面を掻いて、早くごはんをちょうだい、とせがむ仕草をしたんです。

前日の様子からして、こんなに回復できるとは夢にも思っていませんでした。

少しの希望が、驚くべき生きる意志へと変わったのです。
4_e

 それから1週間、里親家族はトラクターでダッシャーを引っ張って立たせる訓練を続けた。

 そのケアとダッシャーの生きたいと思う強い精神が、早い回復へと繋がったようだ。

 1か月後には、ダッシャーは走ることができるほど元気になった。

奇跡の回復を遂げたダッシャー

 ステファニーさんや里親家族の献身的なケアのおかげで、数分も立ち上がることができなかったダッシャーが、1か月後には完全に力を取り戻した。

 歩くことも、短距離でなら走ることもできるようになり、体にエネルギーが満ちるようになった。

 ステファニーさんは、ダッシャーが本来とても美しい馬だということに改めて気付いた。

 ダッシャーが健康を回復できたのは、周りの親切な人々の努力のおかげだ。そして何より、最後まで生きることを諦めなかったダッシャーの強い精神があったからこそだ。

 ステファニーさんによると、ダッシャーの推定年齢は10代後半だそうだ。

 馬としては、まだ高齢ではなく、これから何年も生きることができる。

 現在、ダッシャーはとても元気に暮らしている。保護区で、たくさんの世話と愛情を受け、長距離でも走ることができるようになった。

 虐待された馬たちが、回復し、自力で立ち上がっていく姿を見ることが、なにより喜びだというステファニーさんは、ダッシャーがこれからも幸せに生きてくれることを願っている。

References:Horse So Defeated He Had Given Up On Life Has Amazing Transformation/ written by Scarlet / edited by parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

死の寸前まで追い詰められていた馬は生きることをあきらめなかった。奇跡の回復物語