松岡茉優が主演を務め、芦田愛菜らが出演するドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系Huluでも配信)の第10話「『変わらない』と諦める貴方へ」が、9月23日に放送。卒業式の日に九条(松岡)を突き落とした犯人が判明した。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】九条の親友の早乙女と勝見。親友だからこそ二周目であることは打ち明けられなかった

■教師役初挑戦の松岡茉優“九条”が「命懸け」で生徒と向き合う

同ドラマは、菅田将暉主演のドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019年、日本テレビ系)を手掛けたプロデューサーと監督による完全オリジナルの“新時代”の学園ドラマ。

鳳来高校3年D組の担任・九条里奈は(松岡)、卒業式の日、4階から突き落とされる。その直後、九条は始業式の日の教室に戻っていた。突き落とされる直前に見た制服の袖から、30人の生徒が突如30人の容疑者となる。1年後の死を避けるべく、九条は文字通り“命がけ”で生徒と向き合っていくという物語。

■鵜久森の机に一輪の花が飾られ、その後は平穏な日々が続いた

鵜久森(芦田)の身に起こった出来事についての全ての告白が終わった翌日から、鵜久森の机の上に一輪の花が飾られ、それは卒業式まで続けられた。

3月8日卒業式まであと2日。鵜久森が亡くなる前に言っていた「自分に明日が来る実感がないんです」という感覚が九条の中に芽生え始めていた。3月9日卒業式前日。5周年を迎えた早乙女(森田望智)の店で、九条は勝見(サーヤ)も交えて3人で食事をして、親友の絆の強さを改めて感じた。だからこそ、二人には危険な目に巻き込みたくないと思い、二周目の人生だということ、一周目の人生での卒業式に起こったことは話さなかった。

その夜、夫の蓮(松下洸平)に「絶対に巻き込まれようとしないで」とお願いすると、蓮は「明日は卒業式だから早く寝るぞ。もしよかったら明日の朝、ゆっくりご飯食べない?」と提案した。

■九条蓮「未来の話をそんな顔をして聞くな。里奈は生きてるよ。生きてる。生きる」

卒業式当日、蓮が作ったのは、彼が結婚後に初めて作った“大きなおにぎり”だった。九条が“明日が来る実感がない”ことを知っている蓮は、明日以降の予定や約束などをどんどん話していく。しかし、九条はそれに対して何も返すことができなかった。それでも蓮は「未来の話をそんな顔をして聞くな。里奈は生きてるよ。生きてる。生きる。もしそんな感覚がないんだったら、俺がいつまでも未来の話をする」と言って元気づけようとした。

蓮は「死ぬかもしれないと思って頑張りより、死にたくなって思って頑張る方が、俺は応援できるし、共感する。“行かない”という選択肢はないのか?」と聞くが、九条は「最後かもしれないから行くわけじゃない。鵜久森さんは明日を信じて今を変えようとしていたんだって」と返し、「一周目の時、私たちは離婚していました」と明かした。

九条は蓮に「好きだよ。でも、どうしても変えなきゃいけない今があるの。だから行くの。運命を変えるために」と思いを伝えて、卒業式に向かった。

■九条が一周目の人生で突き落とされた場所に、またその人物が現れた

卒業式が終わり、九条は一周目の時に突き落とされた場所にいた。何者かが九条の背中に手を伸ばしたその時、振り返り「やっぱりあなただったのですね」とその腕を掴んだ。

腕を掴まれたのは星崎(奥平大兼)だった。「やっぱり」という言葉の通り、九条は突き落としたのが星崎だと分かっていたようだ。西野(茅島みずき)が鵜久森を誤って突き落としてしまった時、西野は手を伸ばして鵜久森を掴もうとした。もし殺意があったとしたらなおさら、相手がどうなったのかを顔を出して確認するはず。しかし、九条が一周目で見たのは腕だけだった。九条は星崎に「あの出来事は、明確な殺意もなく起きたのではないかと。もしかしたら、無感情に近い形で。そう思った時、あなたの顔が浮かびました」と告げた。

鵜久森が涙を流して全てを明かした時を含め、他の生徒たちが気持ちを揺さぶられる中、星崎だけは客観的に周りを見ていたことに九条は気付いていた。そして、「あなたは私を殺した後、自らの命も断とうとしていませんか?」と星崎のこの後の行動を読み、「今日会わないとこの運命は変えられないと思ったから。私を殺すのをやめてください。そして自分を殺すのをやめてください」と伝えた。

■九条「私が何でもするのは、生徒が変わるため。終わらせるためじゃない」

星崎は小学生の頃の出来事を振り返り、「その頃からかな。自分がおかしいって気付いたのは」と告白。我慢して周囲に合わせていると、周りが景色のように見えてきて、白黒の映画のように色のない虚しい世界に思えてくる、と。そんな色のない世界に一人だけ色のある人物が現れた。それが九条だった。九条のために何か役に立ちたくて行動するがそれらは全て裏目裏目に。

星崎は「一緒に死んでほしい」とお願いするが、九条は「それはできない。私が何でもするのは、生徒が変わるため。終わらせるためじゃない。それに私は死にたくない」と拒否。そして、「この世界を楽しんでみませんか?」と説得するが、「言ってることは分かるんだけどさ。やっぱり動かないんだよ。俺の心」と言って柵を越えて飛び降りようとした。

星崎の腕を掴む九条。3Dの生徒たちが駆け寄ってくるのが見えると、星崎は「色がついてるよ、みんなに。変わったね」と九条に伝えるが、もう九条の腕が限界に。そんな時、駆け寄って星崎の腕を掴んだ人物がいた。それは蓮だった。

■九条「私は生徒に託された。この世界をこれからも生きて変え続けることを」

引き上げられた星崎のところに3Dの生徒たちが集まり、相楽(加藤清史郎)が「悲しかったろう、鵜久森のこと。俺たちのために死ぬな」と思いをぶつけると、星崎は「みんなの後ろで見えているこの真っ赤な太陽はきっと一生忘れないんだろうね」と答えた。

九条と星崎の運命が変わったかと思ったが、「お前のせいで俺の人生が変わった」と浜岡(青木柚)が逆恨みして九条を背後から刺し、九条は意識が遠のいていく。

薄れる意識の中、九条は「いつからだろう。その瞬間、自分を信じて立ち上がる強さを教師の私の方が教えてもらうようになったのは。二周目の人生で教室を変えると宣言した私だったが、いつでも状況を変えてきたのは生徒自身だった。私は本気で生徒とぶつかることを決めた。その本気に応えてくれたのは生徒の方だった。私にとって『最高の教師』は生徒の方だった」と、この1年を振り返りながら思った。

病室で目を覚ました九条。蓮は「里奈、生きてるぞ」と声をかけ、3Dの生徒たちも駆け寄り、九条を囲んだ。「蓮、助けてくれてありがとう。みんな、改めて卒業おめでとう」と伝えた九条はこう思った。「私は生徒に託された。この世界をこれからも生きて変え続けることを」と。

いろいろなことを乗り越えたからこそ生まれた絆と強い思い。みんなが一つになったから、運命も変えられたのではないだろうか。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

卒業式の日、運命を変えようとする九条里奈(松岡茉優)/(C)日テレ