中野は不動の2番打者としてチームを支えた(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 今シーズン、18年振りとなるリーグ優勝を果たした阪神

 今季は開幕から好調を維持し、もともとの強みであるピッチングスタッフの充実に加え、岡田彰布監督のたくみな采配で選手たちも躍動、2位と10ゲーム以上の差をつけ、圧倒的な強さを見せた。

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 そんな今季のVメンバーについて、昨季まで阪神で監督を務めた矢野燿大氏が古田敦也氏のYouTubeチャンネル「フルタの方程式」に出演、選手の獲得秘話について語った。

 9月16日までに更新された動画内でまず矢野氏が口にしたのが、今季プロ3年目にして一軍に定着、先発投手陣の中心となってチームを支えた村上頌樹投手についてだった。

 昨季一軍登板はなかったものの、ファームでは2年連続で最優秀防御率最高勝率のタイトルを獲得していた。

 3年目の今季はここまで10勝を挙げ、防御率は1.75と最優秀防御率のタイトル獲得も確実と見られている。

 そんな村上は、2020年ドラフト5位で阪神に入団。入団当時、チームの監督をつとめていたのが、矢野氏だった。

 実はこの村上、矢野氏がチームに欲しいと球団編成に申し入れをして獲得が実現したのだという。

 当時の獲得秘話について、矢野氏はこう語っている。

「YouTubeでドラフト候補の映像をたくさん見ていたときに見つけて。『このピッチャーの球を受けたいな』ってキャッチャー目線で思ったんですよね。ただ、大学4年時に怪我で球速が出なくなって一度リストから外れたんです。ただ、下位指名だったら獲れないかなと思い相談した結果、残っていたら5位でいきましょうと言っていただいたんですよね」

 もう1人、今年の阪神を支えたメンバーで矢野氏が指名し入団が実現したのが、中野拓夢内野手だという。村上と同年の2020年6位入団。

 ルーキーイヤーからレギュラーとして試合に出場し、新人ではNPB史上3人目となる盗塁王を獲得した。

 3年目の今季は遊撃から二塁にコンバート二塁手としても高い守備力を誇り、シーズン開幕前にはWBC日本代表として世界一奪還に貢献すると、ここまで不動の2番打者として走攻守にわたる活躍をみせ、現在DeNA牧秀悟、中日・岡林勇希らとシーズン最多安打記録を争っている。

 村上と同じく、中野もドラフト時、阪神の獲得最終リストからは外れていたというが、矢野氏は「左打者であそこまで引っ張れる選手はなかなかいない」と、バッティングを評価。

 ドラフト下位で獲得を果たせそうな選手としては潜在能力の高さを評価し、球団編成に相談した、再度獲得リストに戻してもらい、見事獲得に繋がったという。その後の活躍は多くの人々が知るところとなっている。

 シーズンが進み、今季もまもなくドラフトの季節を迎える。各選手をめぐる各球団の駆け引き、また関係者の思惑がからんで毎年ドラマが生まれるこの時期。阪神18年ぶり優勝の陰に果たした矢野氏の功績もまた大きかったといえそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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