季節の変わり目は、朝晩と日中の寒暖差の影響で風邪をひきやすいといわれています。「喉が痛い」「鼻水が出る」などの風邪の症状が出たときに、すぐに風邪薬を服用する人もいれば、少し様子を見る人もいると思います。

 ところで、ネット上では、「風邪のひき始めに風邪薬を飲むと、治りが遅くなる」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。風邪のひき始めに風邪薬を服用するメリットなどについて、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

風邪薬は症状を緩和させる薬

Q.「喉が痛い」「鼻水が出る」など、風邪の症状が出始めたときに風邪薬などを服用しても問題ないのでしょうか。それとも、少し様子を見た方がよいのでしょうか。

市原さん「基本的に、風邪の症状が出たときに市販薬や処方薬を飲んでも体に悪影響を及ぼすことはないため、特に問題ありません。また、様子を見ることができる程度の軽い症状であれば、薬を飲まなくても構いません。風邪薬などの服用は、個人の好みや状況に応じて判断してよいでしょう」

Q.では、風邪のひき始めに風邪薬などを服用するメリット、デメリットについて、教えてください。

市原さん「例えば、風邪のひき始めの際に漢方の一つである『葛根湯』を飲むと、症状の悪化を防ぐことがあります。また、早めに風邪薬を飲むことで症状が緩和され、風邪の症状による不快感などを改善することができます。

風邪のひき始めの際に薬を服用するデメリットは特にありませんが、あえて挙げるとすれば、病院の受診料や市販薬の購入代がかかることぐらいだと思います」

Q.「風邪のひき始めに風邪薬を飲むと治りが遅くなる」といった情報がありますが、事実でしょうか。

市原さん「正しくありません。風邪薬は風邪を治す薬ではなく、風邪の症状を緩和させる薬です。そのため、風邪のひき始めの際に服用したからといって、治りを早くしたり、遅くしたりすることは基本的にありません」

Q.風邪薬を服用せずに、風邪を自然に治すことは可能なのでしょうか。もし症状が長引く場合はどうすればよいのでしょうか。

市原さん「風邪の場合、日数が経過するごとに症状が改善していくため、風邪薬を服用しなくても自然に治ります。通常は1週間経過すれば症状が改善することが多いです。

症状が長引く場合は、一般的なウイルス感染による風邪ではなく、細菌感染による風邪の可能性があります。この場合は抗生物質を服用する必要があります。また、肺炎を起こしている可能性が考えられるため、風邪が長引くときは医療機関を受診しましょう。

このほか、インフルエンザについては、発熱などの症状が出現してから48時間以内に抗ウイルス薬を内服することで症状を緩和できます。現在はインフルエンザが流行しているため、高熱でつらい場合はインフルエンザの可能性を考慮した上で医療機関を受診することが大切です」

オトナンサー編集部

風邪のひき始めに薬を飲むと治りが遅くなる?