チャーロを試合内容で圧倒。見事な判定勝ちを収めたカネロ。彼のパフォーマンスに賛辞が相次いでいる。(C)Getty Images

 メキシコの天才戦士はまだまだ枯れてはいない。現地9月30日ボクシングのスーパーミドル級世界4団体王座統一戦が米ラスベガスで行われ、WBA&WBOスーパー、WBC、IBF世界同級統一王者の“カネロ”ことサウル・アルバレスメキシコ)が、2階級下から挑戦したWBA&WBOスーパー、WBC、IBF世界スーパーウェルター級王者ジャーメル・チャーロ(米国)に判定勝ち(3-0)を収めた。

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 男子ボクシング史上初となる現4冠王者同士の対決はメキシコの偉才の圧勝だった。上限が6.4キロも異なるスーパーウェルター級から殴り込んできたチャーロに対して、序盤から攻勢に出たカネロは、終始主導権を掌握。パンチを打たれても前に出続け、7回には開始1分にガードの間から強烈な右ストレートをテンプルに打ち込むと、すかさず右アッパーを炸裂。これでダウンを奪って試合を決定づけた。

 試合後のリングインタビューで「この結果に満足している。この試合のために遠くまで来てくれたみんなありがとう。俺は強い、いつだってそうだ。カネロに勝てる人なんていない!」と言ってのけたカネロ。昨年5月にディミトリー・ビボル(ロシア)に敗れてから一部で衰えが指摘されていたが、6センチもリーチで上を行く猛者を破り、健在ぶりをアピールした。

 まさに「カネロここにあり」と感じさせる圧倒的な存在感を見せつけた。そんな偉才には、海外メディアも熱視線を向けた。とりわけ大きな賞賛を集めたのは、畳みかけるようにパンチを打ち込んだ先述のダウンシーンだ。

 英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は、「あまりにも残忍な右手による猛攻だった」とダウンシーンをレポート。さらに英紙『The Guardian』は「カネロリーチハンデなど関係がなかった。最近ではもう衰えたと囁かれていたが、7回のラッシュなんかを見るに最盛期を彷彿とさせるパフォーマンスだった」と絶賛した。

 また、識者たちもこぞってカネロに賛辞を繰る。米スポーツ専門局『FOX Sports』のコメンテーターを務めたベン・デーモン氏は「体格とパワーで上回っていたチャーロを圧倒した。最高の瞬間を見せたカネロにとって、この試合はあまりに簡単すぎた」と強調。さらに『talk SPORT』のマイケル・ベンソン記者も「チャーロは完全に圧倒されていた。カネロ全盛期を過ぎたかもしれないが、それでも今なおエリートの部類に入る戦士だ」と褒めちぎった。

 次戦については「次に誰が強いのか決めたい。誰でもいい」と豪語したカネロ。自信に満ち溢れる33歳の闘志は燃え続けている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「最盛期を彷彿とさせた」世紀の4団体王者対決を制した、衰え知らずのカネロに絶賛の嵐「あまりに簡単すぎた」