
カナダに住む女性宛に、注文していないコンドーム1,020個が入った大きな箱が送りつけられ、495カナダ・ドル(約5万2,000円)を請求された。増加するECサイトを使った詐欺と対策について『UPI』や『Vigour Times』が伝えている。
■大量の届け物に困惑
カナダ・オンタリオ州に住むジョエル・アングルハートさんが、Amazonからの届け物を受け取り箱を開封すると、そこには1,020個ものコンドームが入っていた。
アングルハートさんには注文した覚えはなく、夫は病気療養のため入院中だったため、すぐに詐欺だと気付いたそうだ。
アングルハートさんは地元の『CTVニュース』のインタビューに答え、「箱を受け取ると、34個入りのコンドームが30箱入っていました。なぜ私たちの家にこの荷物が届いたのか本当に理解できませんでした」と振り返る。
さらにアングルハートさんの困惑に追い打ちをかけるように、後日クレジットカードに495カナダ・ドル(約5万2,000円)の請求があったという。
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■無作為に発送する詐欺
サイバー専門家は、「ブラッシング詐欺」と呼ばれる手法であると指摘した。
この手口は、まずAmazonの販売者が無作為の住所に荷物を送りつけ、後日クレジットで代金を請求。同時にハッキングしたアカウントを使い、好意的なレビューを書き込み、本人が購入したかのように見せかけアリバイを作る。そんな極めて用意周到な詐欺手法だという。
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■各地で同様の被害
アメリカ・ヴァージニア州プリンス・ウィリアム郡に住むシンディ・スミスさんも、今年初め同じように注文した覚えのない荷物を100個以上受け取り、Amazonに発送した業者について調査を求めた。
調査の結果、この業者が自社のフルフィルメントセンターから売れ残った在庫を処分するために、無作為の住所に荷物を発送していたことを突き止めたという。
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■アカウントが盗まれた可能性
サイバー犯罪に詳しい『データリスク・カナダ』のクラウディ・ポパさんは、アングルハートさんのAmazonアカウントがハッキングされた可能性が高いと推測している。
当初、Amazonはコンドームが返品不可能な商品であるとして返金を拒否したが、調査を経てアングルハートさんのAmazonアカウントを確保し、代金の返金に応じたという。
ブラッシング詐欺は、アメリカなど多くの国で違法とされているが、発送先が外国の第三者販売業者であることから対策に苦慮している。
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■詐欺から身を守るには?
アメリカの消費者の権利を守る非営利団体『商業改善協会』は、ECサイトでブラッシング詐欺にあったときの対策として、いくつかの手順を紹介している。
まずECサイトのカスタマーサービスに連絡し、調査を依頼する。事業者の連絡先を確保して送り主を特定し、自分の名前で偽のレビューが投稿されていないか確認し、レビューの削除を求める。
身に覚えのない商品が届いた場合は荷物の配達を拒否し、アカウントのパスワードを変更すること。必ずクレジットカードの請求書を確認することなどを挙げている。
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