元カメルーン代表FWサミュエル・エトー氏に八百長疑惑が浮上しているようだ。28日、イギリス紙『ガーディアン』や同『デイリーメール』が伝えている。

 現在42歳のエトー氏は現役時代にバルセロナインテルチェルシーなどで活躍したストライカー。クラブキャリアでは通算364ゴールを挙げ、3度のチャンピオンズリーグ(CL)制覇を含む数多くのタイトルを獲得。また、1997年3月にデビューを飾ったカメルーン代表では国際Aマッチ通算118試合に出場し、歴代最多の56ゴールをマーク。2019年に引退を表明し、現在はカメルーンサッカー連盟の会長を務めている。

 そんな“アフリカの英雄”的存在でもあるエトー氏に八百長疑惑が浮上しているようだ。報道によると、同氏は当時カメルーン2部リーグに所属していたビクトリア・ユナイテッドを1部リーグに昇格させるため、試合を操作した可能性があるとのこと。八百長の証拠とされる音声も公開されており、その中でエトー氏はビクトリア・ユナイテッドのバレンタイン・エンクウェイン会長に対し「できることはある。勝ち点『3』を与えるし、審判を停職させる。このクラブは1部に昇格しなければならない。それが我々の目標だ」などと語っているようだ。なお、ビクトリア・ユナイテッドは4月に1部リーグへ昇格している。

 エトー氏とエンクウェイン氏は八百長を否定しているものの、カメルーン警察は7月に職権乱用と汚職の疑いで捜査を開始した模様。すでにこの疑惑に関与したとされている複数の重要な人物への聞き込みや取り調べを行なっているようだ。カメルーン警察はエトー氏の会長在任期間中のサッカー連盟内での汚職疑惑についても幅広く捜査する予定とのこと。最大で40人が捜査対象となる可能性があるという。
 
 なお、渦中のエトー氏は6月にイタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』に対し、八百長の証拠とされている音声について「サッカーに投資し、自分のクラブをカメルーンで最高のクラブにしたいと考えている友人と話していた。私は彼に対して判定の誤りを避けるために可能な限りのことをしたつもりだと言い、彼を安心させただけだ」と言及していたという。

八百長疑惑が浮上したエトー氏 [写真]=Getty Images