浦島坂田船 SUMMER TOUR 2023 Plusss
2023.8.26 国立代々木競技場 第一体育館

うらたぬき、志麻、となりの坂田。センラの4人からなるボーカルユニット・浦島坂田船が、2023年7月から9月にかけて全国11都市17公演の『浦島坂田船 SUMMER TOUR 2023 Plusss』を開催。7月12日に発売された10周年記念アルバムのタイトルでもある“Plusss”は、活動10周年の“十”と4人の頭文字usss”を合わせた造語。4人が紡いできた十年紀、その節目の夏に行われた宴は、愛と歓びと希望に満ちていた。ここでは、ツアー中盤の8月25日&26日に国立代々木競技場 第一体育館にて行われた2デイズ公演のうち、2日目の模様をお伝えする。

ラグジュアリーなムードのオープニングムービーがあけ、スポットライトが照らしたのはアリーナ客席後方左右2か所の通路。うらたぬきとなりの坂田。、志麻とセンラが、なんとそこにいるではないか。意表を突く登場に場内がどよめく中、アルバム『Plusss』の幕開けを飾る「+」を歌いながらゆっくりと客席通路を進む4人は、メインステージ中央から伸びる花道の先にあるセンターステージへ。キービジュアルそのまま、黒いロングコートをまとう4人の凜々しい姿を目で追うcrew浦島坂田船ファンの呼称)、クラップもコールもいきなりの限界突破だ。

メンバーとcrewの息がぴったりすぎるコール&レスポンスが起こった「Q for U」、<絶対好きを枯らさない><絶対そばで楽しませる>という4人の誓いがいつにも増して強く響いた「世界で一番好きな名前」とたたみかけ、「千本桜 -guitar rock arrangement ver.-」では、メンバーがアリーナ客席通路をトロッコで進み、crewの轟くようなメンバーコールに笑顔を見せる。「SHINY」ではメインステージから花道を通ってセンターステージへと向かい、「明日へのBye Bye」では演出のファイヤーボールが噴き上がる中、マイクスタンドで歌う姿がさまになりすぎる4人。息もつかせぬ展開に、客席ではメンバーカラーを灯したペンライトがますます大きく揺れる。

志麻

志麻

グループとしても個人としても、表情から指先の動きまで完璧に仕上げたダンスパフォーマンスも実に見事だった。crewを楽しませたい、その一心で歌もダンスも磨く4人の挑戦心と向上心は、心躍るエンターテインメントショーをつくる。

ロングコートを脱ぎ艶っぽい歌声を響かせた「シャドウ」は、センラが作詞・作曲をしたナンバー。4人で描く悲哀の色は、切なく美しい。ポップな「シンデレラステップ」からの「獣王無尽」では、またまたファイヤーボールが豪快に噴き上がる中、途端にワイルドモードに。4人それぞれが口にする殺し文句にも、射貫かれてしまう。『Plusss』に収録の「シャドウ」といい「獣王無尽」といい、どんどん表現の幅を広げていく4人が眩しい。

うらたぬきセンラ、志麻ととなりの坂田。の2組に分かれ、岩手名物・わんこそば対決が繰り広げられた幕間VTRでは、それぞれセンラとなりの坂田。に給仕してもらい、時にとんでもない変化球がはさまれわんこそばを次々と平らげていくうらたぬきと志麻。結果はうらたぬきの勝利で、志麻は罰ゲームを受けプールに沈むことに。10年経っても相変わらず身体を張る浦島坂田船、やっぱり愛おしい。

エモーショナルなロックナンバー「不可逆性シンクロニシティ」で、ロングトーンでも圧倒したうらたぬき。甘く惑わすような「I think」を巧みで繊細なファルセットで彩ったセンラ。オトナなシャッフルナンバー「cigar≠kiss」を歌でもダンスでも色気たっぷりに魅せた志麻。マイクスタンドを握りしめながら「共鳴Tune!」をパワフルに歌い、ダイナミズム増し増しに披露したとなりの坂田。。「We can fly away, NEW SKY!」での向き合って歌う姿も、crewのシンガロングパートも胸熱すぎたうらたぬきとなりの坂田。センラが作詞・作曲を手がけた「bloom」で、歌にダンスにあうんの呼吸を感じさせた志麻とセンラ。『Plusss』に収録のソロ曲もユニット曲も、ライブ映えしすぎる。

志麻、センラ

志麻、センラ

うらたぬき、志麻

うらたぬき、志麻

再び4人がそろい、<U.S.S.S.>コールでcrewとの一体感をもう一段階高めたのは「Peacock Epoch」。うらたぬきと志麻、となりの坂田。センラがそれぞれハグする姿にも、大歓声が上がる。

いつも通りのゆるく楽しいおしゃべりで会場を和ませた4人、R&Bテイストのオトナな「Crossroads」ではしなやかなダンスも披露。センラが「ちょっと早いですけど(※この日の公演は14時半からスタート)、僕らと一緒に飲んでくれませんか?」とcrewを誘ったのは、「シャララ」巻き舌もラップも、それぞれ冴え渡っている。センターステージで赤いライトに照らされる4人と全力コールするcrew、そのコール&レスポンスに力強い“共闘”を感じた「生き証人」。4人がまさに<最強で無敵のアイドル>でしかなかった「アイドル」。くるくると表情を変える4人、どれだけ翻弄するんだ。

バンドメンバー、ダンサーを丁寧に紹介したあとは、夏を感じさせる軽やかなダンスナンバー「Piece Piece Piece」へ。さらに、トロッコに乗り込みアリーナ客席通路を進みながらの「SUNNY」と「最強Drive!!」。拳を突き上げ<心の針が指す方角へ舵を切れ>と背中を押すだけでなく、<世界のどこに居ても 絶対見つけるから>と約束する「Carry Forward」。そして、本編ラストのナンバーは『Plusss』を締めくくる「VOYAGE」。<この4人だから><どこだって行ける>し、<10年後も、この景色を、君と一緒にずっと観たい>。メンバーもcrewも、気持ちはひとつだ。

志麻

志麻

かわいいカチューシャをつけて4人が現れたアンコールで披露されたのは、「Shoutër」と『Plusss』に収録の「LoveLoveLove」。<ノリで集まった俺らだけど>、その存在は今や多くの人の心の支えや救いになっている。<合いの手は任せたよ 今後10年 任せなよ>と頼もしい笑顔を見せた4人。浦島坂田船は、これからもcrewとともに大海原をゆく。


文=杉江優花
撮影=小松陽祐(ODD JOB)、加藤千絵(CAPS)

浦島坂田船