プレミアリーグ第7節、トッテナムvsリバプールが、日本時間30日25:30にトッテナム・ホットスパースタジアムでキックオフされる。開幕からリーグ戦無敗を継続する、好調同士のビッグマッチだ。

4位のトッテナムは前節、鬼門エミレーツ・スタジアムで開催された今シーズン最初のノースロンドンダービーを2-2のドローで終えた。敵地ながら立ち上がりからボールの主導権を握ったものの、アーセナルの連動性と強度の高い前線からのプレスに苦戦。オウンゴールとPKによる不運な形で2度のリードを許す苦しい展開を強いられたが、MFマディソンとソン・フンミンホットラインによって2度のビハインドを追いつき、鬼門から勝ち点1を持ち帰る上々の結果を残した。

王者マンチェスター・シティとの試合を除き、常に能動的なスタイルで戦うアルテタのチームに対して、敵地でボールの主導権を握って自分たちのスタイルを貫けたことで、指揮官含めチームは大きな自信を手にしたはずだ。そういったなか、今節はハイインテンシティ、カウンターの破壊力において世界最高峰のチームである難敵を相手に、チームとしてさらなる進化や引き出しを求められる。

対する2位のリバプールは、ホーム開催となったウェストハム戦を3-1で勝利し、5連勝を達成した。FWサラーのPKで早々に先制したものの、以降は相手の攻勢に晒されて同点に追いつかれる。それでも、今季無類の強さを誇る後半にFWヌニェス、FWジョタがゴールを重ねて難敵相手にきっちり勝ち切った。また、ミッドウィークのEFLカップ3回戦では大幅にターンオーバーを敢行した中、2部のレスター・シティに先制点を奪われるなど苦戦。それでも、後半にFWガクポ、MFソボスライ、ジョタの3ゴールで一気に試合を引っくり返し、同じく3-1の勝利を収めている。

大幅な中盤刷新の影響もあって開幕前の下馬評は決して高くなかったが、蓋を開けてみれば、5勝1分けの戦績で王者シティの有力な対抗に浮上。ただ、ここまで公式戦8試合でクリーンシートが1度と、守備面や前半の入りの悪さと課題も少なくなく、現状では最も力のあるスパーズとのビッグマッチは現チームの真価が試される一戦となるはずだ。

なお、昨シーズンのシーズンダブルを筆頭に、リーグ戦での今カードはリバプールが8勝3分けの11戦無敗を継続中。トッテナムの勝利は2017年10月の4-1の勝利まで遡る。そのため、下馬評ではアウェイチームが圧倒的優位と見られている。さらに、リバプールは今年4月のマンチェスター・シティ戦の敗戦以降、シーズンをまたいでリーグ戦17試合無敗と現プレミアリーグのチームで最も負けていないチームだ。

一方、トッテナムではポステコグルー新監督が横浜F・マリノスセルティック、スパーズと3クラブをまたいでホームゲーム50戦無敗を継続中。そのため、今回の一戦ではリーグ戦で負けないリバプール、ホームで負けないポステコグルー監督といずれの勝負強さが発揮されるかという部分にも大きな注目が集まるところだ。

トッテナム
【4-2-3-1】
▽予想スタメン

(C)CWS Brains,LTD.

GK:ヴィカーリオ
DF:ペドロ・ポロ、ロメロ、ファン・デ・フェン、ウドジェ
MF:サール、ビスマ
MF:クルゼフスキ、マディソン、ソロモン
FW:ソン・フンミン

負傷者:GKホワイトマン、MFペリシッチ、ベンタンクール、セセニョン、ロ・チェルソ、FWブレナン・ジョンソンブライアン・ヒル
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関しては直近のアーセナル戦でハムストリングに軽傷を負ったブレナン・ジョンソンが新たな欠場者に。また、軽傷を抱えるソン・フンミンとマディソンに関しては直前まで状態を評価するとしながらも、いずれも起用は可能な状態にあるようだ。

スタメンに関してはソン・フンミンとマディソンが起用可能であることを前提に、ブレナン・ジョンソンからソロモンに変更する以外はダービーと同じメンバーがプレーする見込みだ。仮に、両者のスタートが難しい場合はリシャルリソン、スキップ、ホイビュアらが代役を担う。

リバプール
【4-3-3】
▽予想スタメン
(C)CWS Brains,LTD.

GK:アリソン
DF:ジョーゴメス、コナテ、ファン・ダイクロバートソン
MF:ソボスライ、マク・アリスター、カーティス・ジョーンズ
FW:サラー、ヌニェス、ルイス・ディアス

負傷者:DFアレクサンダーアーノルド、ブラッドリー、MFチアゴ、バイチェティッチ
出場停止者:なし

出場停止者はいない。負傷者に関してはチアゴ、バイチェティッチの欠場が確定。ハムストリングの負傷から復帰を目指すアレクサンダーアーノルドはすでにチームトレーニングに復帰しており、試合に絡む可能性は高い。

スタメンに関しては前節のウェストハム戦をベースに、守備面でより機動力のあるコナテをマティプに代えて起用するとみる。アレクサンダーアーノルドの先発起用の可能性もあるが、負傷箇所を考えると、いきなりハイインテンシティを強いられるビッグマッチでのスタートからの起用は見送る可能性が高いか。

★注目選手
トッテナム:DFミッキー・ファン・デ・フェン
Getty Images

ヴェルトンゲンの正統後継者が世界最高峰の攻撃陣と対峙。トッテナムが12戦ぶりの勝利を得るためには、近年何度も餌食にあってきたリバプールの強力攻撃陣を抑え込むことが最重要タスクとなる。その中で新戦力のオランダ代表DFのパフォーマンスに注目したい。

今夏、4300万ポンドでヴォルフスブルクから加入した22歳は、193cmの体躯にブンデスリーガ最高クラスのスピードを誇るアスリート型の守備者。初挑戦のプレミアリーグではよりフィジカルなリーグでの適応に若干の不安要素も指摘されていたが、ここまでは地上戦、空中戦共に安定したパフォーマンスを披露。とりわけ、ポステコグルー監督の志向するスタイルにおいて守備時は2バックのリスキーな対応を求められる場面が目立つなか、その守備範囲、カバーリング能力の高さは傑出。また、足元の技術も高くビルドアップの局面でも試合ごとに進化を示す。

今回のビッグマッチではサラーを筆頭にヌニェス、ルイス・ディアスと圧倒的な個の能力を持つ相手アタッカーに対して、ウドジェ、ロメロらとサポートし合いながらどこまでうまく対応できるかが勝利のカギを握る。

なお、対戦相手のリバプールは以前から加入の噂があり、ヴォルフスブルク時代に自身を獲得したシュマートケ氏のスポーツディレクター就任後はより可能性が高まっていたが、最終的に移籍は実現せず。その因縁や代表チームで越えるべき壁となるDFファン・ダイクの存在を考えれば、普段以上に高いモチベーションでのプレーとなるはずだ。

リバプール:MFドミニク・ソボスライ
Getty Images

ジェラードの正統後継者がさらなる躍動期す。リバプールの注目プレーヤーは、新たな8番として大きな期待を背負うハンガリー代表MFだ。今夏中盤刷新の目玉選手の一人としてRBライプツィヒから7000万ユーロで加入した22歳は、そのブンデスリーガクラブの先輩であるナビ・ケイタを挟んだものの、スティーブン・ジェラードの代名詞として知られる背番号8を選択した。

攻守両面でハイインテンシティーが求められる『レッドブルグループ』で純粋培養された超万能型MFは、共通点も少なくない新天地でもプレシーズンから安定したパフォーマンスを披露している。186cmという恵まれた体躯を生かしたダイナミックプレー、高精度の右足のキックを生かしたミドルレンジのパスやシュートで抜群の存在感を発揮。また、プレミアリーグにおいて適応が懸念された守備面においても、傑出した運動量と献身性を武器に奮闘が続く。

ここまで公式戦8試合2ゴールと数字面では大きなインパクトを残せていないが、アストン・ビラ戦で決めたプレミアリーグ初ゴール、直近のレスター戦で決めた鮮烈なミドルシュートとそのインパクトは絶大。また、プレースキックでも正確なボールを常に配球しており、ここからゴール、アシストを量産する可能性は非常に高い。

今回のビッグマッチではビスマやマディソンらリーグ最高峰のMFとのマッチアップにおいて守備面のタスクをしっかりとこなしつつ、攻撃では持ち味のダイナミズムやミドルシュートで決定的な仕事を果たしたい。