声優界随一のサイクリスト野島裕史パーソナリティをつとめ、自転車テーマにお届けするTOKYO FMラジオ番組「サイクリストステーション ツアー・オブ・ジャパン」。9月24日(日)の放送は、野島裕史サイクルコラム「交通安全」をお届けしました。


パーソナリティ野島裕史



◆便利な電動アシスト自転車は意外と危険!?

野島:“交通安全”をテーマにしたコラムは、このコーナーでも何度もお送りしていますが、今はちょうど「秋の全国交通安全運動」期間中(9月21日(木)~30日(土))ということで、改めて「自転車の交通安全」について考えてみたいと思います。

今回は道路交通法(道交法)を取り上げるというよりは、道交法を守るのは当然ですし、書籍で絵を見ながら学んだほうがわかりやすいと思いますので、自転車の法律にない、マナーに近い安全の手引きのお話をしたいと思います。

最近、僕が個人的にもう少し安全運転をしてほしいなと思っているのが、子ども乗せの電動アシスト自転車。通勤・通学時間帯や歩行者自転車が多い商店街などをかなりのスピードで走行しているのを見かけることが多いです。

電動アシスト自転車というのは、アシストされる分、自分の力以上の速度が簡単に出るんですよね。しかも、乗っているうちにそのスピードに慣れていってしまう、これが問題なんです。なので、改めて自分が出している自転車の速度を意識していただきたいと思います。

しかも、電動アシスト自転車を運転するお父さんお母さんの体重が40~70kgぐらいだとして、前後に子どもを乗せていたり、買い物の荷物を乗せている場合は車重も含めると総量が100kgを超えることもあります。

そんな100kgを超えたものでもアシストされるのでペダリングが軽く、自分が走っているものが重いということを忘れてしまい、さらには速度にも慣れてしまうのはとても危険です。

何よりも、その重量をコントロールする意識を強く持っていただかないといけません。(総量100kgを超えると)ブレーキングやハンドリングなどはかなりシビアなことになり、それでも加速度はロードバイク並み。

仮に、ロードバイクと同じ速度で100kg越えの電動アシスト自転車歩行者にぶつかったり、かすったりした場合、ロードバイクの倍近いエネルギーの衝撃を与えることになってしまうので、ケガのリスクが高まります。さらには一緒に乗っている子どもも危険に晒してしまいますので、急いでいる気持ちもわかりますが、安全運転をしてほしいと思います。

◆“だろう運転”は危険…野島が経験した事故の危機

そして、僕を含めた自転車趣味人が乗るロードバイクをはじめとするスポーツバイク。こちらももちろん安全運転を心がけていきたいのですが、先ほども言いましたが、道交法を遵守するのは当たり前。その上で歩行者や車の運転者とのコミュニケーションも大事です。

「車は自転車の存在に気づいているだろう」「歩行者は避けてくれるだろう」「こちらに気づいているだろう」「飛び出してこないだろう」という“だろう運転”をまずやめなくてはいけません。

基本的に自転車は音があまりしませんから、車からも歩行者からも気付きにくい存在です。それだけに車とはできるだけ距離をとり、脇をすり抜けたりしないようにしたいですね。歩行者も後ろから自転車が迫っているとは気づかず歩いている方も多いので、距離をとり、歩行者の近くでは徐行運転をするようにしていただきたいと思います。

実際、僕はロードバイクに乗っていて、歩行者とニアミスした経験があります。住宅街の道幅3mぐらいの狭い道を走行中、前方に親子連れが歩いていたんですね。母親と小学校低学年ぐらいの女の子だったんですが、母親が僕の存在に気づき、先に通してしまおうと道の右側に寄って止まってくれたんです。一方、女の子は左側に避けたので、親子で左右に分かれてしまったんですね。

先を譲ってくれたからには、僕も素早く通り抜けようと思ったんですが、ちょっと嫌な予感がしてあえて徐行運転を続けました。そうしたら、その予感が的中。

女の子が不安になったんでしょうね。母親のもとに急に駆け出したんです。僕は女の子とぶつかりそうになったんですが、徐行していたおかげでギリギリ急停止することができ、ことなきを得ることができました。そのときにやはり“だろう運転”は避けるべきだと思ったし、常に危険を予測する運転をしないといけないなと痛感しました。

これは自転車に限らず、全ての乗り物歩行者にとっても大事なことではあるのですが、やはり自転車乗りとしては改めて心に留めておきたいと思いました。

そして最後に、細かいことですが、今年の夏はとても暑かったのでブレーキシュー(ブレーキのホイールを止めるゴム部分)やタイヤとか、ゴム部分が傷んでいる恐れがありますので、チェックしたほうがいいと思います。自転車ショップなどでお願いすれば簡単にできますし、もしシューが減っていたり、タイヤが傷んでいたら、ぜひ交換してください。

10月1日(日)の「サイクリストステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、 ユーラシア、アフリカの2大陸、2万5,000kmを走破したサイクリスト、 友竹亮介(ともたけ・りょうすけ)さんをゲストにお迎えしてお届けします。お楽しみに!

<番組概要>
番組名:サイクリストステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリアTOKYO FMをはじめとする、JFN全国23局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00~5:30(JFN各局の放送時間は番組WebサイトおよびアプリAuDee(オーディー)」でご確認ください)
パーソナリティ野島裕史
番組Webサイト:http://www.jfn.jp/toj
“だろう運転”は超危険…自転車声優・野島裕史が経験した「事故の危機」とは?