コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家の味田マヨさんが描く『お疲れお兄さんは手芸沼につかりたい』の第1話をピックアップ。

【漫画】手芸に目覚めたサラリーマンが仲間と励まし合いながら沼にハマっていく…夢中になる姿に「私も何か作りたくなってきた」の声

X(旧Twitter)で2023年8月10日に投稿したところ、4.7万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、味田マヨさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

■ネット社会に疲れたサラリーマンが刺繍に目覚めるお話

ネットやスマホに疲れた生活から逃避するため、デザイナーの田中太一は“無の心”を求めていた。無心になって打ち込める何かが欲しかった。そしてある日、手芸の中でも刺繍に挑戦してみようと思い立つ。しかし、初めての刺繍は知識や技術が伴っていないため、一生懸命作っても思うような仕上がりにはならなかった。

イメージ通りにいかずヤキモキしていたところ、行きつけの居酒屋でバイトをしている大学生のさよこちゃんも刺繍をやっていることを知る。そして、さよこちゃんから、自身の通っている“お裁縫の会”に来てみないかと声をかけられた。“男性もいるから”という言葉と好奇心から、太一は参加を決める。

後日、指定された場所へ向かうと、ドレスを着た主催者が出迎えてくれて、バラやシャンデリアなどが飾られた上品で華やかな空間に案内される。一般的なサークルのようなところをイメージしていた太一は、少したじろいでしまう。

最初は「すごいところに来てしまった」とも感じていたが、主催者やさよこちゃんの歓迎ムードと、デザイナーの実力を活かしながら、徐々に馴染んでいった。そして、マルシェ(作品を売買するフリマ)に出品する話が持ち上がる。

初心者である太一は刺繍の基本から練習しなければならなかった。マルシェまで1ヶ月ほどの期間の中で、太一は少しずつ技術を向上させ、1つだけ出品できる作品を完成させた。準備期間は怒涛の日々で大変だったが、仲間同士で励まし合い、満足感と達成感で満たされる毎日だった。

マルシェ当日、太一は急な休日出勤により遅れて参加となってしまう。まだ作品は売れずに残っていた。自分たちのスペースに度々お客はやってくるものの、自分の作品はなかなか売れない。しかし、仲間の作品が売れるたびに、嬉しい気持ちになっていった。

一生懸命作った作品で笑顔になってくれる人がいる――。太一はモノづくりの魅力に改めて気づき、マルシェにまた参加したいと思っていた。

そしてその時、小さな子どもがお金と太一の作品を手に持ち、目の前に立った。太一の高揚感と感動はピークに達する。そして、その後の打ち上げでは次のマルシェに向けて、さらに気持ちを高めるのであった。

このお話は第1話。ハンドメイドの楽しさや趣味に夢中になる姿が魅力的に描かれ、読んだ人に“自分も何かを始めたい”と思わせるようなお話になっている。主人公と同じように、日々の忙しさに疲れている社会人や、ハンドメイドが好きな人、誰かが活き活きとしている姿を見て元気が欲しい人などにぜひ読んでみてほしい作品だ。

■作者・味田マヨさん「この漫画で皆様に少しでも元気や楽しい気持ちをお届けできたら」

――『お疲れお兄さんは手芸沼につかりたい』を描こうと思ったきっかけや理由などをお教えください。

「成人男性」と「ロリータ」と「手芸」という、あまり見ない組み合わせでお話を描きたかったのと、ものづくりという点では漫画も手芸も通じるものがあるかもしれないと思ったことがきっかけです。

――作品を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。

『お疲れお兄さんは手芸沼につかりたい』に関しては、主人公が社会に揉まれる普通の人間であること、その主人公を通していい意味での趣味の気楽さが伝わるように心がけました。

――今回紹介させていただいております第1話の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

マルシェ直前にサロンのメンバーが励まし合いながら作業をするシーンが気に入っています。追い込まれた人達が生み出す変な空気、経験したことのある方も多いと思うので…。

――今作の投稿には、実際に手芸やハンドメイドを嗜んでいる読者から多くのコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように受け止めていらっしゃいますか。

実際にハンドメイドを嗜む方が楽しんでくださったことに、まず安心しました。この漫画をきっかけに手芸を始めた、離れていた趣味を再開した、というお声をいただくこともあり嬉しく思っています。

――今後の展望・目標をお教えください。

健康に気をつけてこれからも粛々とモリモリ描きたいです。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

いつも応援ありがとうございます!この漫画で皆様に少しでも元気や楽しい気持ちをお届けできたら幸いです。『お疲れお兄さんは手芸沼につかりたい』は全2巻となりサクっと読めるので気になった方は是非お求めください!!

手芸沼にハマったサラリーマンがマルシェに参加/©味田マヨ/COMICポラリス ©フレックスコミックス