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 イタチ科のミンクは、そのしなやかで滑らかな毛皮が世界中で利用されていて、アメリカの毛皮農場では多くのミンクが飼育されている。

 そのうちの1つ、ペンシルベニア州の毛皮農場の囲いのフェンスが、何者かに破壊され、6千~8千匹のミンクが逃げ出すという事態が発生した。

 脱走したミンクのほとんどは回収されたが、まだ数百匹は逃げたままだという。当局は住民に対し、ミンクを目撃しても、攻撃的になっている可能性があるので近づいたり触れたりしないよう警告を促している。

【画像】 毛皮農場のフェンスが破壊され多くのミンクが脱走

Police: Thousands of minks released after holes cut in Pennsylvania fur farm fence

 ペンシルベニア州警察は、9月17日の深夜から翌午前7時までの間に、何者かがロックフェラー・タウンシップの毛皮農場に忍び込み、農場を囲むフェンスに穴を開けたと発表した。

 同警察によると、農場に忍び込んだのは複数人の可能性もあるという。

 逃げ出したミンクは、6千~8千匹にのぼると言われていて、地域の野生動物やペットに深刻な影響を与えている。

 ペンシルベニア州野生鳥獣委員会によると、北アメリカ原産のミンクは水生生物から陸上の小動物まで捕食し、州の「最も効率的な捕食者」の1種とされているそうだ。

[もっと知りたい!→]超高密度で外来種「アメリカミンク」が大増殖中(福島)

ミンクは、機敏で攻撃力が高く、頭蓋骨の後ろを強く噛んで獲物を殺します。

好んで食べるのは、ネズミ、ハタネズミ、マスクラットなどで、ウサギ、家禽、魚や甲殻類も捕食します。捕まえたり見つけたりしたものを手当たり次第になんでも食べる傾向があります。
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photo by iStock

ほとんどは捕獲したが、いまだ数百匹は逃走中

 ミンクの脱走をきっかけに、多くの機関が彼らを捕まえるために動いた。

 ミンク農家を代表する米国毛皮委員会事務局長チャリス・ホブズ氏は、逃げたミンクの多くは農場周辺に留まり、19日までにはほとんどが回収されたと語った。

 だがなにしろ逃げた数が多い。ロックフェラー・タウンシップにあるサンベリー動物病院の広報担当者は、まだ数百匹が野放し状態にあると話しており、Facebookで地域住民に注意喚起を促している。

ミンクは攻撃的な個体が多いので、近づいてきたら遠ざかりましょう。

可能であれば、すべてのペットを外には出さないでください。ペットが外にいるときは監視してください。

ミンクを見かけても、容易に近づいたり捕獲を試みたりしないようにしてください。

 現在、州上院・下院の議員数人の事務所内では、ノーサンバーランド郡緊急管理局により生死を問わずミンクの目撃情報通報のホットラインが設置されている。

 当局は、声明で次のように述べている。

生きたミンクは住民を噛む可能性があり、危険です。当局は住民に対し、安全で適切な罠を使わずにミンクに近づいたり捕獲しようとしたりしないよう勧告しています。

 一方、多くの州機関と農場職員の協力を得て、逃げ出したミンクの回収に取り組んでいる警察は、犯人の捜査を続けている。

 容疑者は、「農業に関する嫌がらせの罪」で起訴される予定になるということだ。

Minks on the loose after thousands escape from farm in Pennsylvania

同様の状況で過去にも事件が発生

 ペンシルベニア州の農場への侵入の動機は今は不明だが、何者かによって農場からミンクが解放された事件は、過去に数件発生している。

 オハイオ州では毛皮農場周囲のフェンスが破壊者によって壊された後、1万頭のミンクが農場から逃亡した。

 その多くは、新たに手に入れた自由を享受する前に、スピード違反の車によって命を落としたようだ。

 オハイオ州FBIが調査した最近のミンクの「解放」の中で最も深刻なものは、2022年11月にヴァンワート郡で最大4万頭のミンクが放たれたことである。

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pixabay

農村地域と周囲の生態系に打撃をもたらす破壊行為

 何千、何万匹ものミンクを農場から脱走させる事件は、破壊行為とみなされていて、多額の損害賠償金が発生する。

 ペンシルベニア州の事件も、過去同様の結果をもたらすだろうと当局は述べた。

この行為は単一の農場に対する単なる攻撃ではなく、農村地域と周囲の生態系に打撃を与えるものである。

残念ながら、逃げたほとんどのミンクは最終的には飢えたり、車にはねられたりして死にます。
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 ちなみに、「動物の倫理的扱いを求める人々の会(Peta)」は、同団体のウェブサイトでこのように主張している。

養殖ミンクは通常、数千匹が一生を金網の檻の中で飼育されます。

農場は不潔で、悲惨な環境で飼育されています。ミンクは檻の中での生活の苦悩と挫折感によって、皮膚、尻尾、足を噛む自傷行為や、檻の仲間の共食いさえあります。

 いったい、誰がミンクを解放したのかは今のところは不明だが、標的となった農場は、人道的な動物愛護のための厳格なガイドラインに準拠した、合法かつ認定された運営施設だということだ。

References:About 6,000 to 8,000 minks released after holes cut in Pennsylvania fur farm fence/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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毛皮農場から6千匹を超えるミンクが脱走、何者かがフェンスを破壊