近年増えている「変形ハンドル」のクルマ、その傾向はますます強まり、さまざまな形状のものが出現しています。ハンドルは「円」である必要がなくなっているようですが、なぜでしょうか。

実はメリットいっぱい?「円じゃないハンドル」

これまで長年、クルマのハンドルといえば円形のものが一般的でしたが、近年ではそうでないハンドルの形状が増えています。ハンドル下部が水平になった「D型」や、なかには、中心から「コ」の字型の持ち手が左右へ伸びたアーケードゲーム機にあるようなハンドルもあります。こういったユニークな形のハンドルには、どのような効果があるのでしょうか。

D型のハンドルはもともと、コックピットが狭いレーシングカーで見られるもの。たとえばスズキは「スイフト」で採用しているD型ハンドルを「スポーティさの表現」と説明しています。ひざ上からハンドルまでのスペースが広がるという物理的メリットのほか、スポーティな運転を楽しむうえで、ハンドルをどれだけ切ったか、視覚的に認識できるとしています。

また、フランスのプジョーなどは「i-Cockpit」と呼ばれるコンセプトのもと、D型の上部もフラットにしたような四角に近い形で、かつ小さなハンドルが採用されています。この「小径ステアリング」は、次のようなメリットがうたわれています。

・ハンドルを小さく、取り付け位置を下げることにより、ハンドル越しではなくハンドルの上からメーターを見ることになり、視線移動を抑えられる。
・ひじの位置が下がり、リラックスした姿勢で運転できる。
・小径なのでハンドルを回す際、腕の動きも小さくなる。

タイヤの動かし方が変わったから…というものも

また、ドライバーの操作を電気信号として、前輪を操舵するモーターへと送られる仕組み「ステアバイワイヤ」を採用したモデルとなると、ハンドルの自由度はさらに高まる傾向も。LEXUSのEV「RZ」などは、円形ハンドルのほかに、航空機の操縦桿のような形状のハンドルが設定されています。

このシステムと独特なハンドルについて開発担当者は、「従来とは一線を画すシステムなので、円形ステアリングホイールからイメージを離すことが肝要と思いました。円形のステアリングホイールだと、操舵イコール回すこと、なのですが、ステアバイワイヤシステムでは、手を動かす角度がすなわち操舵角に結びつくという、大きな違いがあります」とウェブサイトで説明しています。また、円形をやめることで、持ちかえなしの操作が可能なことをメリットとして掲げています。

では、運転を習ううえでは、やはりオーソドックスな円形の方がよいのでしょうか。ドラインビングスクールの講師に聞くと、教習にあたっても、こうした変形ハンドルが支障になることはないといいます。というのも、もはやハンドルをクルクル回すような機会は減っているからだそう。

「昔はハンドルを2回転くらいして曲がっていましたが、パワーステアリングの性能も向上し、1回転と少しで済むものもあります。そもそも昔のハンドルが丸く、大きかったのはステアリング操作をしやすくするためでしたが、タイヤの切れがよくなったことで、その必要もなくなっているのでしょう」と話していました。

トヨタ「bZ4X」のハンドル(画像:トヨタ)。