鼻づまりで病院に行ったら、突然「がん」と宣告された!2児の母であるやよいかめさん(@yayoi_kame)が2023年3月に発売したコミック「鼻腔ガンになった話」は、そんな実体験を漫画化した闘病エッセイだ。お金や手術、副作用…さまざまな不安を抱えながらも、家族や周囲の人々と支え合うことで闘病生活を乗り越えていく様子を、”がんサバイバー”当事者の視点からコミカルに描いている。

【本編を見る】抗がん剤投与は注射じゃなかった…痛恨の勘違いで焦りまくり

書籍の一部を抜粋・編集し、作者であるやよいかめさんのインタビューとともにお届けする。

※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含む為、閲覧にはご注意ください。

■初めての抗がん剤投与。簡単な注射ではないと直前に気づいた

初めての抗がん剤投与は、入院してからおよそ1週間後でした。抗がん剤について患者同士で話し合ったことはあまりなかったような気がします。多少会話の中で「こないだ抗がん剤やって、まだ体がしんどいんだ」くらいはありましたが。

事前にお医者さんが来てカテーテルを入れるなどの確認があったにもかかわらず、注射ではなく手術と気づいたのはかなり直前でした。お医者さんからは「抗がん剤は太ももから管を入れて、がんの近くまでカテーテルを通して、そこで抗がん剤を流します」ときちんと説明をいただきました。ただその時、患部付近にピンポイントで抗がん剤を投与できる、副作用が少ないなど良いイメージばかりが膨らみ、カテーテルを通すことは“長い管の注射”くらいのイメージで、簡単に済むことなんだと勝手に思い込んでしまいました。

だから処置室などで済むような作業なのかなと思っていたんですが、実際はもっと繊細な作業で、とても時間もかかる手術でした。

当日に着圧ソックスを履かされても何の疑問も抱かずのんびりしていたら、主人と義父から「カテーテル手術だよ」と言われて、とても焦りました。「ということは、普通の手術とは違うんだから軽い手術?なんだよね???」とトンチンカンな感じで。その後看護師さんにさりげなく「これって手術なんですよね」と聞いたら当然「そうですよ」との返事。「本当かなぁ」と疑いつつ、よくわからないまま手術室へ。ドアが開いて中の様子を見て「あ、コレめっちゃ手術される感じやん」と思いました。

注射のイメージが残っていたせいか、手術時の痛みにも驚きました。太ももから鼻の方まで管を通すとしか聞いてなかったので、まず最初に腕に刺されたことにびっくりしました。やはり頭の中にあったカテーテルのイメージが注射だったので、無意識に普通の注射くらいの痛みなんだろうと勝手に予想していた分、余計に痛かったのかもしれません。じっと目をつぶっていたのでどんなものが腕に刺されたのかはわかりませんが、とにかくグサッと痛かったです。

■がんの当事者になった時のために読んでおきたい

がんとの闘病生活のリアルを知ることができる「鼻腔ガンになった話」。誰もが”がんサバイバー”の当事者となる可能性がある今、ぜひ読んでおきたい作品だ。

「鼻腔ガンになった話」第9話より