道路の起点からの距離を示す「キロポスト」、これが中央道では妙なことになっています。起点から100km未満の地点を走っていたはずが、一気に300km台に上がる箇所があるのです。背景には、中央道ならではの理由がありました。

なんか「300」が足されている!

高速道路などには、一定の間隔で道路の起点からの距離を示す「キロポスト」が設置されています。通常は起点から遠ざかるにつれ、たとえば「50」「50.1」「50.2」と0.1ずつ数字が増えていくのが一般的です。しかし中央道では、これが一気に「300」以上も増えるという特異な箇所があります。

中央道では、東京の高井戸IC付近から、愛知県の小牧JCTまで約345kmのあいだ、おおおよそ100m間隔でキロポストが設置されています。おかしなことになるのは、この本線の途中から富士吉田線へのランプが分岐する大月JCT。下り線で分岐直前のキロポストは「67」ですが、富士吉田方面はその次が「367.1」になり、そのまま、河口湖本線料金所手前の「393.2」まで続きます。

富士吉田線のキロポストは、高井戸からの距離に300を足した表示になっています」――NEXCO中日本八王子支社は以前、こう説明していました。

前出の通り、本線は高井戸から小牧まで約345kmなので、高井戸から67kmの大月JCT分岐部を境に、富士吉田方面のキロポストを「+300」で表示しても、数字が重複することはないというわけです。

「+300」しなければいけない納得の理由

高速道路では「分岐する路線のキロポストも、分岐前の路線の起点に準じる」ケースがあります。たとえば東北道は川口JCT付近を起点に青森まで続きますが、途中で分かれる八戸道も、川口を起点としたキロポストが設置されています。この場合、東北道八戸道とで同一の数字が続きます。

対して中央道 富士吉田線のキロポストは、なぜ同一の数字ではなく、「+300」する必要があるのか。それは「道路名が変わらないため、本線と区別する」目的だそうです。

たとえば八戸道の場合、「八戸道の570キロポスト付近で事故」といえば場所は明確です。ところが中央道の場合、富士吉田線も本線も「中央道」と案内されています。

仮に富士吉田線のキロポストも本線と同一の数字で「中央道の70キロポスト付近で事故」といえば、「本線ですか? 富士吉田線ですか?」となる可能性も。この「+300」は、どちらの道でトラブルなどが起きたのか、容易に場所を特定できるような工夫のひとつといえそうです。

高速道路のキロポスト(画像:写真AC)。