世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求を巡り、宗教法人審議会が10月12日にも開かれ、申し立てがされる見通しだと報じられた。

東京都内で9月30日に開かれた全国霊感商法対策弁護士連絡会の定例集会では、具体的な動きが見えてきたことを歓迎しながらも、現在も統一教会が抱える「カネの問題」が多く報告された。

弁護士や韓国人ジャーナリストらによると、教会は資金難に陥っているといい、9月1日からは日本人信者の「先祖解怨」などの費用を韓国人並み(10分の1ほど)に減額。振り込みではなく、直接持参させるよう呼びかけている。

弁護団は声明で、解散が決まって清算手続きに入る前に資産流出を避ける必要があるとし、財産保全の特別措置法を10月の臨時国会で成立させるよう訴えた。

●米国で不動産売却進める動きも

統一教会が韓国で資金集めに躍起になっている現状を報告したのは、元幹部信者などを取材している韓国人ジャーナリストのソ・ドヨプ氏。その原因として、①コロナ禍②日本の安倍元首相銃撃事件以降の資金移動の制限③建設したばかりの本部・清平の豪華施設『天苑宮』による財政悪化ーを挙げた。

米国などで象徴的な建造物の売却を進めており、「解散命令まで3年ほどと予想し、資金を備蓄する準備に着手している」と分析した。また、2世の離脱を警戒し、9月中旬には日本から6000人の若者を呼び寄せて集会を開いたといい、世界と日本を救う「特攻隊」と韓鶴子総裁が名付け、新たな資金源にしようとしていると話した。

●「現役信者の年金問題も救ってほしい」

集会では、30年以上前に脱会した富田功さん(64歳)が新たな課題として「年金問題」を挙げた。教会関連の民間会社「ハッピーワールド」などに数年間勤めていたが、厚生年金として計上されたのは4カ月のみ。

ノルマのためにはなんでもやったと振り返るほど必死に働いたが、給与は献金に消えていた。そもそも雇用契約がなかったとみられ、いま関連団体などで働く現役信者をおもんぱかった。「こういう高齢者の被害もあるんです。救済を図ってほしい」と話した。

実際に2世からは、無年金や貧しい現役信者の親を持つことについて懸念の声が上がっている。

集会でオンライン講演をした山本サエコさん(仮名)は、関連団体で働いていた両親の元で極貧生活だったと振り返った。マインドコントロールが解けて情緒不安定になった母親を連れて、家出。「馬車馬のようにバイトをして」奨学金を稼ぎ、2年前に母を看取ったという。

また、両親が入信している田中悟さん(仮名)は「親はほぼ貯金がない。年金も少なく、けがをした時の医療費も子どもたちで払っています。介護が必要になったら面倒を見るのは僕たち。不安しかありません」と話していた。

山本さんは宗教2世問題ネットワークで、田中さんはスノードロップで、それぞれ2世支援の活動をしている。

統一教会、2世を「特攻隊」と名付け資金源に? 迫る解散命令請求、弁護士「早急に保全を」