東京湾に浮かぶ人工の埋立地で大量繁殖した野良猫を助けるため、保護シェルターを購入したいとうたったクラウドファンディングで、多額の寄付を集めたにもかかわらず、その物件を購入しなかったとして、支援者のうち24人が9月26日、寄付を募った動物愛護団体の代表を相手取り、計78万3888円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こした。

訴状などによると、この動物愛護団体の代表は2022年1月から3月にかけて、川崎市の埋立地「扇島」のJFE製鉄所で繁殖した猫を助けるために保護シェルターを購入するとして、クラファンのプラットフォームサイト「READYFOR」を通じて寄付を募り、最終的に約2382万円の寄付金を集めた。しかし、同年6月、購入予定だった物件の購入をとりやめて、別の物件に変更したと発表したという。

原告側は、被告側が、クラファンによって調達した資金を保護シェルター購入のために利用する債務を負っていたにもかかわらず、目的の変更について同意をもとめるどころか、理由の説明すらなく、一方的に物件の購入をとりやめたと主張。債務不履行にもとづいて契約を解除したうえで、寄付金は法律上の原因なく得た利益であるとして返還をもとめている。

扇島の高炉は休止することが発表されており、数百匹といわれる猫の居住環境悪化が懸念されているが、その多くはいまだに救い出されていないという。

「埋立地の猫助ける」クラファン実施の愛護団体代表を寄付者が提訴 当初の予定変更で「債務不履行」主張