習近平

21世紀以降、中国は平均して経済成長率10%あまりをキープし、今日では米国に次ぐ経済大国となったが、近年その勢いに陰りが見え始め、今年の成長率は5%程度に落ち込むとみられる(それ以上に落ち込むとの指摘もある)。不動産バブルは崩壊し、経済格差は広がり、若年層の失業率は20%を超えている。深刻化する失業率に、中国当局は最近失業率の公表をストップした。


■習近平氏はどんな決断を下すか

そのような中、米下院議会の中国特別委員会のギャラガー委員長は9月中旬、中国経済が減速にするに伴い、中国が台湾への軍事侵攻に出るリスクが高まっていると指摘した。

ギャラガー委員長はその具体的な理由などそれ以上詳しく発言しなかったが、政権は台湾統一を悲願に掲げ、独立に向けた動きがあれば武力行使も辞さない構えを貫いている。中国国民の社会的、経済的不満はますます高まり、その矛先は習政権に向いており、習政権としては外交問題で諸外国に弱腰の姿勢は見せられない状況だ。

国民の不満を払拭するためにも、台湾に対する強い姿勢を堅持し、軍事侵攻という手段で台湾統一を果たし、国民にアピールするというシナリオも決して排除できないだろう。


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■台湾総統選挙は来年1月

そのような中、来年の総統選挙が告示され、来年1月13日に投開票が行われることが分かった。

これまでのところ民進党の頼清徳(らい・せいとく)氏、野党国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)氏、民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)氏の3人が立候補を表明しているが、仮に蔡英文(さい・えいぶん)氏の政策を継承する候補者が勝利すれば、中台関係はいっそう冷え込み、習政権が軍事侵攻という決断を下すリスクは一層高まるだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

国内経済が減速する中国 それによって台湾侵攻リスクが高まる?