エキシビションながらいまだにリングに立ち続けているブアカーオ。そんなレジェンドが参戦したイベントが波紋を広げている。(C)Getty Images

 前代未聞の試合展開に驚きの声が広まった。物議を醸しているのは、現地9月25日に中国・広州で行われた格闘技イベントだ。

 注目は元K-1 WORLD MAX王者で、ムエタイの鉄人ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)が招かれ、「中国武術王者」のワン・ヤンロン(中国)と対戦したメインマッチ。しかし、この一戦が波乱の展開となった。

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 先手を取ったのは、異様な熱気に包まれた会場に押されたワン・ヤンロンだった。第1ラウンドの開始直後からアクロバティックな回転蹴りを炸裂させたのだが、ブアカーオの下腹部付近に直撃。その後も執拗に回転蹴りを続け、故意に金的を狙っているようにも見える中国人格闘家の攻撃に、百戦錬磨の鉄人も徐々に苛立ち。顔つきも険しいものに変化していった。

 そして、攻勢を強めるブアカーオもやり返す。相手と近距離戦となった際に組みながら膝蹴りを繰り出したのだ。これにワン・ヤンロンがすかさず反応。試合の中断を要求するとレフェリーに「キックボクシングルールなはずだ。膝や肘の攻撃は認められていないはずだ」と、突如としてゴネ始めたのだ。

 これにブアカーオ陣営も黙っていなかった。すぐさま契約したルールK-1ルールであり、膝による打撃が認められているとアピール。さらに国際ボクシングルールへの変更も含めた譲歩の姿勢を見せ、試合続行を求めた。

 だが、納得しないワン・ヤンロン側の答えは「ノー」。そのうえで当人がマイクを握り、「MMAルールでならやる。もっとブアカーオが見たいですか?」と会場にアピールするかのように新たな要求を突き付けた。

 もはや運営もへったくれもないカオスな状況に、高額チケットを手にした5000人が詰めかけた会場も騒然となる。それでも興行を成立させようとしたブアカーオ側は100万ドル(約1億4800万円)の新契約を付帯させ、MMAルールでの試合再開を受諾する。

 しかし、ワン・ヤンロンは、再び試合を拒絶。これによって両陣営が完全に折り合いがつかなくなると、主催者側が独断でノーコンテストと決定。地響きのような大ブーイングのなかでイベントは終了した。

 中断からおよそ1時間の末に無効試合という決着を見せた同イベント。両陣営間でまともにルールが定まっておらず、しかも主催者側が一方的に中止を決めるという前代未聞の展開は海外でも大きな物議を醸している。

 ブアカーオの母国タイのニュースサイト『Sanook』は、このイベントが中国全土に中継された「大規模なものであった」と強調。そのうえで「しかし、この試合にはどうにもならない問題があった。ルールが決められていなかったのだ」とし、英雄ブアカーオを襲ったアクシデントを次のように伝えている。

「龍の国を舞台にしたまさかの展開だ。中国人たちが催したイベントはブアカーオはおろか、中国の格闘技ファンたちをも混乱させた。試合は無効となったが、なぜ主催者がその決断を下したかは定かではない。最後はリングから逃げるようにレフェリーが去り、よりカオスさが増したなかで、試合は終わりを告げられた。そもそも先に違反したのは中国人格闘家だったはずなのに」

 異種格闘技戦を含めて数多の試合をこなしてきた。そんなブアカーオでさえも、試合終了時には呆然と立ち尽くすしかなかった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

突然のルール変更に、再開拒否の大波乱! 元K-1王者ブアカーオが呆然とした中国・格闘技イベントが物議「違反したのは中国人」