「とにかく果てしなく長い山道」をどんどん高速化していきます。

どこまで計画進んだ?

福井県大野市から岐阜県郡上市東海北陸道まで抜けていく高規格道路「大野油坂道路」の工事が進み、いよいよ2023年10月には、九頭竜ダムに近い「九頭竜IC」まで開通することとなります。

福井~岐阜郡上には国道158号の果てしない過酷な峠越えがあり、ドライバーを疲弊させます。これが高速道路で一気に結ばれると、利便性が大きく向上するほか、バス路線によるあらたな福井行きルートの開通にも期待がかかります。

ところで、近くて遠い2県をつなぐ「大野油坂道路」は、実はもっとマクロな高規格道路「中部縦貫自動車道」の一部に組み込まれています。最終的には福井~郡上~高山~長野をまっすぐ結ぶ「東西軸」となる計画です。

その「中部縦貫道」計画のうち、どこまでが実現に向けて動いているのでしょうか。

【開通済み】北陸道・福井JCT~勝原IC(永平寺大野道路、大野油坂道路)
福井県の内陸部の街である勝山・大野や、参詣地である永平寺を、長い山越え無しにショートカットでつなぐ道路です。2017年に開通し、県の東西移動は飛躍的に向上しました。大野からさらに岐阜方面をめざすのが大野油坂道路です。

【開通間近&工事中】勝原IC~油坂(大野油坂道路)
先述のとおり、九頭竜ICまでが2023年10月に開通予定。油坂峠道路までは2026年春の開通予定で、トンネル掘削をはじめ残り5.5kmの深い山越え区間が工事中です。

【開通済み】油坂峠道路
福井・岐阜県境を越える標高差400m以上・連続急カーブの難所を、2つのオメガカーブで一気に克服する道路です。1999年に有料道路として開通し、2005年に無料化。福井県側と東海北陸道を最初につないだ高速道路です。

長野方面へも徐々に「高規格道路」計画が進行中

【一部開通済み】高山清見道路

東海北陸道が2000年に飛騨清見ICまで開通し、さらにその延長線上で高山市街まで目指したのがこの区間です。まずは2004年に、峠越えをショートカットする高山市西ICまでが開通。そこから市街中心部の高山ICまでが2007年に開通していますが、さらに東の乗鞍・上高地方面がなかなか進んでいません。

とはいえ、高山清見道路の市街東側区間は、地道に工事進行中です。昨年12月には最後のトンネル「坊方トンネル」が着工。これの貫通にめどがつけば、いよいよ開通見込みも発表されていくものと思われます。

【調査中】丹生川~日面~平湯
福井・岐阜県境と同じく、高山市以東の岐阜・長野県境も果てしない山道が続き、ドライバーを疲弊させます。この区間は調査区間にはなっていますが、概略ルートが決定しそうなのは、まず日面~平湯のほうから。今年2月には、2430mの現・平湯トンネル部分を含め「全線新ルートで新規整備」という方針が決定しました。それから都市計画決定や環境アセスメントを経て、ようやく一部事業化、となっていきます。

【開通済み】安房峠道路
岐阜・長野県境の最大の難所「安房峠」をまるごとトンネルで抜ける区間です。1997年に完成し、断崖絶壁の11連続へアピンをおそるおそる観光バス一般車が抜けていく風景は見納めとなり、さらに「年間通行可能」が実現しました。今も有料道路として、NEXCO中日本により運用されています。

【調査中&一部改良】中ノ湯~松本市
恐ろしい安房峠を越えたあとも、松本市内までは梓川の深い谷を抜ける、長い長い山道が続きます。それをどう高規格化していくかの検討は、まだ進展していません。

そのなかで奈川渡ダム周辺の2.2kmだけ「奈川渡改良」として、新たに計2.2kmのトンネルをぶち抜いて走りやすくする工事が進行中です。奈川渡ダムは天頂を国道が走ることで有名ですが、この部分は拡幅もバイパスもどうしようもなく、改良区間には含まれていません。

【調査中】松本波田道路
松本市内の平地部分で、長野道につながる5.3km区間は、1996年に事業化済み。それから27年が経過しましたが、紆余曲折を経て、ようやく高架の橋脚が立つようになってきました。2007年時点で用地取得率は1%でしたが、2022年度には78%まで進捗しています。

2017年に全通した永平寺大野道路(画像:国土交通省)。