第36回東京国際映画祭(10月23日11月1日)のコンペティション部門に選出された富名哲也監督、小松菜奈松田龍平ダブル主演作『わたくしもは。』が、2024年に劇場公開されることが決まった。

【動画】小松菜奈&松田龍平W主演 記憶を失った2人の謎めいた過去と運命を描くー『わたくしどもは。』特報

 富名監督の長編第2作となる本作は、佐渡島を舞台に、記憶を失った2人の謎めいた過去と運命を描く作品。ベネチア国際映画祭が新鋭監督を支援するプロジェクト、Biennale College Cinema 2018‐2019において、インターナショナル部門9作品のうち日本から唯一選ばれた企画であり、香港国際映画祭、昨年の東京国際映画祭など多くの国際映画祭でも映画化の期待と注目を浴びていた。企画から5年の月日を経て、10月23日開幕する東京国際映画祭のコンペティション部門公式出品作品としてワールドプレミアを迎える。

 佐渡島の金山跡地。倒れている女(小松)が目覚める。女には過去の記憶がない。女は、清掃員の女性キイに助けられ、家に運ばれる。そこにはアカとクロという名の女の子も暮らしている。名前を思い出せない女はミドリと名付けられ、キイと一緒に清掃員として働き始める。ミドリはそこで警備員の男(松田)と出会う。男もまた名前と過去の記憶がないという。そんなミドリと男は互いにひかれ合っていく…。

 江戸時代、無宿人と呼ばれる戸籍を剥奪された人々が内地から佐渡島に連れてこられ、金山で過酷な労働を強いられた結果、多くの人が命を落とすという出来事があった。佐渡島を訪れた富名監督は、この金山跡地の片隅にひっそりたたずむ墓地、”無宿人の墓”の存在から本作の着想を得たという。

 「この社会に記録上存在していない、無宿人と無国籍者は、亡くなってもその存在は永遠に認められることがないまま、その魂は“彷徨える魂”としてこの世を漂っている。忘れ去られないためにもこれをテーマに映画を作りたかった」と監督は話す。さらに続けて、「この映画の物語を支えるプロットとし、佐渡金山を象徴する2つに割れた山、道遊の割戸と呼ばれる金山が大切な役割を担っている。じっと眺めていると、その割れた裂け目はあの世とこの世を繋ぐ出入口に思えたことが映画の強いインスピレーションになった」と作品に対する強い思いを述べている。

 映画『わたくしもは。』は、2024年公開。

映画『わたくしどもは。』ティザーポスター (C)TETSUYA to MINA film