■『VRChat』にプリキュアがやってくる 2Daysの音楽イベント開催を発表

 約2年前の2021年12月、XRスタジオ・Gugenkaハローキティなどで知られるサンリオを『VRChat』に連れてきた。そして、今年の12月に連れてくるのは、どうやらテレビアニメシリーズ「プリキュア」になるようだ。

【動画】『ドラえもん のび太のゴーゴーライド!』開発中の映像

 『プリキュアバーチャルワールド』はシリーズ初となるバーチャルイベントで、『VRChat』にて12月9日12月10日に開催される。いわゆる音楽イベントとなり、様々なプリキュアソングが披露されるとのことだ。

 出演するのは『Yes!プリキュア5GoGo!』『ハートキャッチプリキュア!』『スマイルプリキュア!』の3シリーズ、計15キャラクターだ。『Yes!プリキュア5GoGo!』はチーム制が導入された大きな転換点で、『ハートキャッチプリキュア!』と『スマイルプリキュア!』は低年齢層以外のファンも多く生み出したであろうシリーズだ。率直に言えば、選出がうまい。

 音楽ステージだけでなく、『ハートキャッチプリキュア!』によるキャラクターショーも開催されるようだ。変身やバトルもあるというショーは、子どものころ、デパートの屋上で見たかもしれないプリキュアのショーをさらに突き詰めたものになりそうだ。シリーズ選出や、『VRChat』というプラットフォームの選出からも、少なからず大人のファンを狙っているのではないか……と感じられる。

 また、プリキュアシリーズを手掛けてきた東映アニメーションは、『VRChat』を舞台にメタバース・プロジェクト『ONN’ON STUDIOS』を展開し、これまで3つのワールドを公開している。ある意味では、この展開は「伏線回収」とも読めるだろうか。いずれにせよ、とてつもないビッグネームがまたひとつ、『VRChat』に降り立つことになる。様々なイベントの詳細は10月に明かされるようだ。

■『ドラえもん』が上陸する『Roblox』に国内企業から熱視線

 オンラインゲームプラットフォーム『Roblox』にも、国民的コンテンツの上陸が予告された。『ドラえもん』だ。

 『Roblox』のコンテンツ開発を手掛けるGeekOut株式会社が発表した『ドラえもん のび太のゴーゴーライド!』は、『Roblox』初となる『ドラえもん』のコンテンツだ。「ひみつ道具」も登場するパーティーレースゲームとなり、今冬リリースに向けて開発中とのこと。若年層に特に人気のある『Roblox』とはおそらく相性がいいだろう。どのような仕上がりになるか、注目したいところだ。

 また、これまでスマートフォン向けのアプリゲームを手掛けてきたKLab株式会社が、『Fortnite』と『Roblox』のコンテンツ開発事業に参入することも発表された。現時点で具体的になにを作るかは明かされていないが、こちらも要注目だ。

 日本国内において、『Fortnite』と『Roblox』への企業参入は、『VRChat』と同じくらい事例が増えている印象だ。しかしKLabの例でいえば、開発の舞台をスマートフォンから2つのオンラインプラットフォームへ移しただけと考えれば、意外に自然な流れだと言えそうだ。むしろ、規模感からすれば『VRChat』を凌駕する勢いがあっても不思議ではないだろう。

■『NeosVR』より独立したメンバーが新たなソーシャルVRを立ち上げる

 先週は新たなソーシャルVRの萌芽も見られた。9月23日に発表された『Resonite』だ。同日には公式WEBサイトと「Steam」のストアページが公開され、すでに公式Discordサーバーも立ち上がっている。

 『Resonite』が目指すのは「単なるソフトウェア」ではなく「第2の家」だ。自由なアバター、低遅延音声、カスタム可能なUI、メディア共有機能、ユーザーごとのインベントリ(アイテムの格納・保持)機能、コンテンツの外部エクスポート……などなど、謳う機能は至れり尽くせり。「ProtoFlux」なるビジュアルプログラミング言語まで用意され、あらゆるものをプログラミングでき、WebSocketまでサポートしているため外部ともやりとりできる。究極的に「自由」なメタバースだ。

 ここまで「自由」で、熱量にあふれているのは、理由があると筆者は考えている。というのも『Resonite』を立ち上げたのは、ソーシャルVR『NeosVR』から独立したメンバーなのだ。上記に挙げた機能も、ほとんどが『NeosVR』に存在するものだ。

 『NeosVR』では、ここ2年近く経営陣と開発陣との間で深刻な対立が起きていた。この対立を生んだ原因について、有力な原因は仮想通貨をめぐる取り扱い方針の違いだと筆者は見ている。対立によって、『NeosVR』の開発は長らく停止しており、その間ユーザーは独力で、『NeosVR』の自由さを活かしコンテンツやシステム開発に取り組んでいた……という状態だった。

 長らくの停滞がついに崩れ、現れた“新天地”が『Resonite』である、ということであろう。いまのところ『NeosVR』が終了するという報は入っておらず、おそらくはこちらもサービスは継続すると思われるが、筆者が見た限り、既存の『NeosVR』ユーザーは『Resonite』へ移住する機運が強い。

 はたして、『Resonite』と『NeosVR』は、それぞれどのような道をたどっていくのだろうか。まずは、10月の『Resonite』を待つことになるだろう。

(文=浅田カズラ)

9月25日のニュースたち