
国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査結果』などをもとに、官民それぞれのお給与事情を見ていきます。
「労働に見合った給与」は官民問わずもらえているのか
「結果は広く民間事業所の給与の状況を反映したものといえる」
国家公務員の給与は、民間の4月分の給与を調査した上で、ほぼ同じ金額になるよう人事院が金額を定めています(全産業の企業規模50人以上かつ、事業所規模50人以上の全国の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した事業所のデータ)。地方公務員の給与についても、民間の実態を調べ、各都道府県及び一般市区町村が給与額を決定します。
民間、そして公務員の給与。はたしていくらなのか、見ていきましょう。
■最新結果公表 民間の平均給与「443万円」
国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査結果』では、民間の平均給与額を明かしています。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は443万円です。
平均給与443万円ですと、月の収入では37万円ほどになります。手取りにしておおよそ29万円ほどです。本数値、あくまで「平均値」ですから、実際の分布図は異なります。給与に限らず、所得という面で見れば「300万円以下」が最多であり、過酷な生活を余儀なくされている現状があります。
■公務員の給与はいくら
令和3年版『国家公務員の給与』を見てみると、現在、日本には国家公務員が約58.8万人、地方公務員が約276万人となっています。
公式に出されている給与構成のモデル例は下記のとおり。
●月例給<行政職俸給表(一)・平均年齢43.2歳>
俸給(一般の給料に相当するもの)・・・32万7,564円
地域手当・広域移動手当・・・4万3,534円
俸給の特別調整額(管理職手当)・・・1万2,530円
扶養手当・・・9,613円
住居手当・・・6,427円
単身赴任手当等・・・9,200円
-------------------------------------------
合計 40万8,868円
この金額にプラスして、年間4.45ヵ月分の給与が、6月と12月の計2回、ボーナスとして支給されます。上記のモデル給与では、年収約672万円となります。
令和4年『賃金構造基本統計調査』より民間の40代の給与事情について見てみると、40歳~44歳の平均賃金が33万3,700円(男性36万3,600円/女性27万5,600円)、45歳~49歳の平均賃金が34万9,200円(男性38万8,100円/女性27万8,500円)です。
ほお……と嘆息してしまいかねない国家公務員の給与ですが、実は志願者数の減少が懸念されています。2021年には当時の加藤勝信官房長官が「危機感を持っている」、減少の要因について「長時間勤務の実態などがある」と発言したことも話題になりました。
実際のところ政府調べでは、2020年12月~今年2月にかけて「過労死ライン」の月100時間を超えて残業していた職員が約3,000人いることが明らかになっています。コロナ禍の緊急対応が要されたとはいえ、最長残業時間は「364時間」。20営業日と考えたら、残業だけで毎日18時間を超えます。
【ちなみに】公務員「年金」は制度改正されました
平成27年10月から、国家公務員共済年金が、厚生年金に統一されました。
日本の年金制度は3階建て。民間サラリーマンの場合、老齢基礎年金(1階)、老齢厚生年金(2階)、企業年金(3階)です。一方、老齢基礎年金についてはサラリーマンと同様ですが、「3階部分(職域部分)」は公的年金として支給される共済年金の一部であり、「2階部分」と同様に加入者の報酬に基づいて算定されていました。
しかし制度改正によって、1階は老齢基礎年金、2階は老齢厚生年金と民間サラリーマンと同様に。そして3階部分に「年金払い退職給付」という制度が建てられたのです。
このような変更の理由について国家公務員共済組合連合会は「年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに、民間サラリーマンや公務員を通じ、同じ保険料を負担し、同じ年金給付を受けるという年金制度の公平性を確保することにより、公的年金に対する国民の信頼を高めるため、被用者年金制度の一元化を行う」ためとしています。
格差是正が示される一方、実際の年金受給状況については疑問の声も上がっています。給与、年金ともに「下に均す」が加速度的に進んだ先の日本には、何が待ち受けているのでしょうか。是正という言葉の意味が問われています。

コメント