株式会社パソナグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役グループ代表 南部靖之)で、役職員が“ソーシャルアクティビスト”の視点で「社会の問題点」を議論し、企業の立場から具体的な方策を社会に提言する社内組織「パソナ・シャドーキャビネット(※)」では、この度、全国の15歳以上の男女約1,000名を対象に『仕事と育児・家事・介護に関する意識調査』を実施し、その結果を発表いたします。

総務省令和4年就業構造基本調査」によると、女性就業者は3035万4千人と過去最多となり、特に25~39歳の女性では働く人の割合が81.5%にのぼるなど、女性が働くことは一般的になりました。しかしながら、世界経済フォーラムが今年6月に発表した、男女格差の現状を評価した「ジェンダーギャップ指数」において、日本は146カ国中125位(前年は116位)となり、2006年の公表開始以来最低の結果となりました。


そうした中、更なる女性活躍推進が求められるものの、仕事と育児・家事・介護等との両立に葛藤する女性はいまだ少なくありません。

そこで、「パソナ・シャドーキャビネット」では、仕事と育児・家事・介護に関する個人の意識・行動の実態を調査することで、女性活躍の更なる推進に向けた真の課題や障壁を明らかにし、その解消に向けて社会に働きかけていくため本意識調査を実施。パソナグループは今後も、ダイバーシティを推進し「誰もが自ら創る明るい未来に思いをはせることのできる社会」の実現に向けて取り組んでまいります。

  • 調査結果のポイント

1. 仕事と育児・家事の経験について

・子供がいる人のうち、主に自分が育児に携わりながら働いた経験があると回答した人は、女性の57.8%に対して、男性は7.5%に留まった。

・仕事と育児の両立において得られた支援を聞いたところ、「配偶者・パートナーの協力」と回答した女性の割合は、男性と比較して大幅に低かった。また、いわゆるシングル世帯では「特になし」と回答した人が23.4%にのぼった。

・育児支援の費用負担は「ほとんど費用がかかっていない」という回答が39.9%。かかった費用の負担感を聞いたところ、「家計負担がやや大きい/非常に大きい」とする回答が合計で40.7%を占め、特にシングル世帯ではその割合が55.5%に上った。

2. 育児休業について

・育児休業において適切と思う期間を聞いたところ、女性が取得する場合は「1年以上」が51.8%、「半年以上1年未満」が26.0%となり、男性が取得する場合は、「半年以上1年未満」が最多の25.2%だった。回答者の性別による回答傾向には、大きな差がなかった。

・一方、自分自身が育児休業を取得する場合を聞いたところ、男女ともに適切と思う期間が短くなる傾向があり、「特に取得したいと思わない」という回答は、男性で38.9%、女性で23.0%に上った。

3. 仕事と介護の経験について

・介護と仕事の両立にあたっては、女性がその役割を担うケースの方が多いことが見て取れる。

・介護をしながら働くことを選択した理由は、「収入を得るため」が48.4%で最多となり、次いで「介護は家族の役割と考えているため」が46.2%となった。

・介護と仕事の両立に際して、活用した支援を聞いたところ、「その他家族の協力」(34.8%)が2番目に多く、家族が兄弟等で分担して介護を担っている現状が見て取れる。今後、核家族化や兄弟数の減少に伴い介護負担が増大し、今以上に外部サービスの利用が求められると想定。

・介護支援の費用負担を聞いたところ、「ほとんど費用がかかっていない」とした人は19.7%と、育児について同様の質問をした場合と比べて少なかった。実際にかかった金額は、育児と比較して高い傾向となり、かかった費用の負担感も育児より大きかった。

4. 女性活躍について

・女性活躍に関する企業認定制度(くるみん認定、えるぼし認定、なでしこ銘柄)の認知度はいずれも低かったが、制度を知っている人で就業先選定時に考慮する人は合計43.3%に上った。

・就業先で“女性活躍”が進んでいると思うかを聞いたところ、「大変進んでいる/ある程度進んでいる」が合計34.6%、「あまり進んでいない/全く進んでいない」が合計25.0%だった。

・“仕事と育児・家事・介護の両立支援”が進んでいると思うかを聞いたところ、「大変進んでいる/ある程度進んでいる」が合計28.1%、「あまり進んでいない/全く進んでいない」が合計29.4%と拮抗。特に両立支援における、更なる取り組みの必要性が見て取れる。

・男女の能力が同程度であった場合の「採用」「登用・配置・異動」「評価・昇格」「教育・研修」「給与」の男女均等度を聞いたところ、どの項目においても「男性が優遇」されているという回答の方が多い傾向。特に“制度面”の整備に比べて、人事部門や上司等の“評価・判断”が入る部分においては、機会均等度の差がまだ大きい現状が明らかに。

  • 調査概要

・調査名称:パソナ・シャドーキャビネット 仕事と育児・家事・介護に関する意識調査

・調査期間:2023年3月3日~17日

・調査対象:全国の15歳以上の男女 1,049人

・回答者属性:

(性別)男、女、その他

(年代別)15-29歳、30-39歳、40-49歳、50-59歳、60-69歳、70歳以上

 ※性別・年代それぞれが均等になるよう調査

・調査方法:インターネットを通じたアンケート方式

・調査主体:パソナ・シャドーキャビネット 女性活躍推進省

パソナグループの役職員が“ソーシャルアクティビスト”としての視点から「社会の問題点」を議論し、具体的な方策を社会に提言する社内組織として2007年に発足。パソナグループ各社から選抜された「副役員」が事務局を運営。本調査は、「女性活躍推進省」が主体となり実施。

シャドーキャビネット国会
その時々の社会課題に沿って提出された法案(新規事業提案、社会提言等)について議論・実行。現在は「Beyond SDGs」をテーマに、8つの省に分かれて議論を重ねている。

シャドーキャビネット大学院
社員一人ひとりがソーシャルアクティビストとして事業活動するための人材育成プログラム。講義形式及びディスカッション形式で開催し、年間の延べ参加者は約5,000名。

  • 1. 仕事と育児・家事の経験について

■子供がいる人のうち、主に自分が育児に携わりながら働いた経験がある人は、女性の57.8%に対して男性は7.5%に留まり、明らかに低い結果となった。ただし、年代別の結果を見ると、男性でも若い世代(40代以下)は育児参加の度合いが比較的高い結果となった。

Q.(現在もしくは過去に)育児をしながら働いたことがありますか。(n=557/子供がいる)

※平均値と一定の乖離のある回答について網掛けで表示しています(以下同)

■仕事と育児の両立において、「配偶者・パートナー」「親・親族」など家族の協力を得られたと回答した割合が最も高かったが、男女別に見ると「配偶者・パートナー」の協力が得られたと回答した女性の割合は、男性と比較して大幅に低かった。
また、配偶者・パートナーの有無で比較した場合、いわゆるシングル世帯では「特になし」と回答した人が23.4%にのぼり、現在、社会問題として挙げられるシングル世帯の孤独・貧困問題にも繋がる結果となった。

Q. 育児をしながら働いていて、実際に得られた・活用したのはどのような支援ですか。(n=389/育児をしながら働いた経験がある ※複数回答)

■育児支援を受けた人に毎月の費用負担を聞いたところ、「ほとんど費用がかかっていない」という回答が39.9%に上った。一方で、かかった費用についてはその金額が広く分布しており、各家庭での差が見られた。
育児支援に費用をかけた人に、かかった費用の負担感を聞いたところ、「家計負担がやや大きい/非常に大きい」とする回答が合計で40.7%を占めた。特にシングル世帯ではその割合が55.5%に上った。

Q. 育児支援を受けるにあたり、毎月どのくらいの費用がかかりましたか。(n=348/育児支援を受けた人)

Q. 育児支援にかかった費用について、どのように感じていますか。(n=209/育児支援で費用がかかったと
回答した人)

■育児と仕事の両立には男女ともに「時間の不足」が最大のストレス。一方で、「家族の協力不足」「自身の体調管理」「突発時の対応」などの回答は、女性の方が多い傾向にある。

Q. 育児をしながら働いていて困ったことやストレスを感じたことはどのようなことですか。(n=389/育児をしながら働いた経験がある ※複数回答)

  • 2. 育児休業について

■育児休業において適切と思う期間を聞いたところ、女性が取得する場合は「1年以上」が51.8%、「半年以上1年未満」が26.0%となり、男性が取得する場合は、「半年以上1年未満」が最多の25.2%だった。ちなみに、回答者の性別による回答傾向には、大きな差がなかった。

Q. 女性が育児休業を取得する場合、どれぐらいの期間が適切だと思いますか。

Q. 男性が育児休業を取得する場合、どれぐらいの期間が適切だと思いますか。

■一方、自分自身が育児休業を取得する場合を聞いたところ、男女ともに適切と思う期間が短くなる傾向があり、「特に取得したいと思わない」という回答も男性で38.9%、女性で23.0%に上った。
「特に取得したいと思わない」という回答の中には、育児休業を取得せずに早期に職場復帰をしたい方と、一度退職して育児に専念したい方の両方がいることが想定され、「育児休業を取得する」ことだけに重点を置かず、多様な価値観を尊重した施策が必要であることが伺える。

Q. あなたが育児休業を取得する場合、どれぐらいの期間の取得を希望しますか。(n=1049)

  • 3. 仕事と介護の経験について

■介護と仕事の両立経験について聞いたところ、「ある」と回答した人は全体の17.6%に留まった。
ただし、両立にあたっては、女性がその役割を担うケースの方が多いことが見て取れる。

Q. (現在もしくは過去に)介護をしながら働いたことがありますか。 (n=1049)

■介護をしながら働くことを選択した理由を聞いたところ、「収入を得るため」が48.4%で最多となり、次いで「介護は家族の役割と考えているため」が46.2%となった。「家族が介護を担うべき」という意識が高く、昨今の社会課題でもある「介護離職」の一因となっているとも考えられる。

Q. なぜ介護をしながら働くことを選択したのですか。(n=184/介護をしながら働いた経験がある ※複数回答)

■介護と仕事を両立する際に、困ったことやストレスを感じたことを聞いたところ、男女共に「自分の時間の不足」が最多となった。ただし、「家族の協力不足」「自身の体調管理」などの訴えは、女性の方が明らかに多い傾向にあった。

Q. 介護をしながら働いている時に困ったことやストレスを感じたことはどのようなことですか。(n=184/介護をしながら働いた経験がある ※複数回答)

■介護と仕事の両立に際して、活用した支援を聞いたところ、「その他家族の協力」(34.8%)が2番目に多い結果となり、兄弟等で分担して介護を担っている現状が見て取れる。今後、核家族化や兄弟数の減少に伴い介護負担が増大し、今以上に外部サービスの利用が求められることが想定される。

Q. 介護をしながら働くうえで、実際に得られた・活用したのはどのような支援ですか。(n=184/介護をしながら働いた経験がある ※複数回答)

■介護支援を受けた人にかかった費用を聞いたところ、「ほとんど費用がかかっていない」とした人は19.7%と、育児について同様の質問をした場合と比べて少なかった。また、実際にかかった費用の金額は、育児と比較して高い傾向となった。
また、介護支援に費用をかけた人に、かかった費用の負担感を聞いたところ、「家計負担がやや大きい/非常に大きい」とする回答が合計49.6%に上り、この結果も育児より多かった。

Q. 介護支援を受けるにあたり、毎月どのくらいの費用がかかりましたか。(n=173/介護支援を受けた人)

Q. 介護費用について、どのように感じていますか。(n=139/介護支援で費用がかかったと回答した人)

  • 4. 女性活躍について

■女性活躍に関する企業認定制度の認知度は、「くるみん認定」が7.8%、「えるぼし認定」が4.8%、「なでしこ銘柄」が4.4%で、いずれもかなり低い結果となった。性別による認知度に大きな差は見られなかった。
いずれかの制度を知っている人に、就業先を選ぶ際に考慮するかを聞いたところ、「考慮する/ある程度考慮する」が合計43.3%に上り、女性の方がその傾向が強かった。

Q. あなたは以下の女性活躍に関する企業認定制度を知っていますか?(n=1049)

Q. あなたが就業先を選ぶ際に、「くるみん認定」「えるぼし認定」「なでしこ銘柄」のような認定を受けている企業であることを考慮しますか?(n=104/いずれかの認定制度について知っている)

■現在、組織に属して働いている人に、就業先で“女性活躍”が進んでいると思うかを聞いたところ、「大変進んでいる/ ある程度進んでいる」が合計34.6%、「あまり進んでいない/全く進んでいない」が合計25.0%となり、女性活躍が進んでいるとする回答の方が多かった。

Q. あなたの現在の就業先は女性の活躍が進んでいると思いますか。(n=664/現在組織に属して働いている)

■一方、同じく“仕事と育児・家事、介護の両立支援”が進んでいると思うかを聞いたところ、「大変進んでいる/ある程度進んでいる」が合計28.1%、「あまり進んでいない/全く進んでいない」が合計29.4%と、拮抗した結果となった。女性活躍推進の実感度合いに比べて、両立支援については更なる取り組みの必要性が見て取れる。

Q. あなたの現在の就業先は仕事と育児・家事、介護の両立支援が進んでいると思いますか。(n=664/現在組織に属して働いている)

■男女の能力が同程度であった場合の機会の均等度を聞いたところ、どの項目においても「男性が優遇」されているという回答の方が多い傾向にあった。
ただし、「採用の機会」「登用・配置・異動の機会」「評価・昇格の機会」の項目に比べて、「教育・研修の機会」「給与」については「同等」であると回答した人が多かった。“制度面”では少しずつ男女均等に近づきつつある一方で、人事部門や上司等の“評価・判断”が入る部分においては、機会均等度の差がまだ大きい現状が明らかになった。

Q. あなたの現在の就業先は、男女の能力が同程度であった場合に、「人材の採用」「登用・配置・異動」
「昇格・評価」「教育・研修」の機会や「給与」について、均等であると思いますか。(n=664/現在組織に
属して働いている)

配信元企業:株式会社パソナグループ

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