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 アメリカでは、「ポテトが冷めていたから」という理由で発砲事件に繋がることがあるが、「ポテトが入っていなかった」と苦情を言われたファストフード従業員が、顧客に発砲することもあるようだ。

 ドライブスルーでセットメニューを頼み、代金を払ったにもかかわらず、1品抜けていたとあれば、客は従業員にもの申すのは当然のこと。

 しかし、口論がエスカレートし、従業員がポケットから銃を引き抜く事態となった。というか勤務中銃を携帯していたことにも驚きだ。

 幸い顧客に怪我はなかったが、この件で顧客がその従業員とファストフード会社に対し訴訟を起こしていたことが今回明らかになった。

【画像】 ポテトが入っていなかったことで客と従業員が口論に

Jack in the Box employee caught on camera shooting at customer during dispute over curly fries

 テキサス州ヒューストンにあるファストフード店「ジャック・イン・ザ・ボックス(Jack-in-the-Box)」のドライブスルーで、従業員の女性が顧客に発砲する事件が起こったのは、2021年3月3日のことだ。

 2月から仕事のためにヒューストンに滞在していたフロリダ在住のアンソニーラモスさんは、この日妊娠中の妻と当時6歳だった娘をヒューストンのブッシュ・インターコンチネンタル空港に迎えに行き、車で近くにあるジャック・イン・ザ・ボックスのドライブスルーに立ち寄った。

 コンボミール2セットを注文し、12.99ドル(約1940円)を支払ったが、カーリーフライドポテトが入っておらず、ドライブスルーの窓口でラモスさんは従業員に苦情を伝えた。

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 ラモスさんは運転席に、妻は助手席に、娘は後部座席に座っていた。

 この時、ラモスさんと、対応したアロニア・ファンタジアフォードともう1人の従業員との間で口論になり、それは次第にエスカレートした。

 公開された監視カメラの映像では、最初にラモスさんがフォードたちにセットメニューを袋ごと投げつけ、それに応戦する形でフォードケチャップのパケットや氷を投げつけている様子が捉えられている。

 やがてマネージャーを呼ぶようラモスさんが要請すると、フォードは一旦ドライブスルーの窓を閉めて離れ、ラモスさんに背を向けた格好でポケットから銃を取り出した。

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ラモスさんの車に向かって発砲した従業員

 再び窓を開けたフォードに発砲される瞬間、ラモスさんは車を急発進させ、その場から逃走した。

 フォードは、走り去った車を狙って窓から身を乗り出す格好で、少なくとも2回は発砲している様子がカメラに捉えられている。

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 安全な場所へ逃げた後、ラモスさん一家によって911通報を受けた警察官が、すぐに現場に到着した。

 フォードは、警察が到着する前に銃を片付けるなどの後始末をしていたようだが、カメラ映像が証拠となり逮捕された。

 事件後、ラモスさんはヒューストンでの契約社員の仕事を辞め、フロリダに戻ったが、2022年にジャック・イン・ザ・ボックスとフォードを相手取って、訴訟を提起した。

Fast food employee shoots customers over missing curly fries Lawsuit

ラモスさんが従業員と店を訴える

 ラモスさんの訴訟を弁護したランドール・L・カリネン弁護士は、情報開示請求を通じて、当時の23分間の監視カメラ映像を入手した。

 調査では、フォードジャック・イン・ザ・ボックスで働く以前、2012年にテロ脅迫罪で起訴され、有罪判決を受けていたことが明らかになった。

 カリネン氏は、記者会見で次のように述べた。

チェーンレストラン「ジャック・イン・ザ・ボックス」は、顧客の安全を守るために、従業員の身元調査を行い、監督方針を見直す必要があります。

フォードは過去に有罪判決を受けています。それは、テキサス州ハリス郡の公記録にもなっていました。

また、マネージャーはラモスさんが陥った状況を緩和する必要がありました。

映像を見る限り、マネージャーは従業員に戻るよう指示することもなければ、自らが顧客に対応することもせず、状況をエスカレートさせたように思えました。

ヒューストンでは、こうした怒りにまかせた事件は手に負えなくなっています。

 訴状では、ジャック・イン・ザ・ボックスは顧客の安全を守らなかったという過失があったと主張している。

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pixabay

フォードはすでに有罪判決が下され、店側との裁判はこれから

 今回の訴訟では、ジャック・イン・ザ・ボックスの従業員に意図的な暴行および精神的苦痛を与えられたこと、およびジャック・イン・ザ・ボックスの管理責任が問われた。

 フォードも名指しされていて、少なくとも25万ドル(約3700万円)の損害賠償が求められた。

 フォードは凶器による加重暴行容疑で逮捕され有罪を認めた。

 法廷記録によると、フォード個人はすでに1年間の判決延期の判決を受け、今年6月に刑を終えたようだ。

 ちなみに、ヒューストン・クロニクル紙は、「フォードの武器を奪い、警官から隠そうとした疑い」で、別の従業員が逮捕されたと報じている。

 ジャック・イン・ザ・ボックス側は当初の回答で、すべての疑惑を否定していた。

 また、同社はフォードなどの第三者に対して、「従業員がシフト中に何をするかについては制御できないため、従業員の行動に関する法的責任はない」とも述べていた。

 しかし、現在はこのように声明を出している。

現在進行中の訴訟についてコメントすることはできないが、当社の独立フランチャイズ加盟店の従業員が巻き込まれた状況は認識しており、顧客とレストラン従業員に安全な環境を提供することに、引き続き注力している。

 なお、ハリス郡地方書記官事務所によると、この事件は11月にヒューストンで裁判が始まる予定だということだ。

追記(2023/09/28)本文を一部修正して再送します。

References:Houston Jack-in-the-Box employee shoots at customers over missing curly fries, lawsuit says | Video/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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フライドポテトが入ってないと言われたファストフード店員が顧客に発砲