全国を見渡しても埼玉県警にしかない激レアパトカー、それが日産のR34型「スカイラインGT-R」です。「スカイライン」シリーズ最後の直列6気筒ターボを搭載した同車が、交通安全運動の出発式で元気に走っていました。

なぜ埼玉県警だけ? 他県に配備されなかったワケ

2023年9月21日から「令和5年秋の全国交通安全運動」が始まりました。これに伴い、全国で警察主催の各種イベントが開催され、交通安全の啓発活動が行われています。

そういったなか、埼玉県所沢市にある航空記念公園で実施された交通安全運動の出発式で元気な姿を見せていたのが、「スカイラインGT-R」のパトカーです。

そもそも「スカイラインGT-R」は、日産自動車が誇る高性能スポーツカーの一大ブランドです。初代が誕生したのは今から50年以上前の1969年のことですが、なかでも第2世代と呼ばれる「R32」「R33」「R34」の3型式は、20年から30年ほど前に販売されていたモデルであるもののいまだ高い人気を誇っています。

これらは優れた走行性能を持っていたことから、3モデルとも交通取締用のパトカーとして採用され、高速道路を中心に走り回っていました。

ただ、1990年代初頭に登場したR32型と、R33型ならびにR34型では厳然たる違いがありました。それは調達方法です。

R32型「スカイラインGT-R」は警察庁が大量調達し、全国の都道府県警察に割り振る、いわゆる「国費調達」だったのに対し、R33とR34は各都道府県警察が地方自治体の独自予算で必要な数だけ調達する、いわゆる「県費調達」でした。

そのため、R32型「スカイラインGT-Rパトカーが、警視庁大阪府警神奈川県警静岡県警などで運用されたのに対し、R33型は神奈川県警(オーテック4ドア仕様)と埼玉県警だけ、R34型に至っては埼玉県警のみの導入で終わっています。

2ドアクーペであることが逆に…

全国唯一のR34型「スカイラインGT-Rパトカーが配備されたのは、埼玉県警のなかでも高速道路交通警察隊でした。そのため、基本的には同県内の高速道路上のみが守備範囲だったわけですが、屈指の国産スーパースポーツである「スカイラインGT-R」のパトカー、そして埼玉県警にしかないという希少性から大きな注目を集め、その知名度は非常に高いものになりました。

導入数は白黒のカラーリングのものが5台、覆面パトカー仕様のものが1台の計6台。現在は初期導入車から用途廃止が始まっていますが、いまだに複数が現役です。今回、所沢の航空記念公園で行われた交通安全運動の出発式に姿を見せたのは、2001年度に配備された、いわゆる「後期型VスペックII」と呼ばれるタイプでした。

R34型「スカイラインGT-Rパトカーは、様々な意味で埼玉県警のパトカーを代表する存在です。パトカーとしてだけでなくクルマとしても圧倒的な知名度を持っているため、各種の公開行事などでは抜群の存在感を放ちます。

それでも全車、すでに導入から約20年が経過しています。また使い勝手などは4ドアのセダンタイプのパトカーの方が優れているため、もっぱら今回のようなイベント中心で使っていると思われます。

ちなみに、神奈川県警が保有するのはR33型の特注モデルである「スカイラインGT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」白黒タイプです。ただ、こちらは埼玉県警のR34型よりもさらに古く、導入から四半世紀を数えるため、こちらもイベント主体になっている模様です。

2023年9月21日、埼玉県所沢市の航空記念公園で実施された交通安全運動の出発式に参加していたR34型「スカイラインGT-R」パトカー(柘植優介撮影)。